生まれ変わってもどんな人生でも、君と繋がる運命です

藤雪たすく

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始まりの世界

第三話

『何やってんだ!!この馬鹿息子!!』

母さんに思いきり左頬を引っかかれた。

『何度も電話しただろうが!!全て無視した挙句、ふらふら帰ってきたかと思えば、いきなり母親の目の前で堂々とAV鑑賞たぁどういう神経してんだよ!!』

「俺の気持ちが母さんにわかるかっ!!」

『わかりたくもないわ!!』

右の頬も引っかかれた。


「良いんだ……ほっといてくれよ。俺の心を癒すのは萌々菜ちゃんしかいないんだよ」

不貞腐れる俺の頭の上に母さんが乗っかってきた。

『何があったか知らんけど、短い人生だ。迷わずに進めばいいさ』

ザリザリと舌で髪を舐められる。母さんなりに慰めてくれているのだろうか?

「母さん」

頭の上から膝の上に抱き上げると、
『誠一郎さんが帰ってくる時間だよ。いつまでもくだらないモンみてないで飯の準備を始めな!!誠一郎さんの好物の漬物が切れてたから買い物頼もうとしてたのに無視した分、今から全力で走って買ってくるんだよ!!』
と、尻尾でタシタシと膝を叩かれた。

DVDを片付け食事の準備を終える頃、父さんが帰宅した。
父さんが帰宅してから、父さんにベッタリな母さんは、猫なのに嬉しそうな顔をしている。

食事と風呂を終えて、部屋に戻ると今日の出来事が頭によみがえってきた。

藤川の匂い、体温、声、白い肌、大きな瞳……
自分のモノを取り出すと、藤川の事を思い出しながら慰めていく。

「藤川…………」

キィィィィィン……

耳鳴りのような音が脳内に響く。
ドアが突然開いて、母さんが飛び込んできた。

『私の領域テリトリーに入ってきた奴がいる!!さっさとその粗末なもんを仕舞って襲撃に備えな!!』

もう少しで藤川に口に含んで貰えるところだったのに……勝手に俺のテリトリーを侵すのはやめていただきたい。
俺は自身のモノを仕舞うと、引き出しからハンドガンを取り出し構えた。

「……父さんは?」

『眠らせて結界で守ってる。お前に結界を張ってやる余裕はないよ、気張っていきな』

母さんの顔に緊張が走る。
そんなに強い奴なのか……?

キィィィィィン……

音は鳴り続いている。

『力だけなら一流だねぇ……あんたが今まで相手にしてきた奴なんて比べもんにならんほどな、何が目的か知らんけど……覚悟しとくんだよ……簡単な相手じゃなさそうだ』

母さんも頭を低くし、毛を逆立てている。
沈黙と張りつめた空気に心臓の鼓動が早まる。

キィィ……………………。



音が止んだ。
「行った……か?」

母さんの耳はピンと立っていた。
『面白くないねぇ……こちらの様子見というところか……』
母さんがこんなに警戒する程の相手……。
緊張が解けてその場にへたり込む。

『今まで拾った核はちゃんと持っているだろうね?それ狙いかもしれん……奪われん様に気をつけてやるんだよ』

核……吸血鬼が灰になった後に残る紅い宝石の様な結晶。

灰になった後、この核から復活するか、そのまま浄化されていくかに別れる。
吸血鬼の力の源になるもので、他者から奪い体に取り込めば大きな力となるのだが母さんは同族食いしてまで復活しても、父さんの前に堂々と立てないと使わずに俺に全て持たせている。

浄化されて力の無くなった核は透明になるので、そうなったら庭の隅にある、俺の作った墓を模した岩の下に埋める様にしている。

「はぁ……きなくさい……」

面倒な事になりそうで溜め息が出る。
自分の事だけで精一杯なのに……。

その後は何も無く夜は明けた。

ーーーーーー

「ふあぁ………」

大きなあくびをしながら校門を抜けるて歩いていると、後ろから肩を組まれた。

「毎朝毎朝、眠そうだな?昨夜は萌々菜ちゃんフィーバー?」

「昨日はいろいろ忙しくてゆっくり見れなかった……」

はぁ~……結局あの後、熟睡は出来なかった。
母親が感じていた緊張感と同じように、俺の中の血も興奮させられていたようだ。
ずっと布団の中でゴロゴロしながら浮かぶのは藤川の事ばかり……。

年頃なのだから仕方が無い。
そっと自分のモノに手を添え……藤川にお尻に入れてと上目遣いでお願いされたところで達した。

「………り君……」
昨日の藤川も可愛かったなぁ……
「……鳥君」
藤川にお願いされたらいくらでも……
「千鳥君!!」

いきなり服を引っ張られ、振り返ると
「ふ……藤川!?いくらでも入れさせて頂きます!!」

思わず敬礼した俺をきょとんと見上げてくる。

「え?何を?」

しまった………。
びっくりして、つい心の願望が漏れてしまった。
遠くで永倉が笑っている。気づいていたなら教えてくれればいいのに!!

「いや……ごめんこっちの話……で、何?」

「昨日はごめんなさい……勝手に荷物見ちゃって…あの後、千鳥君教室こないし……まだ怒ってる?」

小首をかしげる仕草が似合う男がいるなんて、なんて尊いっ!!

「いや……怒ってる訳じゃないから……えっと……その……」

今まで接点が無く遠くから盗み見るだけで、話した事が無いので何を話していいのかわからない。

「樹、何をしている。早く教室へ行くぞ」

いおり……ごめん、またね千鳥君」

藤川は、突然現れた鳴滝なるたき 庵の後を追いかけて行ってしまった。
むぅ……俺と並んでいるよりは全然違和感ないけどさ……仲良さげに並んで歩く姿に嫉妬しながら見送った。


「……………」

永倉が無言で肩を叩いてくる。
どうせ俺に望みはないと言いたいのだろう。
わかっとるわ!!だから密かに見ているだけでいいんだよ!!

むすっと永倉と共に教室へ向かって歩いた。
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