蒼月館の招待状

最初に足音を聞いたのは、夜明け前だった。
二度。間を置いて、また二度。
けれど、そのとき廊下には誰もいなかった。

招待状が届いたのは、それよりずっと前だ。
封筒の差出人は空欄で、同じ紙がほかの人にも届いていたらしい。
山の中の〈蒼月館〉に集まった顔ぶれは、互いに無関心を装っていた。

吊り橋を渡った人がいる。理由は聞きそびれた。
戻ってきたのかどうかも、誰も確かめなかった。

あの足音を聞いたのが幻だったのか、それとも——。
答えは今も、霧の中に置き去りのままだ。
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