二重生活を楽しむ最強の冒険者 ~英雄+新人として活躍します~

だいのすけ

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偉大なる怪盗とは?

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カミラ姫の説明は続く。
「怪盗は、10年ほど前から世界の様々な国で窃盗事件を起こしています。詳細な情報はわかっておらず、年齢・性別は不詳です。種族も不明です。ただ、声からおそらく男性だろうと推測されています。

神出鬼没という言葉がぴったりな存在であり、犯行予告を出してから盗みに入るのですが、逮捕できたことはありません。また、その存在を捉えることもできず、気づけば狙われていた物、狙いは宝石が多いですが、が盗まれています。なんらかの特殊な魔法を保有していることが推測されていますが、詳細はわかっておりません。

犯行声明を出してから盗みに入ることを美学としているようで、一度偽者が現れた時があり、以降は必ず犯行声明分にサインを書くようになりました。事前に自分をアピールする一方で、決して目立ちたがり屋というわけではなく、謎の多い存在です。

もう一つわかっていることとしては、几帳面な性格であることです。年に2回だけ盗みに入るというルーティンを守っています。この10年で事件は20件ということですね。また、初めて目撃された時、真っ黒の服装と仮面をつけていました。もう一度だけ目撃されたことがありますが、その際も真っ黒の服装と仮面だったようです。ファッションにもこだわりがあるみたいですね」
 
カミラ姫が説明を一度止める。あれは使者に尋ねた。
「この怪盗は世間でも有名なのか?」
「ええ、一般の方々には極めて有名な存在です。ミステリアスな存在と、狙った獲物は逃さないその姿勢、そして犯行予告やファッションなど拘りを見せる点などからエンターテイメントのように楽しまれています。この怪盗をテーマにした戯曲や劇を見かけたこともありますね」
使者も一般知識としてその存在は把握しているようだ。新聞を読まないというのは思ったより世の中に疎いのかもしれないな。読むようにした方が良いのかもしれない。

「なるほど、有名人なんだな」
「時々、新聞や雑誌で特集が組まれていることもあります。そちらをご覧になるとより詳細の情報が手に入れられるかもしれません。ただ真偽不明の怪情報も多いです。また、情報が隠されていたり、誤魔化されている可能性もあります。あくまで参考にしかならないとは思いますが」
 確かにありえるな。警備をすり抜けられたとなると警察の恥にもなりかねない。隠蔽されている情報もあるだろうし、過度に怪盗の凄さが讃えられているところもあるだろう。
「わかった。ありがとう」

「さて、では説明を続けますね。次は怪盗の狙う獲物についてです。これも拘りがあるようで、狙う獲物は国や都市が保有するお宝に限定されています。一般人の家であったり、大富豪の屋敷に忍び込む、といったことはないようです。犯行声明を出していないだけで本当は行っている可能性はありますが。我々が彼の犯行であると把握できるのは犯行声明からのみですのでこちらは推測になります。

 また、盗まれたお宝がその後どうなるかは不明です。アンダーグラウンドで流通している形跡は今の所見つかっていません。自身の隠れ家で管理している可能性が高いと思われます。

 とまあ、非常に厄介な存在です。如何なる警備もすり抜け、犯行を実現することからついたあだ名が「偉大なる怪盗」です。本人も気に入っているようで、犯行声明にはサインと共にその名前が添えられるようになっています。

後、怪盗の戦闘能力は高いと見られています。以前、警備していた冒険者がおそらく怪盗によって殺害されたことがありますが、その冒険者のレベルは4でした。普通の者では傷をつけることさえできないレベルですので、それなりに強いと考えて良いでしょう。ただし、どれくらい強いのかについてはわかっておりません。レベル4程度かもしれませんし、5や6かもしれません」
沈黙が訪れるラウンジ。なんというか…… 雲を掴むような話だな。

「うーん、わからないことが多すぎるんだけど」
困った様子でアンが告げる。
「ええ、何もわからないわね。そもそも世界中の警察が見つけられてない存在をどうやって我々が見つけるというのかしら」
アリエッサは少し怒っているようだ。確かにこの依頼はメチャクチャである。かろうじて男だろうとしかわかっていない存在を捕まえるのは無理がある。

「そうだ。これは私の予測ですが、怪盗にはおそらく仲間がいます。それも多くても2人、おそらく1人でしょう。流石にいくら素晴らしい魔法を持っているとしても情報収集に関しては人手が必要です。一方で仲間が多すぎるとふとしたことで仲間割れになったりして情報が流出する可能性があります。ですので、情報収集役の存在が少数いると見るのが妥当です」
 カミラ姫のコメントには納得させられたが、人探しに使える情報ではないな。

「というところまでが怪盗に関する情報でした。お分かりいただけたでしょうか? ここからは皆様にお願いしたい依頼の詳細になります」
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