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第4章 記憶の裏手にひそむ影
第6話 二度目に踏まれる場所
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足音は止まらなかった。
一定の間隔で一度目、そして必ず同じ間合いで二度目。
ただ、その二度目が響く場所は、必ず“一度目と同じ場所”——正確には、同じ床板の上だった。
「なあ……気づいたか?」翔が囁く。
「何を?」結衣が振り向く。
「二度目の足音って、必ず同じ床で鳴ってる。……まるで印をつけてるみたいに」
「印……?」水沢が眉をひそめる。
森が低く頷いた。
「呪いの“踏み跡”だ。二度目に踏まれた場所は……もう普通じゃない」
全員の視線が、廊下の先の暗がりに集まった。
そこに見える床板は、他よりわずかに黒く沈んでいる。
「行くな」森の声は鋭かった。
「でも、確かめないと——」翔の足が一歩踏み出しかけた瞬間、黒い板の上で“二度目”の音が響いた。
「……!」
空気が揺れ、全員の耳に冷たい圧迫感が走る。
水沢が小声で呟いた。
「今……誰も踏んでないのに……」
森は唇を引き結び、低く言った。
「踏まれた場所は、次に生きてる人間が踏むと……“型”に取り込まれる」
沈黙が落ちる。
結衣が震えた声で言う。
「じゃあ……あのストーカー、回廊で二度踏まれたの?」
「そうだ。そしてもう、この館の“巡り”の一部になった」森の目は鋭い。
そのとき、天井裏から小さな音が降りてきた。
——とん、とん。
一度目、間をおいて、二度目。
「……上にもいる」翔が顔を上げた瞬間、天井板がきしみ、黒い染みがゆっくり広がる。
「下がれ!」森が叫ぶ。
全員が廊下の壁際に退避する。
染みはやがて人の足の形を成し、板を踏み抜くように二度目の音を響かせた。
その瞬間、水沢の背後の床が、ひび割れたように黒く変色する。
「う、嘘……今の、私の真後ろ……」
「動くな!」森の声が鋭く響く。
水沢は息を殺し、黒い板を見つめた。
足音は次第に遠ざかっていく。
だが、全員わかっていた——館のどこかに、踏まれてはならない“二度目の場所”が増えていっていることを。
それはじわじわと、彼らの退路を削っていく。
「……このままだと、俺たちもあいつみたいになる」翔の言葉が、誰よりも静かに響いた。
一定の間隔で一度目、そして必ず同じ間合いで二度目。
ただ、その二度目が響く場所は、必ず“一度目と同じ場所”——正確には、同じ床板の上だった。
「なあ……気づいたか?」翔が囁く。
「何を?」結衣が振り向く。
「二度目の足音って、必ず同じ床で鳴ってる。……まるで印をつけてるみたいに」
「印……?」水沢が眉をひそめる。
森が低く頷いた。
「呪いの“踏み跡”だ。二度目に踏まれた場所は……もう普通じゃない」
全員の視線が、廊下の先の暗がりに集まった。
そこに見える床板は、他よりわずかに黒く沈んでいる。
「行くな」森の声は鋭かった。
「でも、確かめないと——」翔の足が一歩踏み出しかけた瞬間、黒い板の上で“二度目”の音が響いた。
「……!」
空気が揺れ、全員の耳に冷たい圧迫感が走る。
水沢が小声で呟いた。
「今……誰も踏んでないのに……」
森は唇を引き結び、低く言った。
「踏まれた場所は、次に生きてる人間が踏むと……“型”に取り込まれる」
沈黙が落ちる。
結衣が震えた声で言う。
「じゃあ……あのストーカー、回廊で二度踏まれたの?」
「そうだ。そしてもう、この館の“巡り”の一部になった」森の目は鋭い。
そのとき、天井裏から小さな音が降りてきた。
——とん、とん。
一度目、間をおいて、二度目。
「……上にもいる」翔が顔を上げた瞬間、天井板がきしみ、黒い染みがゆっくり広がる。
「下がれ!」森が叫ぶ。
全員が廊下の壁際に退避する。
染みはやがて人の足の形を成し、板を踏み抜くように二度目の音を響かせた。
その瞬間、水沢の背後の床が、ひび割れたように黒く変色する。
「う、嘘……今の、私の真後ろ……」
「動くな!」森の声が鋭く響く。
水沢は息を殺し、黒い板を見つめた。
足音は次第に遠ざかっていく。
だが、全員わかっていた——館のどこかに、踏まれてはならない“二度目の場所”が増えていっていることを。
それはじわじわと、彼らの退路を削っていく。
「……このままだと、俺たちもあいつみたいになる」翔の言葉が、誰よりも静かに響いた。
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