ダンジョンの核に転生したんだけど、この世界の人間性ってどうなってんの?

未知 道

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141.〖ミィーナ〗過去

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 ――魔術塔内を歩き回り、塔主様を探す。

 けど、塔主様は出掛けているようで、その姿が見当たらない。


「塔主様、どこに行っちゃったんですか……?」

 塔主様がいないと……。自分だけが暗闇の中に取り残されてしまったような、孤独な気持ちになる――。

「塔主様、塔主様……。怖い、怖いよ……助けて……」

 怖くて、じっとしていられなくて……。ウロウロと意味もなく歩き回った。

「――お、ミィーナ! どうした? もしかして、迷子か?」
「ロンウェルさん……」

 ロンウェルさんは、私の事をいつも子供扱いしてくる。

 ロンウェルさんも、私と同じ防御系の極級魔術師であると聞いてびっくりした。

 でも、ただそうというだけで。私にとっては塔主様以外の人はどうでも良い。

 だから、あまり気にも留めていなかったのだが……。
 ロンウェルさんは、私に親しげに接して来る。

 恐らく……。同じ防御系の極級魔術師だからというのと、私が子供っぽい容姿をしているから世話をしてあげなきゃいけないと思っているのかもしれない。

 名前だって、最初は他の人が呼んでいるようにアクセルト様と呼んでいたけど。その本人がロンウェルと呼べと非常にしつこいから、仕方なく『ロンウェルさん』と呼ぶことにしたし……。

 私への対応だって、他の人には敬語で誠実に接しているのに、私にはそんな誠実さが微塵もなく子供扱いしかしないのだ――。


 ずっと、迷子か迷子かと言ってまとわりついてくるロンウェルさんを押し退ける。

「もう、迷子じゃありませんから! ……それよりも、塔主様がどこに行ったのか知っていますか?」

 私が塔主様の居場所を聞くと、ロンウェルさんは「ん~、知らないな……」と私から目を逸らして言った。

 塔主様の居場所を知らないなら、ロンウェルさんに用はない。
 私は、この場から離れようと足を踏み出そうとした。すると、廊下の奥から塔主様の話し声が聞こえてきて、心がふわりと楽になる。


 塔主様! 塔主様が、帰って来た!!


 私は嬉しくて、ロンウェルさんと話していたことなどすっかり忘れ、その声がした場所まで走って行く――。

「――だから、レイドがいればさ~。絶対、この魔術塔がさらに良くなると思うんだよなぁ」

 レイド? それは、誰……?

 塔主様は、魔術塔の人に高揚したかのような声で話していて……。

 その表情は――頬を赤らめており、いつもの塔主様じゃないみたいだった。


 その後。私は、いつ部屋に戻ったかも分からないくらいに酷く動揺していた――――。



 ********



 あの後から、塔主様は『レイド』って人のところに行って、魔術塔に入って欲しいと勧誘をしているようだった。


 以前、塔主様と話していた人にさりげなく『2人はどんな関係ですか?』と聞いてみると――。

 120年くらい前からの付き合いで、塔主様のほうからその人に張り付いているというのだ。

 私より40年も先に2人が出会っていたと聞き、なんだか悔しい気持ちになった。

 その人は決まった場所にいないようであったが、最近になりこの国に滞在しているようで、塔主様はここぞとばかりに勧誘しているらしい。


 何だか、とても気になって……。外に出るのが怖かったけど、塔主様の後をつけて行くことにした――。

 それで、分かってしまった。塔主様がその人を好きなんだと。

 だって、あれは……――私が塔主様を想いながらたまたま鏡を見た時、同じ顔をしていたから。


 ――嫌だ。塔主様……あの人は男の人だよ?

 どう頑張っても、家庭を築くことは出来ない。

 でも、私だったら……。異性だし、同じ極級魔術師でもあるから、塔主様の赤ちゃんだって孕める可能性が高い。

 だって、極級魔術師という存在自体が少ないのと、存在を隠しているのがほとんどだから探してもなかなか見つからない。何よりも、防御系の魔術師である私やロンウェルさんの事を、塔主様はすごいと尊敬しているように見ていたから、頑張れば私を選んでくれるかもしれないと期待していた。
 尊敬が愛に変わることだってあるだろうから――。

 だから、私はつねに塔主様の目に映るようにしていた。

 抱きついてわざと胸を押し付けてみたり、【塔主の間】に行く時には薄着で行って抱きついてみたりもした。

 けど……『よしよし、ミィーナは可愛いな~!』って笑って抱きしめ返してくれる。
 でもそれは、私を女性としてではなく……妹のように見て接しているのは、塔主様のその目や仕草を見ればすぐに分かった。

 凄く、悔しかった。

 でも、それでも……。きっと、いつかは……と思っていたのに――。

 どうして私じゃなくて、その男の人なの………?


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