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始まりの世界
第二話
「ふあぁ~ぁ」
大きなあくびをしながら校門を抜けるて歩いていると、後ろから肩を組まれた。
「なんだ、なんだぁ?随分眠そうじゃ無いか?昨夜はお盛んだった?」
友人の永倉 京介がニヤニヤと下世話な顔でこちらを見てくる。
「俺に彼女がいないのはお前が一番知ってるだろうが……」
「いや~セルフで?」
ゴンっ。
言い当てられた事に少々腹が立った。
討伐した後は、なぜか無性に気持ちが昂って……相手がいれば良いのだが、残念ながら俺は悲しく自分で治めている。お前たちの平和のために戦っているというのに、馬鹿にしやがって。
「いってぇ~叩く事ねぇだろ!?折角寂しいお前に良いもん持って来てやったのに……」
そういって開いてみせたカバンの中を覗き込むと……
「萌々菜ちゃんの新作!?」
アダルティなビデオ女優 萌々菜ちゃん。ハンターの仕事のせいでバイトもできない貧乏な俺では俺では買う事のできないDVD。AVマニアの永倉の兄のご好意で萌々菜ちゃんの新作が出た時だけはDVDで買って俺にこうして貸してくれるのだ。
「やっぱり持つべき物は友達だな!!いくら?明日で良いか?」
うきうきこそこそとDVDを受け取り、カバンにしまい込む。
「お前本当、その女優好きだよな~まぁ確かに可愛いけど、胸小さいし……そこまでか?」
わかってないな、微乳なのも大事な要素なのだよ。
「別にお前にわからなくても、俺は好きなんだからいいんだよ」
DVDをいそいそとカバンへしまいながらふと思い至った。
今日の講義は必修科目ではない、毎日真面目に出席してきたし……登校して来たばかりだが、よし!!今日はこのまま帰ろう。帰って母親が街の周回に出ている間に、昨夜の頑張りへの自分ご褒美といこうじゃないか。
「うわぁっ!!」
踵を返して駆け出そうとした瞬間、俺の後ろを歩いていた奴とぶつかり、そのままこけて押しつぶしてしまった。
「おい!!大丈夫か!?」
永倉が慌てて駆け寄ってきた。
「ごめん……大丈夫?」
俺の下敷きになった小柄な体から腕をついて離れた。
「大丈夫……びっくりしたけど……」
俺の下で目をぱちくりさせていたのは……
「藤川……」
俺の下に居たのは……藤川 樹だった。手を貸して立ち上がらせる。
はぁぁ……手小さい……軽いし細かったし、こんな至近距離で顔見たの初めて……まつ毛なげぇ……。
「ごめんね千鳥君、考え事してて……」
藤川、お前は全然悪くないぞ!!
急に方向転換した俺が悪いんだ!!
いや……むしろ、俺としてはラッキー!!
藤川は慌てていて半開きだった為にぶちまかれた俺の鞄の中身を拾ってくれている。
「うわっ!!いいよ!!自分で拾うから!!」
萌々菜ちゃん!!萌々菜ちゃんのDVDは!?
見られては困ると慌てて荷物を鞄にかきいれる俺に……
「はい、これ……」
藤川に差し出されたそこには……
《萌々菜、お兄ちゃんサンドで初アナル》
ゴスロリ衣装の萌々菜ちゃんがM字開脚なパッケージ。
……………………。
自分の手にしているものを正しく理解した藤川は、ボボボボッ……と、音が聞こえる勢いで顔を真っ赤に染め、俺にDVDを押し付けた。
「誰にも言わないからっ!!」
そう言って走り去ってしまった。
ち~ん。
終わった。俺の人生が終わった。
ーーーーーー
家に帰る気にもなれず、講義に出る気にもなれず、屋上の隅で膝を抱いて過ごす俺に、永倉が飲み物と昼飯を持って来てくれた。
「大丈夫だろ、藤川だって同じ男だ。察してくれるさ」
落ち込む俺の背中をバンバン叩きながらケラケラ笑っている。
「絶対軽蔑された……」
「落ち込み過ぎだろ、たかがAV持ってるの知られたくらいで、藤川だって中性的な顔してるって言っても同じ男だ……え?待てよ……藤川の顔、萌々菜ちゃん……」
友達とはこういう時に厄介なものだな……わかりやすく落ち込んでる俺がわかりやすいだけなんだろうが。
「えっと……俺の勘違い?……でも……まさか、お前……藤川の事……」
うん、まあ気付かれた……。
そのまさかだ。
萌々菜ちゃんが好きなのだって、元々は藤川に似ているからだった。
抜くときはいつも藤川に置き換えて見ている。
否定しない俺に全てを悟ったのか、暫くあ~だのう~だの唸って、哀れみの目を向けてきた。
「藤川かぁ……何となく似てるもんな萌々菜ちゃんに」
「違うっ!!萌々菜ちゃんが藤川に似てるんだ!!」
そこは間違えてはいけない。
藤川あってからの萌々菜ちゃんだ。
永倉は「お…おぅ……」と、引き気味に答えて、パンをかじり出した。
「まぁ、そう気にするなって……藤川もお前が講義にいないの心配してたし、軽蔑はされてないと思うぞ?」
「藤川が俺の心配を!?」
思わず顔をあげた俺の口にパンが押しつけられた。
「そうそう、だから飯食って午後はちゃんと出ろよ」
「……サンキュ。永倉」
俺はモゴモゴとジャムパンを咀嚼した。
ジャムパンか……できればもっとガッツリしたパンが良かったのだが……文句を言うべきところではない。
……でも、やっぱり今日は欠席ということにした。
大きなあくびをしながら校門を抜けるて歩いていると、後ろから肩を組まれた。
「なんだ、なんだぁ?随分眠そうじゃ無いか?昨夜はお盛んだった?」
友人の永倉 京介がニヤニヤと下世話な顔でこちらを見てくる。
「俺に彼女がいないのはお前が一番知ってるだろうが……」
「いや~セルフで?」
ゴンっ。
言い当てられた事に少々腹が立った。
討伐した後は、なぜか無性に気持ちが昂って……相手がいれば良いのだが、残念ながら俺は悲しく自分で治めている。お前たちの平和のために戦っているというのに、馬鹿にしやがって。
「いってぇ~叩く事ねぇだろ!?折角寂しいお前に良いもん持って来てやったのに……」
そういって開いてみせたカバンの中を覗き込むと……
「萌々菜ちゃんの新作!?」
アダルティなビデオ女優 萌々菜ちゃん。ハンターの仕事のせいでバイトもできない貧乏な俺では俺では買う事のできないDVD。AVマニアの永倉の兄のご好意で萌々菜ちゃんの新作が出た時だけはDVDで買って俺にこうして貸してくれるのだ。
「やっぱり持つべき物は友達だな!!いくら?明日で良いか?」
うきうきこそこそとDVDを受け取り、カバンにしまい込む。
「お前本当、その女優好きだよな~まぁ確かに可愛いけど、胸小さいし……そこまでか?」
わかってないな、微乳なのも大事な要素なのだよ。
「別にお前にわからなくても、俺は好きなんだからいいんだよ」
DVDをいそいそとカバンへしまいながらふと思い至った。
今日の講義は必修科目ではない、毎日真面目に出席してきたし……登校して来たばかりだが、よし!!今日はこのまま帰ろう。帰って母親が街の周回に出ている間に、昨夜の頑張りへの自分ご褒美といこうじゃないか。
「うわぁっ!!」
踵を返して駆け出そうとした瞬間、俺の後ろを歩いていた奴とぶつかり、そのままこけて押しつぶしてしまった。
「おい!!大丈夫か!?」
永倉が慌てて駆け寄ってきた。
「ごめん……大丈夫?」
俺の下敷きになった小柄な体から腕をついて離れた。
「大丈夫……びっくりしたけど……」
俺の下で目をぱちくりさせていたのは……
「藤川……」
俺の下に居たのは……藤川 樹だった。手を貸して立ち上がらせる。
はぁぁ……手小さい……軽いし細かったし、こんな至近距離で顔見たの初めて……まつ毛なげぇ……。
「ごめんね千鳥君、考え事してて……」
藤川、お前は全然悪くないぞ!!
急に方向転換した俺が悪いんだ!!
いや……むしろ、俺としてはラッキー!!
藤川は慌てていて半開きだった為にぶちまかれた俺の鞄の中身を拾ってくれている。
「うわっ!!いいよ!!自分で拾うから!!」
萌々菜ちゃん!!萌々菜ちゃんのDVDは!?
見られては困ると慌てて荷物を鞄にかきいれる俺に……
「はい、これ……」
藤川に差し出されたそこには……
《萌々菜、お兄ちゃんサンドで初アナル》
ゴスロリ衣装の萌々菜ちゃんがM字開脚なパッケージ。
……………………。
自分の手にしているものを正しく理解した藤川は、ボボボボッ……と、音が聞こえる勢いで顔を真っ赤に染め、俺にDVDを押し付けた。
「誰にも言わないからっ!!」
そう言って走り去ってしまった。
ち~ん。
終わった。俺の人生が終わった。
ーーーーーー
家に帰る気にもなれず、講義に出る気にもなれず、屋上の隅で膝を抱いて過ごす俺に、永倉が飲み物と昼飯を持って来てくれた。
「大丈夫だろ、藤川だって同じ男だ。察してくれるさ」
落ち込む俺の背中をバンバン叩きながらケラケラ笑っている。
「絶対軽蔑された……」
「落ち込み過ぎだろ、たかがAV持ってるの知られたくらいで、藤川だって中性的な顔してるって言っても同じ男だ……え?待てよ……藤川の顔、萌々菜ちゃん……」
友達とはこういう時に厄介なものだな……わかりやすく落ち込んでる俺がわかりやすいだけなんだろうが。
「えっと……俺の勘違い?……でも……まさか、お前……藤川の事……」
うん、まあ気付かれた……。
そのまさかだ。
萌々菜ちゃんが好きなのだって、元々は藤川に似ているからだった。
抜くときはいつも藤川に置き換えて見ている。
否定しない俺に全てを悟ったのか、暫くあ~だのう~だの唸って、哀れみの目を向けてきた。
「藤川かぁ……何となく似てるもんな萌々菜ちゃんに」
「違うっ!!萌々菜ちゃんが藤川に似てるんだ!!」
そこは間違えてはいけない。
藤川あってからの萌々菜ちゃんだ。
永倉は「お…おぅ……」と、引き気味に答えて、パンをかじり出した。
「まぁ、そう気にするなって……藤川もお前が講義にいないの心配してたし、軽蔑はされてないと思うぞ?」
「藤川が俺の心配を!?」
思わず顔をあげた俺の口にパンが押しつけられた。
「そうそう、だから飯食って午後はちゃんと出ろよ」
「……サンキュ。永倉」
俺はモゴモゴとジャムパンを咀嚼した。
ジャムパンか……できればもっとガッツリしたパンが良かったのだが……文句を言うべきところではない。
……でも、やっぱり今日は欠席ということにした。
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