【完結】私を忘れた貴方と、貴方を忘れた私の顛末

コツメカワウソ

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 グレイはその後も何か話していたが、ソフィアの耳には言葉として入ってこない。

(デモンズハーピーは魔力が高い人間に呪いをかける。そして…)


 遭遇例が少なく、一般的にあまり知られていないが、デモンズハーピーは厄災の前触れとして現れる魔獣だ。
 上半身が女性で下半身が鳥、愛していた恋人に裏切られて魔法で殺された女性が魔獣になったと言われている。
 狡猾で魔力のある人間に呪いをかける。
 その呪いは愛している人間を忘れ、子孫を残せなくなるというもの。
 それだけならば高位の術師に頼めば解呪出来る。命に関わる呪いではないためすぐには難しいかもしれないが。
 それに呪いによって失った記憶は戻らないが、関係の再構築は出来るかもしれない。
 恐ろしいのは高い魔力を持った人間からは魔力を奪い、その際に魔力回路を壊す事だ。魔法で殺されたから魔力の高い人間を憎んでいるのではと言われているが、本当の所は分からない。
 そして壊れた魔力回路は自然に回復する事はない。もう二度と魔法は使えない。

「どうして西方にデモンズハーピーが…」

 ソフィアが治癒師として修行を始めた時にデモンズハーピーの事は師匠から聞いていた。将来北方騎士団で働くならば必要になるだろうからと。
 北方にしか現れた事がない魔獣の筈だ。

 固まってしまったソフィアを見て、グレイはオロオロしている。

「おい!ソフィア嬢!」

「あ…ごめんなさい」

「いや、俺はいいんだが。どうしたんだよ急に、あんたの方が真っ青な顔してるぞ。部隊長が心配なのは分かるけど…それになんで魔力が高いかどうかって」

「それは…」

「えっと…デモンズハーピーに襲われた事と魔力が高いかどうかは関係があるのか?」

(意外と鋭いなグレイさん。でも呪いの事は話さない方がいいわ。アルが無事かどうかを先に確かめた方がいい)

「いえ、急に大きい声を出してごめんなさい。骨折はもう大丈夫だと思いますのでゆっくり休んでください」

「あ、あぁそうだな。ありがとう、ビルの事も助けてくれて感謝してる」

 そう言うとグレイはビルの横に座る。
 色味のない顔で眠っている同僚を確認して治癒室を後にした。

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