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53.魂は、目玉みたい
しおりを挟む「レイド、大丈夫か? ごめんな、俺のせいで……。でも、俺に――」
『そこまでする必要はない』と続けて言おうとする前に、強く引き寄せられた。
「ヤマダ……! 頼むから、あんな事……二度としないでくれ……っ!!」
俺は、レイドに身体を掻き抱かれ。苦しい程の抱擁を受ける。
肩がジワジワと濡れていくから。レイドは、泣いているのだと分かった。
俺をここまで、心配してくれているのに『そこまでする必要はない』なんて言葉、もう伝えることは出来なかった。
「……ごめん、レイド。ありがとうな、治してくれて」
けど……。あの時に今、戻ったとしても。同じことをしてしまうだろう。
だから、レイドの言葉に対して肯定することは出来なかった――――。
△▼△▼△▼△▼
少しして、レイドは落ち着きを取り戻し。
それで、やっぱりだけど。ここに連れて来てくれたのは、炎竜だったのだと聞いた。
あんな状態のレイドが、空間魔法なんて使えないだろうからな……。
レイドは、あの後。炎竜が空間魔法を使用し、共に街へと移動した記憶はあるようで……。炎竜が、空間魔法で街に移動した時は。人々が、かなりパニック状態だったという。
けど、行方不明者などを連れていたことや。火山の噴火を抑え、いつも人々を救ってくれていること。更には、自分達と意志疎通も出来ることから。最終的には『神』と言われ、崇められていたらしい。
……炎竜が、ここまで俺に伝えなかったのは、恥ずかしかったからかもな。神なんて言われ、崇められるなんて……俺だったらスゲー恥ずかしいわ。
それから、俺は。話したくてウズウズしていたこと――レイドの前世が炎竜と友人であり、再び出会えたことは凄いことだよな、と感動しながら言うと――――。
「まぁ、そうだな。だが、あくまでも前世での話だ。魂がそうだったとしても、以前の者とは容姿や性格から、全てがかけ離れている。それは、炎竜も分かっていることだ。だから、探すこともしなかったんだろう」
なんとも、クールな返事が返って来た。
「えっ? えぇ……? で、でもさ、魂が一緒なんだよな? そんなに、違うものなのか?」
魂が一緒なら、仕草や思考などか同じだとか言わないか? まぁ、それは漫画の中の話だけどな……。
「……これは、見える者でないと理解し難いだろうが。丸い器の中に魂は入っていて、魂の色は2種類存在する。中心部が元の魂の色で、これは輪廻しても変わらない芯というものだ。それを囲うようにしてある、周りの色は、置かれた環境などで色が染まっていく。正直こちらの方が、人となりを作っているな」
「ん~……? じゃあ、マジで魂の色ってだけか……?」
というか、◉って感じなのかな? うぇ、なんだか目玉みたいだな。
「そうだ。だから、前世に親しかった人間と出会ったからといって、同じな訳がない。芯だけではなく、周りの色も全て含め、ひとつの魂が成り立っているのだからな」
「そうか……。じゃあ、自分が生まれ変わったとしても。もう、まったく違う人間ってことなんだな」
しんみりと、なんだか物悲しい気持ちになる。
……? あれ、俺って、俺じゃね??
んん? 前世の記憶、バッチリキッカリ持ってんだけど?
輪廻のエラーか? エラーなのか?
「――ああ、……――の……な……」
「え? レイド、何か言った?」
俺の魂は大丈夫なのか? と考え過ぎてて。レイドが何か、小さな声で言っていたのを聞き取れなかった。
「その通りだと言ったんだ。だからある意味は、一度限りの人生というものなんだろう」
「そ、そうっ! そうだよな~!! はは、ははは……」
え~? 俺の魂、どこかおかしいのかな?
――別に、信じていないという訳ではなく。炎竜やレイドが、あまりにも人間が輪廻をする前提で話しているのが不思議だったので、それはどうしてなのかと聞いてみた。
この世界では、生き物が転生するということは当たり前の事実とされていて。科学的にも、人間の頭頂部あたりに、レイドの言っていた魂の器というものが実際に確認されているようだ。
しかし、あくまでその器の存在が分かっているというだけであり、個人の色までを、炎竜やレイドのように認識することは出来ないというのだ。
それで、俺は思った。もしかしたら、この世界と、俺が前にいた世界の、システムが色々と違うのかもしれない。
だって、前の世界は、科学が発展していたのにも関わらず、輪廻というものは眉唾物でしかなかったからだ。
俺はきっと、何かの不具合で、こちらの世界には来てしまったが。その魂云々のシステムの枠に、俺は外れている……ということなのだろう。
まぁ、今のところは。俺の体質が、良い意味で異常という以外で、何か起きてるわけじゃないし。あまり、気にする必要もないことだな……。
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