運命を語るにはまだ早い ~執着系御曹司は運命の赤い糸にキスをする~

宮野 智羽

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第16話

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「うぇ?」
「何だその声」

急な行動に素の声を漏らすとケラケラと笑われる。
いや、寝起きの人間にそんなことやったらこんな反応にもなりますよ。

「あの、お仕事はいいんですか?今が何時かは存じ上げませんが」
「今は18時だ。俺の仕事なら部下に任せてきたから心配するな。ついでに俺も有給を消化していなかったから紫苑と同じ期間だけ休みをもらったんだ」
「…聞くのが怖いのですが何日ですか」
「3日だ」
「あー…繁忙期ではないのでそれぐらいなら大丈夫そうですね」

一瞬とんでもない期間を言われるのではないかと思ったのだが、流石御曹司というべきかその辺りの常識はしっかりしているらしい。
3日もあるなら家でゆっくりさせてもらおう。

「色々とお気遣いありがとうございます」
「気にするな」
「……お礼をしたい気持ちはあるのですが今は無理なので後日でもいいですか?」
「お礼?」
「あ、手か口でいいなら貸しましょうか?」

所謂そういうポーズをすれば、とんでもないものを見たような目でドン引かれる。

うっわ、なんですかその眼差し。
ここまで生きてきましたが初めて向けられましたよ。

「そんなの求めてないから今すぐやめなさい」
「手の甲にキスをするなんて気障なことをやってきたのでそういうことなのかと」
「お前は人のことを何だと思っているんだ」

深いため息を吐かれる。
これって私が悪いのか?

「お礼も求めていないなら今日はこの辺でお暇させていただきます。最寄り駅って何駅ですか?」
「は?帰るのか?」
「帰りますよ。菅谷さんのお休みを邪魔するのも申し訳ありませんし」

ベッドから立ち上がって鞄とジャケットを探す。

あれ、この部屋にないのかな。
一度リビングに寄らせてもらおう。

「菅谷さん、私の荷物ですがどこ」

彼を振り返りながら問いかけると急に抱きしめられる。
視界いっぱいに広がる綺麗なワイシャツに頭が混乱する。

「帰るなよ」
「いやいや、これ以上迷惑をかけるわけにはいきませんって」
「俺がいいと言っているんだ」

訳が分からず混乱していると私の首筋に彼がすり寄ってきたため身体が跳ねる。

「ちょっ、何してるんですか!」
「このまま帰すわけにはいかない」
「何言ってるんですか!私なら大丈夫ですから!!」

彼の身体を押すと小さく舌打ちをしてから彼が見下ろしてくる。
その圧に怯んでしまい下を向く。

何で私怒られているんだろう…。
彼が怒るようなことをした覚えも言った覚えもないのに。

メンタルが弱っているのか涙で視界が揺らぐ。
あぁ、この人の前では泣きたくないのに。
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