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52.炎竜とレイドの関係性

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 ――あの後。馬鹿はきつく捕縛され、他の者達も一緒に連れていかれたというのだが。その時、術にかけられていた者達は呆然とし、大人しくしていたようだ。しかし、馬鹿だけは自分は悪くないと喚き続けていたらしい。
 それで、あの馬鹿は。禁術機があってもなくても、変わらずに馬鹿だったことが証明された。


 何故、炎竜がそれを知っているかというと――空間魔法で、街の入り口にまで行ったからだという。

 自然から生まれた炎竜は、人間が使わない魔法を使えるようだ。
 例えば、さっき言った――空間魔法、幻影魔法、それから……拘束魔法。

 俺は、レイドと共通する魔法が、2つもあることに驚き。炎竜に、レイドと関わりがあるのかと聞くと。
 遥か昔、人間の友人がいたらしく。その友人に、炎竜の血を捧げ、能力を授けたというのだ。

 そして、それが……レイドの祖先だったと。炎竜は、懐かしそうに……。どこか寂しそうに言っていた。



 △▼△▼△▼△▼


『だが、その子孫だとしても。普通は赤い者のように、ワシの能力が引き継がれることはないんじゃ。あの者が特別――というよりも、そのものであったから当たり前じゃの』
「えぇ? だからさ~炎竜。もうちょい、分かりやすく、詳し~く話してくんない?」


 炎竜は『うむ~……』と困ったように唸っている。

 うん、炎竜は人間と話さない時間が長かったからか、説明というのがあまり上手くないらしい。

 なんだか……。そこは、凄くレイドと似てるわ。


『有り体に言うならば……。ワシは、魂の色が見えるのじゃ。あの赤い者は、ワシがかつて、友と認めた魂と同じ色なのじゃよ』
「えっ! そうなのかっ!? スゲー!! スゲーじゃんっ!!」

 輪廻があるというのは、俺自身が経験済だからな~! そこは、驚かないけど……。まさか、また再会出来るなんて、凄い奇跡じゃん!!

『ホッホッホ!! まあ、それを気付いたのも、主に命を救われてからじゃがの~。それをするのにも、魔力は使わぬが、莫大な集中力を使うからのぅ』

 ん……? じゃあ、もしかしたら……あの時、俺のことをガン見してたのって――――。

「なあ、炎竜。俺、もしかして……炎竜と前世で会ったことあるのか?」

 炎竜から。ずっと、意味深な言葉をかけられてるしな。

『……縁とは、ほんに不思議なものじゃ。ひとつが繋がれば、もうひとつが繋がる。それを、ワシ自身が体験することになるとはの。うむ、そうじゃな……主は――――』
「――炎竜」

 下から声が聞こえたから、バッとそこを見ると――レイドが、ゆっくりと身体を起こそうとしていた。

「レイドっ!! 無理すんなよ! まだ、寝てて良いからっ!」


 レイドは、顔をしかめて苦しそうにしている。

 この様子を見ると。俺が意識を失う前から既に、レイドは魔力切れを起こしていたのだろう。

 それを、少し回復すると同時に使い続けていたならば……。常に魔力が空になってしまい、このように身体の機能を弱めてしまったのだと考えられる。

 こんなの、普通の人だったら。そのまま死んでしまっている筈だ。
 この世界の人間にとって、魔力と生命力は同一のものであるから――――。


『ホッホッホッホッホ!! 主、話はここまでじゃな』

 あっ! 炎竜と話をしていたんだった!!

「ちょっ……! 俺の、疑問に対する返答はどうした!?」
『さて? 何のことかの~? では、ワシはそろそろ戻るとすることにするのでな。まだ、火山が揺れ動いておるから。調整しておかねばならないんじゃ』


 ――炎竜は、そう言った途端に。目の前からパッと消えてしまった。


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