9 / 69
9
しおりを挟む
ソフィアが考え込んでいるとエリーがポーションを持ってやってきた。
「ソフィア大丈夫?あなた一番の重症者を治療していたでしょう。はい、これ」
そう言ってソフィアにポーションを手渡した。
「ありがとうございます。ビルさんはひとまず大丈夫だと思います」
「一気に魔力使ってふらついてない?」
「さすがエリーさん、ポーション助かります」
エリーもソフィアと同じく数少ない師匠付きの治癒師だ。
重症者にあたる事が多い分、状況を分かってもらえる人がいるのはありがたい。
ソフィアはポーションを一気に飲みほした。
「怪我をした部隊、ランセル卿のいるところよね。まだ戻っていないみたいなんだけどソフィアは隊員から何か聞いてる?」
「いえ。グレイさん…さっき治療した方が言うには分からないみたいです。デモンズハーピーが出たみたいで…」
「デモンズハーピー?師匠から聞いた事があるわ。確か…厄災の前触れとして現れるっていう魔獣よね」
昔の知識を思い出すようにエリーは言う。
「はい。私も師匠から教えてもらいました。北方騎士団で働くならば必要な事だからと」
言いながらなんとなく落ち着かなくてポーションの瓶を手の中で回してしまう。
嫌な予感が当たってしまいそうで。
「詳しい話は知らないのだけど、どんな魔獣なの?」
「…魔力のある人間に呪いをかけるんです」
「呪い?」
「はい。愛する人を忘れ子供を作る事が出来なくなるそうです」
「…!」
衝撃を受けているであろうエリーを見て、なんとなく申し訳無くなってしまう。優しいエリーはアルフォンスがソフィアを忘れてしまう事にショックを受けたのだろう。
そして同時に魔導騎士である夫も同じ危険に晒される事に気づいたはずだ。
魔導騎士はもれなく高い魔力を持っているから。
ソフィアはデモンズハーピーについて簡単に説明する。
「解呪は出来るんです。高位の術師に頼むので状況によっては時間はかかるかもしれませんが。ただ解呪が出来ても失った記憶は戻りません」
「そんな呪いを…」
「でも重要なのはそこではなくて…」
ソフィアは喉元を押さえながら考える。
どう話をすれば良いのか迷っている事に気づいたのだろう、エリーはソフィアを部屋の隅に連れて行き小声で話し出す。
「デモンズハーピーが恐ろしいのは魔力の高い人間には、呪いをかけた後に魔力を奪って魔力回路を壊すんです」
「…まさかランセル卿が!?」
ソフィアはゆっくりと首を振る。
「分かりません。とりあえず今は無事に帰ってくる事を祈るだけですから」
「そんな事があるなんて、師匠は言ってなかったわ…酷い呪いだけれど、厄災の年に魔導騎士が減るのは国にとっても不味いわね…少なくともうちの騎士団にとってはかなりの痛手だわ」
「はい。最悪の状況は想定しないといけないかと」
「ソフィア大丈夫?あなた一番の重症者を治療していたでしょう。はい、これ」
そう言ってソフィアにポーションを手渡した。
「ありがとうございます。ビルさんはひとまず大丈夫だと思います」
「一気に魔力使ってふらついてない?」
「さすがエリーさん、ポーション助かります」
エリーもソフィアと同じく数少ない師匠付きの治癒師だ。
重症者にあたる事が多い分、状況を分かってもらえる人がいるのはありがたい。
ソフィアはポーションを一気に飲みほした。
「怪我をした部隊、ランセル卿のいるところよね。まだ戻っていないみたいなんだけどソフィアは隊員から何か聞いてる?」
「いえ。グレイさん…さっき治療した方が言うには分からないみたいです。デモンズハーピーが出たみたいで…」
「デモンズハーピー?師匠から聞いた事があるわ。確か…厄災の前触れとして現れるっていう魔獣よね」
昔の知識を思い出すようにエリーは言う。
「はい。私も師匠から教えてもらいました。北方騎士団で働くならば必要な事だからと」
言いながらなんとなく落ち着かなくてポーションの瓶を手の中で回してしまう。
嫌な予感が当たってしまいそうで。
「詳しい話は知らないのだけど、どんな魔獣なの?」
「…魔力のある人間に呪いをかけるんです」
「呪い?」
「はい。愛する人を忘れ子供を作る事が出来なくなるそうです」
「…!」
衝撃を受けているであろうエリーを見て、なんとなく申し訳無くなってしまう。優しいエリーはアルフォンスがソフィアを忘れてしまう事にショックを受けたのだろう。
そして同時に魔導騎士である夫も同じ危険に晒される事に気づいたはずだ。
魔導騎士はもれなく高い魔力を持っているから。
ソフィアはデモンズハーピーについて簡単に説明する。
「解呪は出来るんです。高位の術師に頼むので状況によっては時間はかかるかもしれませんが。ただ解呪が出来ても失った記憶は戻りません」
「そんな呪いを…」
「でも重要なのはそこではなくて…」
ソフィアは喉元を押さえながら考える。
どう話をすれば良いのか迷っている事に気づいたのだろう、エリーはソフィアを部屋の隅に連れて行き小声で話し出す。
「デモンズハーピーが恐ろしいのは魔力の高い人間には、呪いをかけた後に魔力を奪って魔力回路を壊すんです」
「…まさかランセル卿が!?」
ソフィアはゆっくりと首を振る。
「分かりません。とりあえず今は無事に帰ってくる事を祈るだけですから」
「そんな事があるなんて、師匠は言ってなかったわ…酷い呪いだけれど、厄災の年に魔導騎士が減るのは国にとっても不味いわね…少なくともうちの騎士団にとってはかなりの痛手だわ」
「はい。最悪の状況は想定しないといけないかと」
15
あなたにおすすめの小説
【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?
氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。
しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。
夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。
小説家なろうにも投稿中
記憶と魔力を婚約者に奪われた「ないない尽くしの聖女」は、ワケあり王子様のお気に入り~王族とは知らずにそばにいた彼から なぜか溺愛されています
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
恋愛
【第一部完結】
婚約者を邪険に思う王太子が、婚約者の功績も知らずに婚約破棄を告げ、記憶も魔力も全て奪って捨て去って――。
ハイスぺのワケあり王子が、何も知らずに片想いの相手を拾ってきたのに、彼女の正体に気づかずに――。
▲以上、短いあらすじです。以下、長いあらすじ▼
膨大な魔力と光魔法の加護を持つルダイラ王国の公爵家令嬢ジュディット。彼女には、婚約者であるフィリベールと妹のリナがいる。
妹のリナが王太子と父親を唆し、ジュディットは王太子から婚約破棄を告げられた。
しかし、王太子の婚約は、陛下がまとめた縁談である。
ジュディットをそのまま捨てるだけでは都合が悪い。そこで、王族だけに受け継がれる闇魔法でジュディットの記憶と魔力を封印し、捨てることを思いつく――。
山道に捨てられ、自分に関する記憶も、魔力も、お金も、荷物も持たない、【ないない尽くしのジュディット】が出会ったのは、【ワケありな事情を抱えるアンドレ】だ。
ジュディットは持っていたハンカチの刺繍を元に『ジュディ』と名乗りアンドレと新たな生活を始める。
一方のアンドレは、ジュディのことを自分を害する暗殺者だと信じ込み、彼女に冷たい態度を取ってしまう。
だが、何故か最後まで冷たく仕切れない。
ジュディは送り込まれた刺客だと理解したうえでも彼女に惹かれ、不器用なアプローチをかける。
そんなジュディとアンドレの関係に少しづつ変化が見えてきた矢先。
全てを奪ってから捨てた元婚約者の功績に気づき、焦る王太子がジュディットを連れ戻そうと押しかけてきて――。
ワケあり王子が、叶わない恋と諦めていた【幻の聖女】その正体は、まさかのジュディだったのだ!
ジュディは自分を害する刺客ではないと気づいたアンフレッド殿下の溺愛が止まらない――。
「王太子殿下との婚約が白紙になって目の前に現れたんですから……縛り付けてでも僕のものにして逃がしませんよ」
嫉妬心剥き出しの、逆シンデレラストーリー開幕!
本作は、小説家になろう様とカクヨム様にて先行投稿を行っています。
雪とともに消えた記憶~冬に起きた奇跡~
梅雨の人
恋愛
記憶が戻らないままだったら…そうつぶやく私にあなたは
「忘れるだけ忘れてしまったままでいい。君は私の指のごつごつした指の感触だけは思い出してくれた。それがすべてだ。」
そういって抱きしめてくれた暖かなあなたのぬくもりが好きよ。
雪と共に、私の夫だった人の記憶も、全て溶けて消えてしまった私はあなたと共に生きていく。
私の願いは貴方の幸せです
mahiro
恋愛
「君、すごくいいね」
滅多に私のことを褒めることがないその人が初めて会った女の子を褒めている姿に、彼の興味が私から彼女に移ったのだと感じた。
私は2人の邪魔にならないよう出来るだけ早く去ることにしたのだが。
【完結】あなたに抱きしめられたくてー。
彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。
そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。
やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。
大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。
同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。
*ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。
もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
あなたが残した世界で
天海月
恋愛
「ロザリア様、あなたは俺が生涯をかけてお守りすると誓いましょう」王女であるロザリアに、そう約束した初恋の騎士アーロンは、ある事件の後、彼女との誓いを破り突然その姿を消してしまう。
八年後、生贄に選ばれてしまったロザリアは、最期に彼に一目会いたいとアーロンを探し、彼と再会を果たすが・・・。
サバ読み令嬢の厄介な婚約〜それでも学園生活を謳歌します!〜
本見りん
恋愛
療養中の体の弱い伯爵令嬢と、4つ年上の庶子の姉。
シルビア マイザー伯爵令嬢は生まれつき体が弱かった。そんな彼女には婚約者がおり、もうすぐ学園にも通う予定だったが……まさかの駆け落ち。
侯爵家との政略結婚を断れない伯爵家。それまで病弱で顔の知られていなかった妹の代わりに隠された庶子の姉フィーネがその身代わりになり学園に通うことに……。
まさかの4歳もサバを読んで。
───王立学園での昼下がり、昼食の後お喋りに花を咲かせる令嬢たち。
「───シルビア様は、本当に大人びて……いえ、……落ち着いていらっしゃるわねぇ」
「ま、まあ……。そうですかしら? うふふ?」
……そりゃ、そうですわよね。
だって本当は私、貴女方より4歳も年上なんですもの……!
今日もフィーネは儚げな笑顔(演技)で疑惑を躱しつつ、学園生活を楽しむ。しかしそんな彼女の婚約者は……。
サバ読み令嬢の、厄介な婚約の物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる