ダンジョンの核に転生したんだけど、この世界の人間性ってどうなってんの?

未知 道

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44.頬っぺた、つまんだだけなんだけど……

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 ――視界がグニャリと歪んだと思ったら、一瞬のうちに場所が変わった。

 うわぁ……。空間魔法、マジで便利な魔法だよな。あっという間に、行きたい所に移動出来るんだぜ?


「はぁっ……! はっ、はぁっ! ヤマダ……先に、宿を、探そう」

 あ、でも……。それを使った本人はそうじゃないか。

 レイドが言うに、その距離が遠ければ遠い程。魔力の消費が激しいとのことだ。

 そりゃ、そうだよな。さっきまで俺達が居た場所からだと、行くのに一年もかかるような国に飛んだんだ。
 しかも、俺も連れてるから魔力消費は2倍使う。だから、余計にキツイんだろう。

「そうだな……。――あっ! あそこの宿でも良いか?」

 ちょうど。目の前の道を、少し歩いた所に宿らしきものがあった。

「ああ……」

 青白い顔をしたレイドが、そこを見てホッと肩の力を抜いていた。

 良かった、良かった。こんな、フラフラな状態のレイドを、宿を探すために連れ回せないもんな~。
 もし、目に見える所になかったら。レイドをここに置いて、俺が一人で宿を探しに行くつもりだった。

 俺、方向音痴だから。戻ってこれるか、それがスゲー不安だったんだよ……。


 ――レイドを支えながら進んで行き、何とかその宿に入った。



 △▼△▼△▼△▼


「レイド、もう大丈夫なのか?」
「ああ、もう回復した。時間を取らせてすまなかったな。さっそく、情報収集に向かおう」

 宿に着いてから、一時間程でレイドの顔色が戻った。

 前から思ってたけど。レイドって魔力回復が、凄く早い。
 普通だったら、ちゃんと回復するのに半日はかかるらしいんだけどな~。



 ――「そうなんですよ! 気が付いた時には、この名高い祠を壊されておりましてね。そのせいで、観光客も大幅に減ってしまいました。本当に、犯人には天罰が下って欲しいものです!」

 ――「うぅ、グスッ! 私が愛情込めて育て上げた、牛と豚が惨殺されていました! なんて、惨たらしい!! おかげで、ここを閉鎖しなければいけない羽目になってしまいまして……。どうか、どうか……犯人を捕まえて下さいっ!!」

 ――「家に帰っている途中で、身体に何か強い衝撃を感じて……。で、目を覚ましたら病院だったんだ。早く犯人が見つかってくれないと、安心して道も歩けないよ」

 ――「はい、行方不明者を探すために山に向かった救助の方達も、未だに戻って来ておりません。あ、あのっ……! あなた様は、有名な古代魔術師様ですよね? この国を助けて下さい!! 最近は、皆の怯えが伝染し、国を出る民も多くなってしまいました。これでは、国の存続が……」

 ――「山が、噴火寸前で……。そうなれば、もうこの国は終わりです。山にいる炎竜は、山の噴火を抑えてくれる神獣のような存在だったのに、もう何もしてくれなくなっていて……。ああ、何故こんなことに……」



「恐らく、原因は山にあるだろう」
「山……? レイド、なんでそう思ったんだ?」

 ――被害にあった人達や関係者の話を、俺達は一通り聞き終えたので。情報を整理するため。再び、宿に戻って来ていた。

「国内の話だけならば、どこかにあるような事件だったが。山に入った者全員の消息不明や、炎竜の急な変化を考えると……。この一連の犯人は、そこに居る可能性が極めて高い」

 確かに、そうか。

 炎竜が神獣って……。なんか、不思議だな。
 もっと、こう、荒々しい感じのイメージをして――ん? ……んん? ああっ!!

 炎竜って、あの勇名にあったよな!?

 うわ~。色々あって、すっかり忘れてたわ……。
 う~ん、と。ついでに、スキルでも見て――――。


 ふと、気が付いたら。レイドが、俺の顔を覗き込んでいた。


 あ、そうだ……。まだ、話の途中だったんだ。

 一人で考え込んじゃってた。


 多分、俺が急に何も言わなくなったから、気になったのだろう。


「ごめ――」
「ヤマダ、どうした? 百面相をして……。ふっ!」

 はっ!? 百面相!!? ってか、今こいつ、鼻で笑ったな……?

「俺の表情は、柔軟性たっぷりなんだよ~! お前の、その固い表情を、俺が柔らかくしてやろうか!?」

 ムカついたから、レイドの頬っぺをつまんでグニグニと動かした。

「ひゃっ、ひゃまだ! にゃめろ……っ!」
「はははっ! そんな、舌足らずに話しちゃって~! 意外とお似合いだぞ~~っ!!」

 すました表情がデフォルトである、レイドの顔を思う存分弄くり回す。

 それから少しして。何だか固いものが、俺の足に当たって。不思議に思い、そこを見ると――。


 レイドのアソコが、何故かビンビンに立っていた。


「――ほぉあっ!!?」

 俺は慌てて、レイドから飛び退く。

「はっ、はは、お前って、こんなんでも立つのかよ……?」
「ヤマダだからだ」

 おい、それもどうかと思うぞ……?


 また、いつものような事をしてくると思い。俺は警戒していたけど。レイドは、トイレに行ってくると言って、俺から離れて行った――。


 もしかして、俺とした。あの約束を守ってるのか?

 ふ~ん……。そういうのは、ちゃんと守る奴なんだなぁ~。


 何だか、胸がじんわりと温かくなった。


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