二重生活を楽しむ最強の冒険者 ~英雄+新人として活躍します~

だいのすけ

文字の大きさ
51 / 57

カミラ姫の使者

しおりを挟む

ある日の夜。昼のクエストを終え、俺はヘッズオブドラゴンの拠点に戻る。いつも通り今、新しい依頼が来ていないかを確認する必要がある。ここ最近はギルド長も気を遣ってくれているのか、運がいいのか重要度の高い依頼は来ていない。時々とりあえず聞いてみた、というような依頼が来るだけだ。そして一応持ち帰って検討するが全て拒否するというのがお約束になっている。

「アリエッサ、何か新しい依頼は来ていたか?」
「はい、いくつか来ていました。ただ特筆すべきものはなく、別のチームで対応することが可能だと思います。赤い棘あたりに投げておけば良いではと考えています。」

「まあ最近移動ばかりで疲れたからな。少し休憩しよう。ギルド長も無理は言わないだろう。それでいいぞ。何か面白そうな依頼があったら受けるということでいいだろう」
「はい、ただこちらが本題なのですが…… 実は、カミラ姫の使者を名乗る騎士が今日の昼に来ました。全員揃ったら話したいことがあるのでホテルで待機していると言われております」
「姫様の使者か…… わかった、呼んでくれ。エッジ、連れて来てきてくれるか?」
「了解、行ってきます」

「早速依頼か。面倒な話でないといいが」
「まあ、面倒な話であれば断れば良いでしょう。その権限はあると理解していますが?」
「まあ、そうだがあの姫様がそんな無茶な依頼をしてくるとは思えないんだよな。程よいラインの依頼が飛んでくる予感しかしないよ。情報収集ならアンに任せるし、戦闘ならエリスに任せるが」
「はあ、いつもの通りのやつですね。私はいいですけど」
「強い敵なら戦うけど……、弱いならやりたくないよ?」

「只今、戻りました! 使者を連れてきました!」
 エッジが戻ってきた。隣には見目麗しい女性が立っている。カミラ姫の使者がこの人か。
「ありがとう。じゃあ早速こっちに座ってくれるか?」
「いえ、私は立ったままで。お気遣いありがとうございます。私はコードネーム「使者」と申します。姫様のメッセンジャーとして活動させていただいております」
「そうか…… わかった。じゃあまず確認させてくれ。君が姫様の使者であるという証拠はあるか?」
カミラ姫の王になりたいという野望は下手すると反逆罪に問われかねないものである。スパイが紛れ込んでいる可能性もある。情報の扱いには細心の注意を払う必要があるだろう。

「直接姫からの伝言を見ていただいた方が早いと思いますのでこちらをご覧ください」
そういうと、使者は鞄から魔道具と思われる筒を取り出した。そして何かの魔法を発動したようだ。魔道具が光出した。すると、カミラ姫が立体形式で浮かび上がってきた。

「ヘッズオブドラゴンの皆様、お久しぶりです。カミラです。今回はお願いしたい依頼がございましてこうして使者と共に参らせていただいています。残念ながらこちらは録画されたものとなっており、私は皆様と会話はすることはできないのですが…… 不明点は使者にお伝えください。使者を通じてであれば私はすぐに会話をすることができますので」

これは何かを記録しておくことができる魔道具のようだ。そんなものがあるのだと驚く。周りの皆も驚いているようだ。やはり珍しい魔道具のようだな。想像だが、特定の魔力を込めないと発動しないような形式になっているのだろう。手紙のような誰が書いたかわからない、筆跡を真似することが容易なものと比べるとはるかに信頼性が高いな。それに本人が移動しなくてもメッセージを届けることが可能なのも良い。信頼性が重要で、移動が難しい王家にぴったりの魔道具だ。

「あまり長時間録画できるものでもないので、早速ですが本題に入らせていただきます。今回皆様にお願いしたいことは、大泥棒「偉大なる怪盗」と接触し、その者を親衛隊に加えることです。ここからは怪盗と呼びましょう。先日、犯行予告がサクラの領主の元に届きました。怪盗が近日「サクラの秘宝」と呼ばれる宝石を盗むと宣言しています。皆様はその犯行を阻止、もしくは阻止せず怪盗と接触していただきたいのです」

えーっと、「偉大なる怪盗」とは誰だ……? 周りを見ても皆、首を傾げている。このチームの弱点として、一般常識に疎いという点がある。新聞を読むような習慣はないからな。唯一、使者と名乗る女性だけが驚いた顔をしている。もしくは王家では有名人なのかもしれない。

「すいません、怪盗とは誰だ? と思われているかもしれませんね。説明を補足します」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

外れスキル【畑耕し】で辺境追放された俺、チート能力だったと判明し、スローライフを送っていたら、いつの間にか最強国家の食糧事情を掌握していた件

☆ほしい
ファンタジー
勇者パーティーで「役立たず」と蔑まれ、役立たずスキル【畑耕し】と共に辺境の地へ追放された農夫のアルス。 しかし、そのスキルは一度種をまけば無限に作物が収穫でき、しかも極上の品質になるという規格外のチート能力だった! 辺境でひっそりと自給自足のスローライフを始めたアルスだったが、彼の作る作物はあまりにも美味しく、栄養価も高いため、あっという間に噂が広まってしまう。 飢饉に苦しむ隣国、貴重な薬草を求める冒険者、そしてアルスを追放した勇者パーティーまでもが、彼の元を訪れるように。 「もう誰にも迷惑はかけない」と静かに暮らしたいアルスだったが、彼の作る作物は国家間のバランスをも揺るがし始め、いつしか世界情勢の中心に…!? 元・役立たず農夫の、無自覚な成り上がり譚、開幕!

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

処理中です...