54 / 131
54.隣にいる奴は、超人のようだ
しおりを挟む--------
――ダンジョン核・レベル251
攻撃力・21477
防御力・25916
魔法攻撃力・28203
魔法防御力・141369
素早さ・80017
幸運・∞×10
--------
--------
――勇名・レベル300
低∶侵入者を攻撃せよ。【1000╱1000】
低∶侵入者からの攻撃を防御せよ。【1000╱1000】
低∶侵入者からの攻撃を避けよ。【1000╱1000】
中∶誘惑せよ。【10╱10】
中∶ダンジョン内を模様替えせよ。【10╱10】
中∶小さき無垢な命に安息の場を設けよ。【10╱10】
高∶流れる光粒を捕まえよ。【0╱1】
高∶炎竜を使役せよ。【1╱1】 炎竜 ▶ 召喚
高∶大陸全ての名物品を見よ。【1╱1】
?∶?【?】
--------
「ん~? 無い、よな?」
新しい機能で、炎竜の召喚はある。
けれど、隅々まで見ても……あの幸運スキルを使用する機能はどこにも無い。
「あれは、何だったんだ?」
状況が状況なだけに、はっきりと覚えてはいないけど――。
幸運に抱かれし者や苦痛を察知、とか書いてあったような……?
特定の状況下じゃなきゃ発動出来ないのか?
う~ん、よく分からん。
「ヤマダ、終わったから行こう」
「あ、おお!」
そうだった、今は魔術塔に来ていたんだ。
前にあった、紫の禁術機は既に消滅したようであり。灰の禁術機は、まだ消滅はしていないが、特に怪しい動きもないようだった。
△▼△▼△▼△▼
魔術塔から出て、レイドと一緒に道を歩いていたら。騒いでいる人達が目に入る。
――ん? あそこは、ギルドか……?
ギルドに、人がたくさん押し寄せているようだ。
皆がギルド内に入ろうとしているから、出入り口付近がギュウギュウで隙間がなく、外にまで人が溢れだしている。
「なんでダンジョンが生まれて来ないんだよ!? おかしいだろっ!!」
「新しい武器が欲しかったのに~! これじゃあ、作れないじゃんっ!」
「なんとかならないの~? 輝石をあげる約束してんだけど~!?」
ダンジョン? 生まれて来ないって?
ん~……。ああ! そういえば、ダンジョンが消失したら、また新しく生まれて来るとかって馬鹿が言ってたっけな?
「……レイド、今って、全てのダンジョンが消失したままなのか?」
「それは、まだ調査中だが。いま知っている限りでは、そのようだな」
レイドは、ギルドの方を一瞥しただけで、あまり興味が無さそうにしている。
レイドって、俺のダンジョンには物凄い頻度で来てはいたけど。俺が輝石になってから今までで、輝石を取る目的で、ダンジョンに行ってなかったんだよな。
武器や防具も、輝石を使っていないものを装備しているし。どちらかというと、それを避けているように見えるかも……?
その、すし詰め状態のギルドから目を離す時。焦燥した様子の人達がいた。
何か、立ち話をしているようだが。そこの場所は、新鮮な野菜などを置いていた八百屋の前で。まだ昼間なのに、シャッターを下ろし。店主は頭を抱えて、同業者のような人と話をしている。
それが、少し気になり。悪いと思いながらも、俺は聞き耳を立てた――。
「なんで、こんなに急に作物が腐ったんだ。ああ~……。これじゃあ、売り物にもならんよ」
「お宅だけじゃない、私のとこもだ。しかも、この地域だけじゃなく遠い所にある農家も、いきなり土が駄目になっちまってるようだし……。こりゃあ、一体全体どうなってんだ?」
大丈夫か、それ……。
俺は、人間じゃないから食べ物って必要ないけど。普通の人間は、無いと死んじゃうよな?
――あれ、そういえば……。レイドが、飲み物をとるのは見たことがあるけど、食事をとっている様子はなかったような……?
「レイドって、いつ食事とってんの?」
「食事? 特に、必要ないな。状況によって、喉は渇くが……。飲まないなら、飲まないで問題にはならない」
……え? レイドって、人間、だよな?
「なんで? レイドって、人間じゃなかったのか?」
灰の禁術機は、レイドのことを人間って確信していたようだったけど……?
「人間ではある。だが、普通の人とは違い。俺は、日の光さえあれば大丈夫な身体のようだ」
「へっ? 何それ、超人??」
人間って域を超えてるよな、それ。
「実は、俺も……。それを、ずっと不思議に思っていたことだったが……――俺は、炎竜と深い関わりがあるようだからな。恐らく、それが要因だったのだろう」
あ~、そうか。炎竜は、自然から生まれたって言ってたしな。
ずっとあそこの火山にいたんなら、食事だって取ってなさそうだし。炎竜は日の光だけで生きていけるのかもしれない。
なら、その炎竜の性質までもが、レイドに与えられていたと考えれば納得できる。
「そうか~。まあ、食べなくても良いなら、楽っちゃ楽だから良いよな~」
「ああ、そうだな」
俺達はそのまま、いつもの森へと向かい。残った、黒の禁術機に関する動向を探りながら。それを掴むまで、暫しの休息を得ることにした。
********
「――……白、お前は選択を間違えたんだ」
どろどろとしたヘドロのような汚れや、灰に似た物質が渦巻く場所で――黒い影が、ポツリと呟いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
108
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる