俺のスキルがエロゲー仕様で泣けてくる

藤雪たすく

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見知らぬ世界

コントローラーは職業ですか?

「あれ?靴も無いの?怪我をしちゃうよ?靴、余ってるのあったかなあ?」

すでに細かな擦り傷だらけの俺の足を見て、ローランがコントローラーを操作し始めた。

俺が握っていたものとは違うスティック型の片手用コントローラーだ。
ローランがカチャカチャ動かした後……地面に靴が現れた。

「初心者に近い装備だけど無いよりは良いと思うから遠慮なく使って?」

「あ……ありがとうございます!!」

ありがたく履いてみるとサイズはぴったりだった。

「良かった。サイズぴったりだ」

「当たり前だよ。履けばその人のサイズに変化するんだから……」

そんなもんなの?
便利な世界だなぁ……色々気になる事は多いけど、可哀想な子を見るような目を向けられたので、あまり余計な事は言わない方が良さそうだと反省した。
今までの常識は捨てないと度々怪しい奴って剣を向けられそうだ。

現にローラン以外の人達からはちょっと刺のある視線を常に向けられている。

「近くだし街まで送ってってあげるよ。冒険者登録してる?冒険者ギルドへ行けばいろいろ教えてもらえると思うよ?そこで従者の募集もかけられるから……」

優しい笑顔を向けられる……良い人と会えて良かった。

ベッドはいつの間にか消えていて代わりに肩がけの鞄が置かれていた。
ローランに忘れないようにと注意を受けたので、俺の物か知らないが鞄を持ちローラン達について歩き始めた。

ローラン達と歩きながら怪しまれない様に、様子を伺い言葉を選びながら色々と質問をしてみる。

「従者って何なんでしょうか?」

なるべく馬鹿っぽいふりして、もう一度同じ質問をするとローランは優しく教えてくれた。

「僕達はコントローラーって呼ばれてて……産まれもっての力なんだけどね。冒険をする時にパーティーに必ず一人はいないといけないんだよ。コントローラーがいないとモンスターとは戦えないからね。コントローラーが指示を出して、その指示に沿って戦ってくれるのが従者だよ」

ローランが……えっと……エリオン、ミト、クラフト、ライザだったかな?
男達を指差すと従者たちは誇らしげに大きく頷いた。

「コントローラーがいないとどうなるんですか?」

「どんなに屈強な戦士でも攻撃出来ずにモンスターに一方的にやられるか逃げ回るしかないね。コントローラーは従者無しでは戦えないし、従者もコントローラー無しでは戦えない。持ちつ持たれつの関係なんだ」

ローランの言葉にこれまた従者たちは嬉しそうに頷いている。
コントローラーと従者の間には本当に強い繋がりがあるんだろうな。

俺も戦うために従者を探さないといけないらしい。
このままだとモンスターに出くわしたらやられるだけって事だよな。

「そうなんですね……でもなんで戦ってるんですか?魔王と戦うため?魔王は世界征服とかしてるんですか?」

この先なにをしたらいいのかわからないし、きっとチュートリアルが魔王を倒せって言ってたから、魔王を倒す方向で話は進行しているのだろう。
きっとその従者っていうのが勇者のことなんだと思う。

決められた道筋とはいえ、ため息が出てくる……街でのんびり暮らすとか選択肢は無いのだろうか?

「あははっ!魔王と戦うなんて大それた事は考えてないよ。う~ん何で戦うかって言われたら生活の為?クエストは良いお金が貰えるし、モンスターのドロップアイテムも高く売れるからね。作物を育てたり、物を作って売るより割がいいからね」

お金……どこの世界もお金は大切だよね。


ローランの従者達が茂みを切り開いてくれているけど道無き道を歩いて行くのは舗装された道を歩くよりも疲労がたまる。

そして……先程からものすごくお腹が空いている。
茂みに引っ掛けたちょっとした傷も石を踏んだ時の感触も……全ての感覚が細かすぎて、これはチュートリアルの言っていたように、本当に夢じゃないんじゃないかと思い始めていた。

漫画やゲームやアニメでお馴染みの異世界というやつじゃないかと非現実的な考えに行き着いた。

夢でなければ死=死だ。

生きていくために俺も稼がないといけないんだよな……その為にはローランみたいに強そうな従者を集めなければいけない。
戦いなんてできれば避けたいけれどこの世界にいる以上避けられそうにない……どうやったらこの世界から抜け出せるんだろう?魔王を倒すとか?

全く役に立たないチュートリアル……そういう所こそちゃんと教えて欲しかったよ。


しばらく歩き続け、森を抜けると遠くに街らしきものが見えた。

「街までもう少しなんだけど……その服は目立つよね」

ローランはまたコントローラーを操作する。

「コントローラーの形は人によって違うんですか?」

自分のコントローラーとは見比べるまでもなく全く形も色も違う。

「そうだよ。その人の手の形に馴染むものになってるし、色なんか個々で違うね。いくら君が僕のコントローラーをいじっても無反応だよ。そしてレベルが上がると使い勝手よく進化して、接続出来る従者の人数も増えていくんだ」

地面に布きれが現れ、ローランはコントローラーの説明をしてくれながら、その布を俺に掛けてくれた。

それはフード付きのマント。

「マントを着ていれば違和感無いと思うから怪しまれないと思うよ」

マントの合わせを閉じていればローラン達とあまり見た目が変わらない。

「ありがとう!初めて会ったのがローランみたいに良い人で良かった!!」

思わずローランに抱きつくと皆がザッと武器を構えた。

「大丈夫だって!コントローラー同士は接続出来ないの知ってるでしょ?」

ローランの言葉にみんなバツが悪そうに武器を下ろしてくれた。

……怖かった。
殺されるかと思ったけど、皆それだけローランの事が大切って事なんだな。
コントローラーと従者の関係はそんなに強いんだ……この先コントローラーと従者を見かけたら関わらない様に気を付けよう。

ローラン達の後ろについて街に到着すると真っ直ぐ大きな建物に入った。

「受付カウンターはあそこだよ。僕達はクエスト完了の確認と素材の買取りがあるからここでお別れになるけど……コントローラーを見せれば登録情報と照合して貰えると思う。親切に面倒を見てもらえるから……名前は思い出せなくても適当な名前で再登録も平気だし、思い出してから変更も出来る。良い従者と出会えると良いね。じゃあね!」

俺が記憶喪失で名前を覚えて無いと思ったから、名前を聞かれなかったのか……てっきり俺の名前になんて興味がないんだと思ったけど、従者を亡くし精神が錯乱したという設定で接していてくれたから無理に名前を聞き出そうせずにいてくれたんだ。

「あ!ありがとうございましたっ!!」

慌てて頭を下げたが、手を振っていたローランはすぐに従者達に守られるように、周りを固められて姿が見えなくなった。
絆が深いのは理解できたが……ちょっと異様。

だけど出会ったのがローランで本当に良かったとは思う。
しみじみと運が良かったと感謝しながら教えられたカウンターへ向かった。
感想 3

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