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違和感
――あの後も、ゆるタヌキから、洗いざらい全てを話してもらった。
これから、私達はどうすれば良いのかと聞くと――『刺激さえしなければ、特に攻撃はしてこないから……。た、多分、大丈夫……かな?』なんて煮え切らないことを言った。
だから、再びツインを振る体勢にして脅したが。本当に分からないようで、ゆるタヌキはエ~ンエ~ンと泣き出してしまって。それで面倒くさくなり、尋問を終了した。
それで、3日間は何も出来ないということだし……と思い。とりあえずは、お母さんやお父さんにもこのことを話し、対策を練ることに決めた――。
♢◆♢
「なに馬鹿なこと言ってんの! 真面目な顔で、大事な話があるなんて言うから心配していたのに。地球侵略するために来た宇宙生物が、ツインに入ってるとか……。大人をからかうのもいい加減にしなさい!!」
「まぁ、まぁ……いま流行りのドッキリだろう。適当に、付き合ってあげよう」
(ああ、駄目か~。まぁ、確かに……こんなことを急に言われたら、私も同じ反応するな)
「もぉ、お母さん、お父さん。本当なんだって~! 3日後に、人間が人間じゃなくなっちゃうんだよ!? ほら、これが証拠!」
『こ、こんにちは~』
「なにこれ、タヌキ?」
「随分と、力の抜けるような顔してるな……」
『うわ~ん! ここの家族、酷すぎるよ~!!』
茜が、お母さんとお父さんにツインの画面を見せ、説明している。
「……」
――おかしい……。違和感を感じる。
茜は、ちゃんと茜だ。以前のことも、ちゃんと覚えているし。右耳を触るクセだってそのまま。
けど、何だか……。違和感が拭えなかった。
「もう、子供のお遊びに付き合ってる暇はありません! 忙しいんだから!」
「お前達、ほどほどにな……」
両親とも、私達を仕方ない子を見るような目で見てから。リビングを去って行く。
「もう! ほんっとうに、大人って頑固だよね~お姉ちゃん!」
「まぁ、大人になると現実的になる……というより。そうしないと、社会でやっていけないからね。漫画のような話を夢見るのは、子供までだし」
「うわ~。お姉ちゃんまだ15才なのに、オバサンみたい!」
「あんたは、14才だから中二病を発症中ね」
「これは現実だから~!」
茜は、ぷりぷりと怒る――。
その姿や性格は、どこからどう見ても茜だ。
(やはり、私の気のせいか……?)
♢◆♢
部屋に戻り――ギュルルルル~~!! と凄まじい音が鳴った。
「は? なに、今の?」
『き、気にしないで! もう、僕は空気です!』
私の視線を受け、アワアワと挙動不審になるゆるタヌキ。
その間も、ギューギュー鳴っている。
(……まさか、腹の音?)
「え、あんた……お腹減るの?」
『……う、うん。変異体になると、お腹減るみたい。け、けど、食べなくても死なないから! いつかは慣れるし、大丈夫!!』
はぁ、とため息をつき。まだ食べかけだったスナック菓子を手に持ち、画面に寄せる。
『え、え? その……』
「ほら、これあげる。宇宙生物の口に合うかは、分からないけどね」
原理はよく分からないけど、画面にくっ付けてたお菓子が吸い込まれた。
『お、美味しい!! 食べるのって、こんなにホワ~ンってなるんだね!』
「それは、良かったね。……てか、一度も食事とったことないの?」
『僕達は、空気を吸うだけで十分なんだ。むしろ、何か食べたら、異物として吐き出してしまうから……』
「……なにそれ、虚しい生き物」
『…………うん、そうだね』
何故か、ショボンとしてしまったゆるタヌキに。再び、お菓子を画面に付けると――待ってましたというように、チュルンと吸い込まれた。
ゆるタヌキは、人間に真似てるのか。はぐはぐと口を動かして食べていて……。だから、ペットに食事をあげているように思えて、少し面白くなった。
ゆるタヌキにお菓子をあげ終え。読みかけだった漫画を見ていると『僕にも見せて~』とうるさかったので、一緒に見る。
ゆるタヌキは、感動したのか『続き! 続きは、まだ!?』と興奮していたから――。
「作者が寄生されてなければ、この続きが見れるんじゃない?」と言うと。途端に、黙り込んだ。
それからは、私がベッドに入り、寝るまでずっと――ゆるタヌキは口を噤み、一言も話さなかった。
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