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3:悪魔ベルフェゴール
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ざっと群衆がミッシェルの前に跪き、手を組んで彼を崇め始めた。
救世主(メシア)の誕生である。
人の心というものが如何に単純であり、想像に幻影を見出し、見たものが相違なけば疑いもなく信じてしまうのだから、なんたる滑稽な現象であっただろうか。
もし、あの醜い姿のベルフェゴールが天使で、美しい姿のメタトロンが悪魔であったならどうなるのだろう。
人々は、悪魔を崇拝したのだろうか、とさえ思うのだ。
ミッシェルは面倒くさそうな顔で、且つどう表現していいのかわからないと言った困惑した素振りで、私の元へ歩み寄ってきた。
「レヴィ、この気持ちはなんだろうか。胸の辺りが、良いようなこの場から離れて眠りたいような、そんな感じなんだ。それから、なんだかとても重たいものがずーんとしている」
私は、我に返った。
「ミッシェル、疲れたのね」
「疲れた、というのか」
「こんな状況は、初めて?」
「いいや。人のいるところで悪魔を送ると、いつもこうだ」
ああ、と私は思った。
人々が己を崇める様は、多くの人にとっては恍惚とした陶酔となるであろう。けれど、ミッシェルはそういう性分ではなかったようだ。
面倒くさい、のだろう。
ミッシェルの本質は、怠惰で物臭なのかもしれない。
「ミッシェル、部屋で休もう」
ミッシェルは頷き、私を抱き締めたまま呆然とするクララに話しかけた。
「疲れたから、部屋で休みたいんだ。あと、お腹が空いたのだけれど」
クララも我に返り、同時に女将さんとクララの婚約者が駆け寄ってきた。
「貴方様は、天の遣いだったのだね」
女将さんが、泣きながらミッシェルの手を取った。
「ありがとう! ありがとうございます」
婚約者が、ミッシェルの手を取った。
ミッシェルは照れくさそうに笑いながら、困ったようにクララを見た。
それに気付いたクララは、女将さんをミッシェルから離した。
「本当にありがとうございます。お礼はまた改めて伝えます。さあ、部屋に戻って休んでください。とびっきりの食事を、部屋へお持ちします」
「わかった」
ミッシェルは簡潔に返事をすると、私の手を引いて宿へと向かった。
まるでモーゼの十戒の様に、ミッシェルの行く道を人々は開け、跪きながらそれを見送るのだ。
「レヴィが言うように、救世主(メシア)とやらには、なれたかい?」
私は宿に入り、群衆の姿が見えなくなると、ミッシェルに思いっきり飛びついた。
「ミッシェル、ありがとう! 本当に、ありがとう」
ミッシェルは、私を抱き締めた。
「レヴィは、嬉しいかい」
「ええ、嬉しいわ!」
「レヴィは、俺と一緒にいるね」
「ええ、貴方をもう怖いなんて思わないから」
ミッシェルの、満足そうな心が伝わってきた。
彼は私を抱いたまま、部屋に戻るとベッドに寝転がった。私もミッシェルの隣、同じベッドで寝転がった。
あの時の私はまだ幼くて、自信も無かった。だから、同じ不可思議な現象の中で生きるミッシェルが認められた事が、自分の事のように嬉しかったのだ。
魔女でも異端でも無い、夢にまで見た存在である。
ノックがした。
女将さんとクララ、それに婚約者が沢山の料理を運んできた。
どれも食べた事も見たことも無い、豪華過ぎる物である。
「これは、村の人達からの捧げ物でもあるんだよ。今日救われた人達が、どれだけ多いことか」
備え付けの小さなテーブルに、三人は料理を目一杯並べた。
「母さん、もっと良い部屋はないの?」
「そ、そうだね! 気が付かなったよ。すまないね」
申し訳なさそうに慌てて謝る女将さんへ、ミッシェルは疲れたように言った。
「いや、いい。ここで」
「けど!」
クララが何か言おうとしたが、ミッシェルがとても面倒くさそうな顔をするので、クララは諦めたようだった。
ミッシェルに、初めて表情というものが現れたのだ。
今まで私だけが感じていた感覚的なものではなくて、それは誰にでも見て取れる表情であった。故に、彼はまだそれを隠すことを知らない。
「ミッシェルは、とても疲れてるみたい。暫く、休ませてあげてください」
私は三人に、深々と頭を下げた。
「悪かったね、いつまでも休んでていいからね。何かあったら呼んでおくれ」
女将さんはそういうと、三人揃って部屋を出て行った。
「ミッシェル、また体調が悪くなるの?」
ミッシェルは、料理を食べずにベッドに寝転がった。
「多分ね。けど、また一日寝てれば元に戻るよ」
「そう。食事は?」
「レヴィが食べればいい」
「駄目よ、ミッシェルも食べないと。元気が出ないわ」
ミッシェルは、ダルそうに起き上がった。
ミッシェルが悪魔を送り込んだ片目に、また前回のように赤い炎が揺らめいているのが見えた。どうやらそれは、私以外には見えないようだ。
私は、パンとスープ、肉を順番に頬張りながらミッシェルへと話を続けた。
「ミッシェル、その顔はやめた方がいいわ」
ミッシェルは、首を傾げた。
「その顔を見ると、普通の人は離れてしまう」
「どうすればいい?」
私は、私の唇の端を指先でグイッと押し上げた。
「こう、笑うの。笑うと皆、楽しくなるわ」
「笑う? なら、今の顔は?」
「めんどくさい顔」
「めんどくさい……」
ミッシェルは、食事の手を止め真剣に考えているようだった。
「今までは何も感じなかったのに、ベルフェゴールを送ってから、一気に色んなことが溢れ出したんだ。そうしたら、考える事が重たくなった」
私は思わず笑ってしまった。すると、ミッシェルは不思議そうに、私に言うのだ。
「何故笑う?」
「だって、貴方がとても近くに感じたから。メタトロンや悪魔を見ていたから、貴方がずっと特別な存在にしか見えなかったの。私が笑っているのを見て、どう思う?」
ミッシェルは、少しムッとした。そして、自分の胸を指差していう。
「ここが少しもやもやするけど、でも、悪くない」
そして、ミッシェルが初めて笑って見せた。
私は、嬉しくて胸が高鳴った。今思えば、子供ながらに初恋に近い気持ちであったのかもしれない。彼の笑顔は、不思議と人を魅了するのだ。
「どう?」
ミッシェルに尋ねられて、私は慌てた。
「貴方の笑顔は、素敵過ぎて毒ね」
「良くないかい?」
「とても、良いって事よ」
食事を済ませると、ミッシェルは案の定、寝込んでしまった。
私は以前より、彼に愛情を持って接せられるようになれると思った。
救世主(メシア)の誕生である。
人の心というものが如何に単純であり、想像に幻影を見出し、見たものが相違なけば疑いもなく信じてしまうのだから、なんたる滑稽な現象であっただろうか。
もし、あの醜い姿のベルフェゴールが天使で、美しい姿のメタトロンが悪魔であったならどうなるのだろう。
人々は、悪魔を崇拝したのだろうか、とさえ思うのだ。
ミッシェルは面倒くさそうな顔で、且つどう表現していいのかわからないと言った困惑した素振りで、私の元へ歩み寄ってきた。
「レヴィ、この気持ちはなんだろうか。胸の辺りが、良いようなこの場から離れて眠りたいような、そんな感じなんだ。それから、なんだかとても重たいものがずーんとしている」
私は、我に返った。
「ミッシェル、疲れたのね」
「疲れた、というのか」
「こんな状況は、初めて?」
「いいや。人のいるところで悪魔を送ると、いつもこうだ」
ああ、と私は思った。
人々が己を崇める様は、多くの人にとっては恍惚とした陶酔となるであろう。けれど、ミッシェルはそういう性分ではなかったようだ。
面倒くさい、のだろう。
ミッシェルの本質は、怠惰で物臭なのかもしれない。
「ミッシェル、部屋で休もう」
ミッシェルは頷き、私を抱き締めたまま呆然とするクララに話しかけた。
「疲れたから、部屋で休みたいんだ。あと、お腹が空いたのだけれど」
クララも我に返り、同時に女将さんとクララの婚約者が駆け寄ってきた。
「貴方様は、天の遣いだったのだね」
女将さんが、泣きながらミッシェルの手を取った。
「ありがとう! ありがとうございます」
婚約者が、ミッシェルの手を取った。
ミッシェルは照れくさそうに笑いながら、困ったようにクララを見た。
それに気付いたクララは、女将さんをミッシェルから離した。
「本当にありがとうございます。お礼はまた改めて伝えます。さあ、部屋に戻って休んでください。とびっきりの食事を、部屋へお持ちします」
「わかった」
ミッシェルは簡潔に返事をすると、私の手を引いて宿へと向かった。
まるでモーゼの十戒の様に、ミッシェルの行く道を人々は開け、跪きながらそれを見送るのだ。
「レヴィが言うように、救世主(メシア)とやらには、なれたかい?」
私は宿に入り、群衆の姿が見えなくなると、ミッシェルに思いっきり飛びついた。
「ミッシェル、ありがとう! 本当に、ありがとう」
ミッシェルは、私を抱き締めた。
「レヴィは、嬉しいかい」
「ええ、嬉しいわ!」
「レヴィは、俺と一緒にいるね」
「ええ、貴方をもう怖いなんて思わないから」
ミッシェルの、満足そうな心が伝わってきた。
彼は私を抱いたまま、部屋に戻るとベッドに寝転がった。私もミッシェルの隣、同じベッドで寝転がった。
あの時の私はまだ幼くて、自信も無かった。だから、同じ不可思議な現象の中で生きるミッシェルが認められた事が、自分の事のように嬉しかったのだ。
魔女でも異端でも無い、夢にまで見た存在である。
ノックがした。
女将さんとクララ、それに婚約者が沢山の料理を運んできた。
どれも食べた事も見たことも無い、豪華過ぎる物である。
「これは、村の人達からの捧げ物でもあるんだよ。今日救われた人達が、どれだけ多いことか」
備え付けの小さなテーブルに、三人は料理を目一杯並べた。
「母さん、もっと良い部屋はないの?」
「そ、そうだね! 気が付かなったよ。すまないね」
申し訳なさそうに慌てて謝る女将さんへ、ミッシェルは疲れたように言った。
「いや、いい。ここで」
「けど!」
クララが何か言おうとしたが、ミッシェルがとても面倒くさそうな顔をするので、クララは諦めたようだった。
ミッシェルに、初めて表情というものが現れたのだ。
今まで私だけが感じていた感覚的なものではなくて、それは誰にでも見て取れる表情であった。故に、彼はまだそれを隠すことを知らない。
「ミッシェルは、とても疲れてるみたい。暫く、休ませてあげてください」
私は三人に、深々と頭を下げた。
「悪かったね、いつまでも休んでていいからね。何かあったら呼んでおくれ」
女将さんはそういうと、三人揃って部屋を出て行った。
「ミッシェル、また体調が悪くなるの?」
ミッシェルは、料理を食べずにベッドに寝転がった。
「多分ね。けど、また一日寝てれば元に戻るよ」
「そう。食事は?」
「レヴィが食べればいい」
「駄目よ、ミッシェルも食べないと。元気が出ないわ」
ミッシェルは、ダルそうに起き上がった。
ミッシェルが悪魔を送り込んだ片目に、また前回のように赤い炎が揺らめいているのが見えた。どうやらそれは、私以外には見えないようだ。
私は、パンとスープ、肉を順番に頬張りながらミッシェルへと話を続けた。
「ミッシェル、その顔はやめた方がいいわ」
ミッシェルは、首を傾げた。
「その顔を見ると、普通の人は離れてしまう」
「どうすればいい?」
私は、私の唇の端を指先でグイッと押し上げた。
「こう、笑うの。笑うと皆、楽しくなるわ」
「笑う? なら、今の顔は?」
「めんどくさい顔」
「めんどくさい……」
ミッシェルは、食事の手を止め真剣に考えているようだった。
「今までは何も感じなかったのに、ベルフェゴールを送ってから、一気に色んなことが溢れ出したんだ。そうしたら、考える事が重たくなった」
私は思わず笑ってしまった。すると、ミッシェルは不思議そうに、私に言うのだ。
「何故笑う?」
「だって、貴方がとても近くに感じたから。メタトロンや悪魔を見ていたから、貴方がずっと特別な存在にしか見えなかったの。私が笑っているのを見て、どう思う?」
ミッシェルは、少しムッとした。そして、自分の胸を指差していう。
「ここが少しもやもやするけど、でも、悪くない」
そして、ミッシェルが初めて笑って見せた。
私は、嬉しくて胸が高鳴った。今思えば、子供ながらに初恋に近い気持ちであったのかもしれない。彼の笑顔は、不思議と人を魅了するのだ。
「どう?」
ミッシェルに尋ねられて、私は慌てた。
「貴方の笑顔は、素敵過ぎて毒ね」
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食事を済ませると、ミッシェルは案の定、寝込んでしまった。
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