強制悪役令息と4人の聖騎士ー乙女ハーレムエンドー

チョコミント

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覚醒

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ふわふわした浮く感覚がする。

もしかしてこれが死ぬって事なのかもしれない。

ずっと死にたくないって思っていたのに、好きな人と一緒に居られるなら死ぬ事も怖くないと思えた。
愛って凄いんだな。

誰かが俺を呼ぶ声がする。
この声は………ジョーカー?

ゆっくりと目を開けると目の前に愛しい人がいた。

「イリヤ、大丈夫か?」

「…ジョーカー、死んでも一緒だね」

「幸いな事に、まだ生きてる」

ジョーカーに頭を撫でられて首を傾げた。
生きてる?俺、死んでない?

自分の手を見つめて握ったり開いたりして確認する。
ジョーカーの頬に触れて微笑む。
……まだ、俺は生きる事を許されたそうだ。

そういえばここは木陰の下だ。
周りを見渡しながら起き上がると穴があったであろう場所は色が違う土で塞がっていた。
あの下にいたんだなんて夢を見ていたようで現実離れしていた。

「なんで俺達、助かったの?」

「分からない、ただ…突然力が溢れてきて痛みが引いたんだ」

それって…もしかして…

確かジョーカーは脇腹を押さえていたよな、あれが痛みからではないとすると…
ジョーカーのシャツを捲り確認する。
ジョーカーも一緒に下に視線を向けて目を見開いた。

傷があった脇腹は跡一つない綺麗な状態で、その上に薔薇の刺青が見えた。
ジョーカーには見に覚えがないからか眉を寄せていた。

「……なんだこれ」

「聖騎士の証だよ」

「だから俺は聖騎士じゃ……え?」

ジョーカーは不思議そうに俺を見た後に再び刺青を見つめた。

フリードの時と同じだ、刺青の場所は違うけど覚醒したんだ…聖騎士に…
でもなんでいきなり、あんなに聖騎士の覚醒を望んだ時は何もなかったのに…

そこでジョーカーに異変があった時なにかあったかよく思い出す。

『…そうだな、俺も…上級魔法使いでもこの世で一番大切な奴を守れない力なんていらないな』

『今の俺はイリヤを守る力がほしい、だから聖騎士だろうとなんだろうと求める……だけど守るべきイリヤがいないのなら聖騎士なんていらない』

フリードとジョーカーが言った言葉で似ている言葉を思い出す。

二人共、自分の力を否定している?
この魔力で階級を決める世界で魔力を捨ててでも守りたいものを守りたいという想いが強いと聖騎士に覚醒するのか?
魔力がないと生きていけない、それでもいらないと言う……これが本物の愛の力になって覚醒するんだ。

ボーッとする俺にジョーカーは心配そうに顔色を伺う。

「イリヤ、何処か怪我したか?」

「えっ…あ、ううん」

「大丈夫か!!イリヤ!!」

ジョーカーを安心させようと笑っていたら何処からか叫ぶ声が聞こえて周りを見ると俺達が来た方向からフリードが走ってきていた。
フリードは塞がった不自然に膨らんだ地面に驚きつつも走ってきた。
フリードを見て改めて生きてると実感して鼻がツーンとした。

息を切らして立ち止まったフリードにジョーカーは無表情に戻った。

なんでフリードは俺達がここにいる事が分かったんだろう。
ジョーカーのように着いてきていたわけではないと思うけど…

「フリード、よくここが分かったね」

「仕事が思ったより早く終わったからお前らを探しに来たら何処からか白い花びらが舞ってきて探してたんだ」

花びらってジョーカーが覚醒した時に舞っていたのだろうか。
俺は気絶していたから見えなかった、ちょっと残念。

フリードはジョーカーを見ていた、いや…なんか睨んでいた。
ジョーカーはフリードの視線に意味が分からないと眉を寄せていた。

フリードがなんで怒ってるのか俺も分からなかった。
もしかして余計な仕事を増やすなって事なのかな。

「…フリード、その…ごめ」

「お前も聖騎士になったのか?」

「…………も?まさかお前も?」

「チッ、俺とイリヤだけの秘密だったのに…」

どうやら俺が考えている事ではない事で怒っていたらしい。

フリードは肩を落として俺の隣に座った。
夕焼け空が俺達を見つめていた。

ジョーカーはまだ聖騎士という自覚がないからかあまりピンときていないようだったが自覚しているフリードは少し余裕そうだった。
「あの土の不自然なやつ、お前がやったのか?」とフリードは聞いてジョーカーは頷いていた。

ジョーカーは風魔法ではなく土魔法を使ったそうだ。
下から土を出して俺達を地上まで運びついでに穴を塞いだらしい。
これほどまでの力を使えるのはやはり聖騎士しかいない。

「…イリヤは何者なんだ?俺が聖騎士だと知っていたみたいだが」

「俺は共魔術師なんだよ」

ジョーカーに共魔術師について説明した。
聖騎士かどうかまだ疑っているジョーカーだから共魔術師の事も半信半疑だった。
ゆっくりと知っていけばいいよ、時間はいっぱいあるんだからさ。

そして俺にぶつかった男は連続爆弾魔だったらしく、落とした爆弾を探してうろうろしていたところをフリードとたまたま近くにいたロキにより取り押さえられロキに身柄を渡しフリードはこちらにやってきたそうだ。

結果的に捕まったから良かったものの、一歩間違えたら大変な事になっていたかと思うとゾッとする。
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