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79話
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「さあて、この辺でいいでしょう?」
必死で追ってきた旬介を確認しながら、泰親は屋敷の裏の森の奥でくるりと振り返りながら足を止めた。
その急な動きに、つんのめりそうになりながらも、旬介は止まった。
「お前は、何者だ! 何しに屋敷にきて、何してた?」
泰親は、無表情のまま笑った。
「相手は晴明さんがします」
「はあ? 無視するなよ! 質問に答えろ!! 俺は麒麟領の跡取りだぞ!」
「知ってますよ、そんなことくらい」
ゆらりと泰親が雅に扇を振ると、晴明の姿が現れた。
包帯のように切り裂いた布に全身を巻かれたその身体からは悪臭が漂い、よく見ればぷくぷくと布で巻かれた身体のあちこちが蠢いていた。
旬介は気持ち悪くなり、更に嫌な予感がして、思わず後ずさった。
足が重いが、ここにいたらダメだと本能的に感じた。
「さあ、晴明さんは貴方のお爺様に当たると言ったらいいんでしょうか? まあ形だけですけどね。では、晴明さん。彼に稽古をつけてあげてくださいな」
旬介の背中が、ゾクッとした刹那。
彼のこめかみ目掛けて、刃が飛んできた。それを間一髪避けた。
「ほう、なかなかやりますね」
泰親の皮肉に構ってる暇あるはずもなく、次から次に攻撃は繰り出される。
(は、早すぎる!)
声さえ出せず、ギリギリで避けるのが精一杯だった。
「さあ、いつまで避けてられますか」
攻撃が見えづらい。旬介に取っては読めない攻撃が、今度は泰親の一言で変化した。
「そろそろ飽きました」
ひゅん! と飛ばされた晴明の横からの刃を紙一重で交わした時だった。肋骨が粉砕し内臓が潰れる音と同時に、かつてない激痛が走った。
確かに避けた筈なのに……と、旬介の頭の中が真っ白に埋めつくされる。
激痛でまともに息が出来ない。苦し紛れに吐いた反吐は、血で染っていた。
「さあ、晴明さん楽にしてあげてくださいな」
泰親の言葉に従うように、晴明が大きく刀を振り上げた。キラリと月光に煌めいて、刃が青白く光る。
晴明によって旬介の首元目掛けて振り下ろされた刀は、火花を飛び散らせ激しい金属音を響かせながらギリギリのところで止まった。
「間一髪」
旬介の頭上で声がした。
「旬介!」
続いて黄龍の発狂にも似た声がして、旬介は黄龍の身体に蹲った。
「旬介、少し待ってろ」
「麒麟、頼んだ」
黄龍が旬介を抱きながら、ニヤニヤ笑う泰親を睨みつけた。いつでも攻撃に対応出来るよう構えていた。が、泰親はニヤニヤ笑いながら見ているだけで何もしようとはしない。黄龍自身も、動くのは危険だと考えて警戒だけするしか無かった。変な汗が身体中を伝う。
ヒューヒューと変な息をしながら、時折血を吐く旬介が心配でたまらない。
一方、麒麟は旬介から晴明を引き離すように誘っていた。
「父上。ここは引いてくれませんか?」
届くか分からない願いを、麒麟が口にした刹那だった。
ダン! と弾かれたように晴明の身体が麒麟の懐に飛び込んできた。刃が麒麟の髪を切り裂いたがそれは当たらず、晴明の刃を交わした反動を利用した麒麟の刃が晴明の頬を掠めた。
穴の空いた布の隙間から、蛆虫やらムカデが飛び散った。
晴明は構わず、次の攻撃にシフトする。
それを交わし続けながらぬるい攻撃を繰り返す麒麟に対し、黄龍は勘づいた。
(麒麟は……)
黄龍が動揺しのを見抜いて、泰親は嫌な質問を投げた。
「どうやら、小僧は晴明さんを殺せないようですねえ。無理もない、父親ですからね」
「貴様!」
黄龍が怒鳴った。
キン! と、何れとも違う金属音を最後に、刃と刃のぶつかり合いが一旦止まった。
「父上、どうか今日のところは引いてください」
見れば、麒麟の刀が晴明の刀を地面に押さえつけ、攻撃を塞いでいた。
「お願いします」
麒麟も自分の声が晴明に届いているとは思えなかったが、この場はお願いするしか思いつかなかった。
「晴明さん、帰りましょう」
泰親は無表情で言った。
ゴッ! と晴明の拳が麒麟を殴り飛ばす鈍いがした。
麒麟が揺れて、緩まった刀を柄におさめると、晴明は泰親の方へとゆらゆら歩き出した。
「今日は娘に逢いに来ただけですから」
そう言い残し、泰親は晴明と共に煙のように消えた。
「麒麟! 大丈夫か?」
「ああ」
麒麟は旬介を抱き上げると、屋敷に急いだ。旬介は虫の息だった。
*****
「どうであった?」
富子がトカゲのように、のそのそ薄暗い住処から這い出てきた。
「まあ、想定内ですよ」
カサカサと晴明の身体から這い出た虫を潰すと、泰親はそれをバリバリと食べた。
「さて、やらねばならないことが2つほどあります。覚えていますか? はるか昔、私と富子さんとの子が出来たこと。巫女であるが故、堕胎させられましたが、その子は奇跡的に生きていた。母を求めた子を、法眼は鬼と言って封じた」
富子は狂ったように泣きわめいた。
「忘れたことなど、1度もないわ! 全ては、あの子のためでもあるのじゃ。あの子の弔いのためでも」
晴明への偏った愛情の原因でもあった。
「法眼は……法眼は、我が子を鬼と罵り封じた。我も鬼じゃった。だが、あの老いぼれには我は見えんかったのだろう。だから、我はあの子の弔いを誓ったのじゃ。そして、正室になった」
富子の顔が鬼のように崩れていく。
「あああああ~!」
断末魔の泣き声が、森を震わせた。
「富子さん。あの子魂は、法眼の封印の元におります。今から私が連れてきます。魂はあの娘か、その子の子供の身体に植え付けるつもりです。まもなく、親子が揃う時が来るのです」
「泰親殿……して、葛葉は? あの娘は赦されんぞよ」
泰親は笑った。
「もう1つのやらねばならないことがそれです。麒麟と名乗る獣から始末します。それも残酷な方法で。今から、行って参ります」
「ああ、泰親殿。頼りにしておる、くれぐれもご武運を」
*****
「母上!」
麒麟が血相変えて、葛葉の部屋に飛び込んだ。なんの挨拶も無しに来るので、葛葉は思わず布団から飛び起き、その反動で飛び退いた。
「直ぐに助けて」
言うと、先程まで葛葉の寝ていた布団に旬介をそっと寝かせた。
時折、黄龍の当てた手拭いに血反吐を吐きながら、旬介は真っ青な顔で死にかけていた。
「何が!!」
「話はあとじゃ」
麒麟は旬介の寝巻きを脱がせた。肋の部分が紫に腫れ上がり、見るからに無残な状態だ。肋粉砕と内臓破裂、生きていることが不思議な程だった。
葛葉は直ぐに治癒を当てた。
「もう少しの辛抱だ。頑張れ」
そっと声を掛けてやると、徐々に血反吐が止まり、息が穏やかに変わっていった。
暫くすると、苦しそうだった息がいびきへと変わったので、黄龍も麒麟も呆れたのだが、葛葉だけが思わず笑ってしまった。
「さて。あまり信じたくはないが……これは晴明殿の技であろう? お前達、何か隠しておるな」
ドキッとして言葉を失った麒麟の代わりに、黄龍が言った。
「何故そうお思いで?」
「伊達に夫婦をしていた訳では無い。旅をしてきた訳でも無い。晴明殿に、術の操り方を教えたのは私だ。この技を使えるのは晴明殿と蜃しかおらん。蜃が旬介を攻撃したとは思えんし、その蜃の姿が会議以降見えんのじゃ。何か知らんか?」
麒麟は葛葉から目を逸らした。
「麒麟!」
葛葉の一喝に、麒麟は根負けした。
「……話すよ。但し、ショックだよ?」
葛葉は、ふわりと笑った。
「覚悟の上じゃ、何もかも。母を甘く見るなよ」
麒麟達は旬介をそのまま葛葉の寝ていた布団に寝かすと、一旦居間へと移動した。
必死で追ってきた旬介を確認しながら、泰親は屋敷の裏の森の奥でくるりと振り返りながら足を止めた。
その急な動きに、つんのめりそうになりながらも、旬介は止まった。
「お前は、何者だ! 何しに屋敷にきて、何してた?」
泰親は、無表情のまま笑った。
「相手は晴明さんがします」
「はあ? 無視するなよ! 質問に答えろ!! 俺は麒麟領の跡取りだぞ!」
「知ってますよ、そんなことくらい」
ゆらりと泰親が雅に扇を振ると、晴明の姿が現れた。
包帯のように切り裂いた布に全身を巻かれたその身体からは悪臭が漂い、よく見ればぷくぷくと布で巻かれた身体のあちこちが蠢いていた。
旬介は気持ち悪くなり、更に嫌な予感がして、思わず後ずさった。
足が重いが、ここにいたらダメだと本能的に感じた。
「さあ、晴明さんは貴方のお爺様に当たると言ったらいいんでしょうか? まあ形だけですけどね。では、晴明さん。彼に稽古をつけてあげてくださいな」
旬介の背中が、ゾクッとした刹那。
彼のこめかみ目掛けて、刃が飛んできた。それを間一髪避けた。
「ほう、なかなかやりますね」
泰親の皮肉に構ってる暇あるはずもなく、次から次に攻撃は繰り出される。
(は、早すぎる!)
声さえ出せず、ギリギリで避けるのが精一杯だった。
「さあ、いつまで避けてられますか」
攻撃が見えづらい。旬介に取っては読めない攻撃が、今度は泰親の一言で変化した。
「そろそろ飽きました」
ひゅん! と飛ばされた晴明の横からの刃を紙一重で交わした時だった。肋骨が粉砕し内臓が潰れる音と同時に、かつてない激痛が走った。
確かに避けた筈なのに……と、旬介の頭の中が真っ白に埋めつくされる。
激痛でまともに息が出来ない。苦し紛れに吐いた反吐は、血で染っていた。
「さあ、晴明さん楽にしてあげてくださいな」
泰親の言葉に従うように、晴明が大きく刀を振り上げた。キラリと月光に煌めいて、刃が青白く光る。
晴明によって旬介の首元目掛けて振り下ろされた刀は、火花を飛び散らせ激しい金属音を響かせながらギリギリのところで止まった。
「間一髪」
旬介の頭上で声がした。
「旬介!」
続いて黄龍の発狂にも似た声がして、旬介は黄龍の身体に蹲った。
「旬介、少し待ってろ」
「麒麟、頼んだ」
黄龍が旬介を抱きながら、ニヤニヤ笑う泰親を睨みつけた。いつでも攻撃に対応出来るよう構えていた。が、泰親はニヤニヤ笑いながら見ているだけで何もしようとはしない。黄龍自身も、動くのは危険だと考えて警戒だけするしか無かった。変な汗が身体中を伝う。
ヒューヒューと変な息をしながら、時折血を吐く旬介が心配でたまらない。
一方、麒麟は旬介から晴明を引き離すように誘っていた。
「父上。ここは引いてくれませんか?」
届くか分からない願いを、麒麟が口にした刹那だった。
ダン! と弾かれたように晴明の身体が麒麟の懐に飛び込んできた。刃が麒麟の髪を切り裂いたがそれは当たらず、晴明の刃を交わした反動を利用した麒麟の刃が晴明の頬を掠めた。
穴の空いた布の隙間から、蛆虫やらムカデが飛び散った。
晴明は構わず、次の攻撃にシフトする。
それを交わし続けながらぬるい攻撃を繰り返す麒麟に対し、黄龍は勘づいた。
(麒麟は……)
黄龍が動揺しのを見抜いて、泰親は嫌な質問を投げた。
「どうやら、小僧は晴明さんを殺せないようですねえ。無理もない、父親ですからね」
「貴様!」
黄龍が怒鳴った。
キン! と、何れとも違う金属音を最後に、刃と刃のぶつかり合いが一旦止まった。
「父上、どうか今日のところは引いてください」
見れば、麒麟の刀が晴明の刀を地面に押さえつけ、攻撃を塞いでいた。
「お願いします」
麒麟も自分の声が晴明に届いているとは思えなかったが、この場はお願いするしか思いつかなかった。
「晴明さん、帰りましょう」
泰親は無表情で言った。
ゴッ! と晴明の拳が麒麟を殴り飛ばす鈍いがした。
麒麟が揺れて、緩まった刀を柄におさめると、晴明は泰親の方へとゆらゆら歩き出した。
「今日は娘に逢いに来ただけですから」
そう言い残し、泰親は晴明と共に煙のように消えた。
「麒麟! 大丈夫か?」
「ああ」
麒麟は旬介を抱き上げると、屋敷に急いだ。旬介は虫の息だった。
*****
「どうであった?」
富子がトカゲのように、のそのそ薄暗い住処から這い出てきた。
「まあ、想定内ですよ」
カサカサと晴明の身体から這い出た虫を潰すと、泰親はそれをバリバリと食べた。
「さて、やらねばならないことが2つほどあります。覚えていますか? はるか昔、私と富子さんとの子が出来たこと。巫女であるが故、堕胎させられましたが、その子は奇跡的に生きていた。母を求めた子を、法眼は鬼と言って封じた」
富子は狂ったように泣きわめいた。
「忘れたことなど、1度もないわ! 全ては、あの子のためでもあるのじゃ。あの子の弔いのためでも」
晴明への偏った愛情の原因でもあった。
「法眼は……法眼は、我が子を鬼と罵り封じた。我も鬼じゃった。だが、あの老いぼれには我は見えんかったのだろう。だから、我はあの子の弔いを誓ったのじゃ。そして、正室になった」
富子の顔が鬼のように崩れていく。
「あああああ~!」
断末魔の泣き声が、森を震わせた。
「富子さん。あの子魂は、法眼の封印の元におります。今から私が連れてきます。魂はあの娘か、その子の子供の身体に植え付けるつもりです。まもなく、親子が揃う時が来るのです」
「泰親殿……して、葛葉は? あの娘は赦されんぞよ」
泰親は笑った。
「もう1つのやらねばならないことがそれです。麒麟と名乗る獣から始末します。それも残酷な方法で。今から、行って参ります」
「ああ、泰親殿。頼りにしておる、くれぐれもご武運を」
*****
「母上!」
麒麟が血相変えて、葛葉の部屋に飛び込んだ。なんの挨拶も無しに来るので、葛葉は思わず布団から飛び起き、その反動で飛び退いた。
「直ぐに助けて」
言うと、先程まで葛葉の寝ていた布団に旬介をそっと寝かせた。
時折、黄龍の当てた手拭いに血反吐を吐きながら、旬介は真っ青な顔で死にかけていた。
「何が!!」
「話はあとじゃ」
麒麟は旬介の寝巻きを脱がせた。肋の部分が紫に腫れ上がり、見るからに無残な状態だ。肋粉砕と内臓破裂、生きていることが不思議な程だった。
葛葉は直ぐに治癒を当てた。
「もう少しの辛抱だ。頑張れ」
そっと声を掛けてやると、徐々に血反吐が止まり、息が穏やかに変わっていった。
暫くすると、苦しそうだった息がいびきへと変わったので、黄龍も麒麟も呆れたのだが、葛葉だけが思わず笑ってしまった。
「さて。あまり信じたくはないが……これは晴明殿の技であろう? お前達、何か隠しておるな」
ドキッとして言葉を失った麒麟の代わりに、黄龍が言った。
「何故そうお思いで?」
「伊達に夫婦をしていた訳では無い。旅をしてきた訳でも無い。晴明殿に、術の操り方を教えたのは私だ。この技を使えるのは晴明殿と蜃しかおらん。蜃が旬介を攻撃したとは思えんし、その蜃の姿が会議以降見えんのじゃ。何か知らんか?」
麒麟は葛葉から目を逸らした。
「麒麟!」
葛葉の一喝に、麒麟は根負けした。
「……話すよ。但し、ショックだよ?」
葛葉は、ふわりと笑った。
「覚悟の上じゃ、何もかも。母を甘く見るなよ」
麒麟達は旬介をそのまま葛葉の寝ていた布団に寝かすと、一旦居間へと移動した。
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