31 / 37
第31話
しおりを挟む「バレッサ?」
「……」
「今なんて言った?」
「っ、あぁっ……ん、」
溢れていた涙を拭って彼を見上げると激怒に滾る瞳が私を見下ろしていた。
思わず小さく悲鳴を上げると彼は冷たく笑う。
「今なんて言った?言えるものならもう一度言ってみろ」
「あ、ぅ」
「ははっ、そんなに可愛い顔して媚びても駄目だからな」
明るく笑っているはずなのに目が全く笑っていない。
今背を這っている悪寒は服を着ていないことが理由ではないだろう。
「バレッサ、俺の目を見て答えろ。今お前は俺になんて言った?」
「……え、えと…」
「俺はあまり気が長い方じゃないぞ」
そう言って彼はゆっくりとギリギリまで自身を引き抜くと一気に最奥まで突いてきた。
先ほどとは比べ物にならない圧迫感と快楽に頭が真っ白になる。
「ほら、答えろ」
「っ、ごめ、なさ……ぁあっ」
「違う。そうじゃないだろ?お前が俺に言ったのは謝罪の言葉か?」
彼は淡々と言葉を続けながら的確に私の弱いところを責め立てる。
もうとっくに限界だというのにそれでもまだ許してくれないようで彼は無情にも私を責め立てる。
「だって、私は、…ぅあ、ん……ちょっ、と止まって…言うから」
ようやく動きを止めた彼は不機嫌そうな表情を微塵も隠そうとしない。
息を整えようと深呼吸を繰り返している間にも彼は首に吸い付いてくる。
「はぁ……ぁ、」
「で?」
「……私みたいな傷だらけの女、よく抱けますねって、…言った」
私の言葉を聞くや否や、彼は盛大にため息をついた。
そんな彼の態度に怯えながらも私は更に言葉を続ける。
「だ、だって…身体は柔らかいというよりも筋肉で固いし、傷だって…こんな男みたいな奴を抱くより蝶よ花よと育てられた王族や貴族の方がよっぽど綺麗で気持ちいいでしょう?」
私の言葉に彼はもう一度深くため息をつくと「もういい」と私の言葉を締め括った。
「お前は何も分かってないみたいだな。俺は女性を抱きたくて抱いてるわけじゃない。お前を抱きたいから抱いてるんだ。そこは履き違えるな」
「……」
「1回で伝わるとは思っていない。元々何度も伝えるつもりだったからいいさ」
そう言うと彼は中から自身を引き抜き私をうつ伏せにさせて腰だけ高く上げさせたかと思うと一気に中に押し入ってきた。
今までの行為が嘘だったかのように激しく揺さぶられ、再び快楽に思考が塗りつぶされていく。
「あぁっ……ぁんっ……はっ」
「好きだバレッサ、愛してる」
彼は私の背中に何度も何度も口づけを落としながら律動を繰り返す。
もう何度達したか分からないのにそれでも彼は止まってはくれない。
それどころか中の彼を強く締め付けたせいで彼が更に大きくなったような気がした。
「バレッサ……、可愛いな」
「も、…いい、から」
「俺もそろそろ限界だ。もう少しだけ頑張って起きててくれよ」
彼はそう言うと更に腰の律動を早め、同時に胸への愛撫も再開してきた。
「あ、ぁっ……だめっ、んあぁあっ!」
「っ、くっ……」
私が達したすぐ後に彼はすぐにモノを抜いて避妊具の口を括った。
ようやく枕を抱えて余韻に浸っていると彼は猫のように擦り寄って来た。
そして首筋に吸い付きながら何度も音を立てて唇を落としてくる彼に擽ったさ半分、虚しさ半分といった心持ちだ。
0
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
狼隊長さんは、私のやわはだのトリコになりました。
汐瀬うに
恋愛
目が覚めたら、そこは獣人たちの国だった。
元看護師の百合は、この世界では珍しい“ヒト”として、狐の婆さんが仕切る風呂屋で働くことになる。
与えられた仕事は、獣人のお客を湯に通し、その体を洗ってもてなすこと。
本来ならこの先にあるはずの行為まで求められてもおかしくないのに、百合の素肌で背中を撫でられた獣人たちは、皆ふわふわの毛皮を揺らして眠りに落ちてしまうのだった。
人間の肌は、獣人にとって子犬の毛並みのようなもの――そう気づいた時には、百合は「眠りを売る“やわはだ嬢”」として静かな人気者になっていた。
そんな百合の元へある日、一つの依頼が舞い込む。
「眠れない狼隊長を、あんたの手で眠らせてやってほしい」
戦場の静けさに怯え、目を閉じれば仲間の最期がよみがえる狼隊長ライガ。
誰よりも強くあろうとする男の震えに触れた百合は、自分もまた失った人を忘れられずにいることを思い出す。
やわらかな人肌と、眠れない心。
静けさを怖がるふたりが、湯気の向こうで少しずつ寄り添っていく、獣人×ヒトの異世界恋愛譚。
[こちらは以前あげていた「やわはだの、お風呂やさん」の改稿ver.になります]
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる