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見知らぬ世界
今日から冒険者
輝く様な金髪に透き通る様な青い瞳……海外の人みたいなお姉さんにドキドキしながら話しかけた。
言葉が通じるのはローラン達でわかっているが見た目がアレだとつい片言になってしまう。
「あの……冒険者登録……したいのですが……」
ローランはああ言ってくれたけれど、冒険者登録などした覚えはないので新たに登録を願い出た。
いつこの世界を抜けられるかわからないし、俺を守ってくれる従者を探さなければ……できれば優しい人が見つかると嬉しい。
「冒険者ギルド エストリカ支店へようこそ。登録の手続きですね」
目の前に現れたマップに『エストリカの街』が表示されて消えた。
ここはエストリカの街というらしい。
「それではまず、お名前をお聞かせいただけますか?」
お姉さんは流暢な日本語で微笑みながら大きな水晶玉みたいな物に手をかざした。
「宮尾 周です」
「ミャオ アマネ様ですね」
「いえ……宮尾です」
「はい、ミャオ様で……」
……もうミャオで良いです。
あんまりその呼び方はして欲しく無いんだけど……。
「適性能力検査を行いますのでこちらのオーブに手を当ててください」
俺の目の前に置かれた手のひらサイズの水晶玉。
玉の中は様々な色の光の世界が宇宙のように揺らめいている。
きれいだなぁと見惚れながら手を乗せるとその光がスッと消えてしまった。
ただの透明の水晶玉になってしまい、何か悪いことをしてしまったのではと慌ててお姉さんの顔を伺うとにっこりと微笑まれた。
「コントローラーの方なのですね。助かります」
なにが助かるのかわからないけど、俺が壊したんじゃないらしくホッと胸を撫で下ろした。
「従者の方はすでにいらっしゃいますか?」
「いえ……」
「それでは従魔もなしでよろしいですね?」
従魔?分からないけど……俺は1人だ。
「いないです」
わからないながらもいくつかの質問に答えていった。
「あ……お金無い……登録にお金って……」
あとは冒険者登録証を発行するだけというところまで来て、そもそもの問題に突き当たる。
ポケットを見ても鞄の中を見てもお金らしきものは無い。
「コントローラーの方は無料でご登録頂けます。引く手あまたですからすぐに従者希望者をご紹介できると思います」
にっこりと笑顔でカードの様な木札を渡された。
「アイテムボックスに入れたままでもゲートを通過出来ますが、再発行には手数料が掛かってしまいますので大切に保管してくださいね」
アイテムボックスは分からないけど取り敢えず鞄にしまった。
登録が終わり、俺の従者の募集情報はこの世界の全冒険者ギルドに伝達されたらしい。
俺の募集を見て興味を持ってくれた人から返事が来て、その中から俺が選んでいいとの事。
従者の人との契約料などがどうなっているのか質問してみたけど、そこから先は自己責任で契約する2人の間で話しあいで決まるらしく、俺がお金を出さなくても寧ろ従者の方がお金を積んで頼み込んでくるだろうと説明された。
誤りのない見極めを……いい出会いがありますようにとの微笑みに、ちょっと空恐ろしさを感じた。
もう少しお姉さんに細かく聞いてみたかったけど、後がつっかえていたし、この世界の常識は従者になってくれた人に少しづつ教えてもらえばいいかと思い、受付カウンターから離れた。
従者希望者が集まるまで暇だ。
建物内を見回してみたけれど、もう次のクエストに向かったのかローラン達の姿はなかった。
屈強な男達の中で貧弱な自分はかなり浮いている。
チラチラ見られてるような気もするし、居心地が悪くてそそくさと建物から外に出る事にした。
これからどうしよう。
お腹空いたけどお金無いし……。
喉も渇いたけどお金無いし……。
宿屋で休みたいけどお金無いし……。
何も出来ない。
目的もわからない。
コントローラーを弄って『コマンド』を開く。
→『アイテム』
冒険者登録証が増えていたが、やはり食糧は無かった。
休めそうな『野営』を選んで見ると足元から先程のベッドが出現した。
往来の真ん中でベッドで寝るっておかしいだろ!!と、思ったが……誰も気にしない。
モンスターに会った時もローラン達の時もそうだったけど、もしかしてベッドに乗ってると周りから見えなくなるのかも。
それならばとベッドに寝転んでも誰も見向きもしない……が、こちらからは丸見えで落ち着いて休めない。
ベッドから降りると、ベッドは鞄に変わった。
……取り敢えず人気の無い場所を探そう。
ベッドの上にいれば恐い人が来ても大丈夫そうなので人通りの少ない場所へ移動しようとして呼び止められた。
強そうな大きな知らない人。
「さっき冒険者登録してたコントローラーの人だよな……従者が決まって無いなら是非俺を従者にしてくれ!」
「ちょっと待ったぁ!!是非俺と……金ならいくらでも積もう!!」
「初めての従者なら戦士が良いって!俺と接続してくれ!」
わらわらと集まってくる数人の人に囲まれてしまった。
カウンターのお姉さんが引く手あまただと言っていたけど……本当なんだ。
従者がいればモンスターを倒してお金が手に入る!
そしてご飯が食べられる!!
でも従者ってどうやって決めるんだ?
接続って言ってたなぁ。
接続ってメニューにあったやつだよな。
適当に押してみようかどうしようかと迷っていると……遠くの方から砂煙が巻き上がっているのが見えて、それは徐々に近づいてくる。
人だ……人が凄い勢いで走ってくる。
「ミャオちゃ~んっ!!やっと見つけたぁ!!俺のコントローラー!!」
相手の顔を目視で確認する前に猛スピードのまま飛び付かれて、その勢いで一緒にゴロゴロ転がりながら壁に激突した。
「大丈夫!?怪我は無い!?」
……大丈夫じゃない。
壁にあの勢いで衝突したわりにはダメージは受けてはいないが……突然何なんだよ、こいつは?
顔を上げて思考が止まった。
その顔は……その人は……。
俺の大好きで大嫌いな人。
「……何……で?」
黒瀬 勝利……その人だった。
「ミャオちゃんやっと見つけたよ……隣町のギルドで登録されたの見つけてすぐ飛んで来ちゃった」
どうして……なんで……。
俺に顔を擦り寄せてくる男を振り払うこともできず、ただ呆然と前を見つめた。
言葉が通じるのはローラン達でわかっているが見た目がアレだとつい片言になってしまう。
「あの……冒険者登録……したいのですが……」
ローランはああ言ってくれたけれど、冒険者登録などした覚えはないので新たに登録を願い出た。
いつこの世界を抜けられるかわからないし、俺を守ってくれる従者を探さなければ……できれば優しい人が見つかると嬉しい。
「冒険者ギルド エストリカ支店へようこそ。登録の手続きですね」
目の前に現れたマップに『エストリカの街』が表示されて消えた。
ここはエストリカの街というらしい。
「それではまず、お名前をお聞かせいただけますか?」
お姉さんは流暢な日本語で微笑みながら大きな水晶玉みたいな物に手をかざした。
「宮尾 周です」
「ミャオ アマネ様ですね」
「いえ……宮尾です」
「はい、ミャオ様で……」
……もうミャオで良いです。
あんまりその呼び方はして欲しく無いんだけど……。
「適性能力検査を行いますのでこちらのオーブに手を当ててください」
俺の目の前に置かれた手のひらサイズの水晶玉。
玉の中は様々な色の光の世界が宇宙のように揺らめいている。
きれいだなぁと見惚れながら手を乗せるとその光がスッと消えてしまった。
ただの透明の水晶玉になってしまい、何か悪いことをしてしまったのではと慌ててお姉さんの顔を伺うとにっこりと微笑まれた。
「コントローラーの方なのですね。助かります」
なにが助かるのかわからないけど、俺が壊したんじゃないらしくホッと胸を撫で下ろした。
「従者の方はすでにいらっしゃいますか?」
「いえ……」
「それでは従魔もなしでよろしいですね?」
従魔?分からないけど……俺は1人だ。
「いないです」
わからないながらもいくつかの質問に答えていった。
「あ……お金無い……登録にお金って……」
あとは冒険者登録証を発行するだけというところまで来て、そもそもの問題に突き当たる。
ポケットを見ても鞄の中を見てもお金らしきものは無い。
「コントローラーの方は無料でご登録頂けます。引く手あまたですからすぐに従者希望者をご紹介できると思います」
にっこりと笑顔でカードの様な木札を渡された。
「アイテムボックスに入れたままでもゲートを通過出来ますが、再発行には手数料が掛かってしまいますので大切に保管してくださいね」
アイテムボックスは分からないけど取り敢えず鞄にしまった。
登録が終わり、俺の従者の募集情報はこの世界の全冒険者ギルドに伝達されたらしい。
俺の募集を見て興味を持ってくれた人から返事が来て、その中から俺が選んでいいとの事。
従者の人との契約料などがどうなっているのか質問してみたけど、そこから先は自己責任で契約する2人の間で話しあいで決まるらしく、俺がお金を出さなくても寧ろ従者の方がお金を積んで頼み込んでくるだろうと説明された。
誤りのない見極めを……いい出会いがありますようにとの微笑みに、ちょっと空恐ろしさを感じた。
もう少しお姉さんに細かく聞いてみたかったけど、後がつっかえていたし、この世界の常識は従者になってくれた人に少しづつ教えてもらえばいいかと思い、受付カウンターから離れた。
従者希望者が集まるまで暇だ。
建物内を見回してみたけれど、もう次のクエストに向かったのかローラン達の姿はなかった。
屈強な男達の中で貧弱な自分はかなり浮いている。
チラチラ見られてるような気もするし、居心地が悪くてそそくさと建物から外に出る事にした。
これからどうしよう。
お腹空いたけどお金無いし……。
喉も渇いたけどお金無いし……。
宿屋で休みたいけどお金無いし……。
何も出来ない。
目的もわからない。
コントローラーを弄って『コマンド』を開く。
→『アイテム』
冒険者登録証が増えていたが、やはり食糧は無かった。
休めそうな『野営』を選んで見ると足元から先程のベッドが出現した。
往来の真ん中でベッドで寝るっておかしいだろ!!と、思ったが……誰も気にしない。
モンスターに会った時もローラン達の時もそうだったけど、もしかしてベッドに乗ってると周りから見えなくなるのかも。
それならばとベッドに寝転んでも誰も見向きもしない……が、こちらからは丸見えで落ち着いて休めない。
ベッドから降りると、ベッドは鞄に変わった。
……取り敢えず人気の無い場所を探そう。
ベッドの上にいれば恐い人が来ても大丈夫そうなので人通りの少ない場所へ移動しようとして呼び止められた。
強そうな大きな知らない人。
「さっき冒険者登録してたコントローラーの人だよな……従者が決まって無いなら是非俺を従者にしてくれ!」
「ちょっと待ったぁ!!是非俺と……金ならいくらでも積もう!!」
「初めての従者なら戦士が良いって!俺と接続してくれ!」
わらわらと集まってくる数人の人に囲まれてしまった。
カウンターのお姉さんが引く手あまただと言っていたけど……本当なんだ。
従者がいればモンスターを倒してお金が手に入る!
そしてご飯が食べられる!!
でも従者ってどうやって決めるんだ?
接続って言ってたなぁ。
接続ってメニューにあったやつだよな。
適当に押してみようかどうしようかと迷っていると……遠くの方から砂煙が巻き上がっているのが見えて、それは徐々に近づいてくる。
人だ……人が凄い勢いで走ってくる。
「ミャオちゃ~んっ!!やっと見つけたぁ!!俺のコントローラー!!」
相手の顔を目視で確認する前に猛スピードのまま飛び付かれて、その勢いで一緒にゴロゴロ転がりながら壁に激突した。
「大丈夫!?怪我は無い!?」
……大丈夫じゃない。
壁にあの勢いで衝突したわりにはダメージは受けてはいないが……突然何なんだよ、こいつは?
顔を上げて思考が止まった。
その顔は……その人は……。
俺の大好きで大嫌いな人。
「……何……で?」
黒瀬 勝利……その人だった。
「ミャオちゃんやっと見つけたよ……隣町のギルドで登録されたの見つけてすぐ飛んで来ちゃった」
どうして……なんで……。
俺に顔を擦り寄せてくる男を振り払うこともできず、ただ呆然と前を見つめた。
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