ダンジョンの核に転生したんだけど、この世界の人間性ってどうなってんの?

未知 道

文字の大きさ
53 / 147

53.魂は、目玉みたい

しおりを挟む
 


「レイド、大丈夫か? ごめんな、俺のせいで……。でも、俺に――」

 『そこまでする必要はない』と続けて言おうとする前に、強く引き寄せられた。

「ヤマダ……! 頼むから、あんな事……二度としないでくれ……っ!!」

 俺は、レイドに身体を掻き抱かれ。苦しい程の抱擁を受ける。
 肩がジワジワと濡れていくから。レイドは、泣いているのだと分かった。

 俺をここまで、心配してくれているのに『そこまでする必要はない』なんて言葉、もう伝えることは出来なかった。

「……ごめん、レイド。ありがとうな、治してくれて」

 けど……。あの時に今、戻ったとしても。同じことをしてしまうだろう。

 だから、レイドの言葉に対して肯定することは出来なかった――――。



 △▼△▼△▼△▼


 少しして、レイドは落ち着きを取り戻し。
 それで、やっぱりだけど。ここに連れて来てくれたのは、炎竜だったのだと聞いた。

 あんな状態のレイドが、空間魔法なんて使えないだろうからな……。

 レイドは、あの後。炎竜が空間魔法を使用し、共に街へと移動した記憶はあるようで……。炎竜が、空間魔法で街に移動した時は。人々が、かなりパニック状態だったという。
 けど、行方不明者などを連れていたことや。火山の噴火を抑え、いつも人々を救ってくれていること。更には、自分達と意志疎通も出来ることから。最終的には『神』と言われ、崇められていたらしい。

 ……炎竜が、ここまで俺に伝えなかったのは、恥ずかしかったからかもな。神なんて言われ、崇められるなんて……俺だったらスゲー恥ずかしいわ。


 それから、俺は。話したくてウズウズしていたこと――レイドの前世が炎竜と友人であり、再び出会えたことは凄いことだよな、と感動しながら言うと――――。


「まぁ、そうだな。だが、あくまでも前世での話だ。魂がそうだったとしても、以前の者とは容姿や性格から、全てがかけ離れている。それは、炎竜も分かっていることだ。だから、探すこともしなかったんだろう」


 なんとも、クールな返事が返って来た。


「えっ? えぇ……? で、でもさ、魂が一緒なんだよな? そんなに、違うものなのか?」

 魂が一緒なら、仕草や思考などか同じだとか言わないか? まぁ、それは漫画の中の話だけどな……。

「……これは、見える者でないと理解し難いだろうが。丸い器の中に魂は入っていて、魂の色は2種類存在する。中心部が元の魂の色で、これは輪廻しても変わらない芯というものだ。それを囲うようにしてある、周りの色は、置かれた環境などで色が染まっていく。正直こちらの方が、人となりを作っているな」
「ん~……? じゃあ、マジで魂の色ってだけか……?」

 というか、◉って感じなのかな? うぇ、なんだか目玉みたいだな。

「そうだ。だから、前世に親しかった人間と出会ったからといって、同じな訳がない。芯だけではなく、周りの色も全て含め、ひとつの魂が成り立っているのだからな」
「そうか……。じゃあ、自分が生まれ変わったとしても。もう、まったく違う人間ってことなんだな」


 しんみりと、なんだか物悲しい気持ちになる。

 ……? あれ、俺って、俺じゃね??

 んん? 前世の記憶、バッチリキッカリ持ってんだけど?

 輪廻のエラーか? エラーなのか?


「――ああ、……――の……な……」
「え? レイド、何か言った?」

 俺の魂は大丈夫なのか? と考え過ぎてて。レイドが何か、小さな声で言っていたのを聞き取れなかった。

「その通りだと言ったんだ。だからある意味は、一度限りの人生というものなんだろう」
「そ、そうっ! そうだよな~!! はは、ははは……」


 え~? 俺の魂、どこかおかしいのかな?


 ――別に、信じていないという訳ではなく。炎竜やレイドが、あまりにも人間が輪廻をする前提で話しているのが不思議だったので、それはどうしてなのかと聞いてみた。

 この世界では、生き物が転生するということは当たり前の事実とされていて。科学的にも、人間の頭頂部あたりに、レイドの言っていた魂の器というものが実際に確認されているようだ。
 しかし、あくまでその器の存在が分かっているというだけであり、個人の色までを、炎竜やレイドのように認識することは出来ないというのだ。

 それで、俺は思った。もしかしたら、この世界と、俺が前にいた世界の、システムが色々と違うのかもしれない。
 だって、前の世界は、科学が発展していたのにも関わらず、輪廻というものは眉唾物でしかなかったからだ。
 俺はきっと、何かの不具合で、こちらの世界には来てしまったが。その魂云々のシステムの枠に、俺は外れている……ということなのだろう。

 まぁ、今のところは。俺の体質が、良い意味で異常という以外で、何か起きてるわけじゃないし。あまり、気にする必要もないことだな……。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

転生×召喚

135
BL
大加賀秋都は生徒会メンバーに断罪されている最中に生徒会メンバーたちと異世界召喚されてしまった。 周りは生徒会メンバーの愛し子を聖女だとはやし立てている。 これはオマケの子イベント?! 既に転生して自分の立ち位置をぼんやり把握していた秋都はその場から逃げて、悠々自適な農村ライフを送ることにした―…。 主人公総受けです、ご注意ください。

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

病み墜ちした騎士を救う方法

無月陸兎
BL
目が覚めたら、友人が作ったゲームの“ハズレ神子”になっていた。 死亡フラグを回避しようと動くも、思うようにいかず、最終的には原作ルートから離脱。 死んだことにして田舎でのんびりスローライフを送っていた俺のもとに、ある噂が届く。 どうやら、かつてのバディだった騎士の様子が、どうもおかしいとか……? ※欠損表現有。本編が始まるのは実質中盤頃です

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

処理中です...