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諦める勇気
新たな門出
「それではよろしくお願いします」
爽やかイケメンな騎士はそう言って深々と『クレイヴ洞窟』の方角へ向かい、俺たちにお尻を向けて頭を下げた。
俺たちは逆方向の『断頭の隧道』へと向かって歩いている。
ずっと話を聞いていて、不機嫌な理由を想像すると、どうもジークフリートは勝利君の理想像っぽいなと感じた。
強くて、イケメンで、優しくて……理想というよりも勝利君そのものじゃないかと思う……最近はドSで変態で残念な部分が大分強く出てきているけれど……。
ジークフリートの言葉から、恐らく願いを聞き入れたミャオちゃんに向けたであろう笑顔は、初めて出会った時の勝利君の笑顔にちょっと似ていた。
「逃げられなかったな……姿を目視した瞬間に接触判定引っかかるとか厳しすぎ……街に入らなきゃ平気と思ったのにまさかあんな場所で待ち構えてるなんて思わなかった……」
うんざりした顔で勝利君はぼやいている。
似てるよなんて言ったら勝利君はどんな顔をするんだろう。
「……ミャオちゃん何笑ってんの?」
「別に?何でもないよ」
立ち止まった勝利君を追い越して進む俺に勝利君は怪しんだ目を向けてきた。
強くて、イケメンで、優しくて……ちょっとエッチで意地悪だけど全力で俺を愛してくれる勝利君を知る前の俺なら……ジークフリートのイベントを進めていたら惚れてしまっていたかもしれないな。
「早く行こう?ジークフリートがまた来ちゃうかもよ?」
後ろを振り返り、何か言いたげにこちらを睨んでいる勝利君へ向けて手を差し出した。
ーーーーーー
『断頭の隧道』と『ファンドラの街』の分かれ道を『断頭の隧道』へ向かって進んだ。
「覚えてる限りでイベント起きる場所はすっ飛ばしてきたし、トンネルを抜けた先は魔王の住む場所で、あの世への入り口って恐れられてて『断頭の隧道』に人は近づかないから二人っきりの生活を送れるよ!!」
「魔王!?」
そんなラスボス手前の場所に向かっていたのか!!
「勝利君……人には会わないかもだけど……魔王って強いんじゃ?危険だよ!?危ないよ!!引き返そう!!」
前に勝利君、ほぼ無敵って自分で言ってたよな?
「魔王はこのゲームが今の形になる前に作ってて、その時は魔王から犯される陵辱メス落ちエンドもあったけど、今のストーリーになってからは出番なし」
勝利君……同じ歳だよね?
陵辱メス落ちは不純異性交友……いや不純同性交友か?どちらにせよ犯罪臭がするよ。
「ずっと放置してただけだから、魔王のイベントはないし、ここに来るまでに魔王が暴れている形跡もないからエンカウントする事さえ気を付けていれば大丈夫だと思うんだ」
この世界は勝利君の作った世界とわずかに違う箇所もあるみたいだから、魔王が暴れださないなんて保証はないと思う。
「もっと別な場所にしない?スクスプリト山の山頂とか」
あそこは人は来ないし魔物の数は少ないし住みやすいんじゃないかと思う。
「あそこは食料ドロップする魔物がいないから住みづらいよ。食料切れて狩りの度にあの崖を登り降りするのミャオちゃんは厳しいんじゃないかな?」
俺がいないと戦えないから『いってらっしゃい』と勝利君一人で送り出すというわけにはいかないもんな。
あの断崖絶壁を毎回飛び降りるのか……無理。
「ラスボス手前でも魔王以外の魔物はそこまで強くないから大丈夫だよ。これも手に入れてるしね」
そう言って取り出したのは怪しい御札。
確かあの不気味な黒牛が落としたやつだ。
「どんな呪いのアイテム?」
「呪いじゃ無いって……『やり直し券』だよ。全滅しても1度だけこの券に登録された場所からやり直せる。この券は……殺戮の森からだね」
十分呪われてるじゃないか……。
「そんな嫌そうな顔しないで!!今度は意地悪しないでちゃんと守るからさぁ!!ね?魔王の森に行こう!?人のこない安全な森で二人で幸せな家庭を築いていこうよぉ~!!」
「幸せな家庭ねえ……二人きりで?」
勝利君はもう元の世界に未練は無いの……かな。
「俺はミャオちゃんさえいてくれたらそれで幸せだから」
本当にブレない人だ。
でも大好きな人に、ここまで愛して貰えるなら、こんな世界でも少しは好きになれそうな気がする。
この先にある魔王の森が安全かなんてわからない。
幸せな家庭を作るなら魔王の森などと物騒な場所じゃなくて穏やかな土地が望ましいけど……やり直しもできるみたいだから、行くだけなら行ってみてもいいかもしれない。
勝利君の手を強く握り締めて、気持ちを固めた。
「魔王がいたら即退散だからね?」
「もちろん!!」
スキップしそうな勢いの勝利君の後ろを、従魔達に背中を押されながら必死に追いかけた。
勝利君……俺も君がいてくれたらそれだけで……。
爽やかイケメンな騎士はそう言って深々と『クレイヴ洞窟』の方角へ向かい、俺たちにお尻を向けて頭を下げた。
俺たちは逆方向の『断頭の隧道』へと向かって歩いている。
ずっと話を聞いていて、不機嫌な理由を想像すると、どうもジークフリートは勝利君の理想像っぽいなと感じた。
強くて、イケメンで、優しくて……理想というよりも勝利君そのものじゃないかと思う……最近はドSで変態で残念な部分が大分強く出てきているけれど……。
ジークフリートの言葉から、恐らく願いを聞き入れたミャオちゃんに向けたであろう笑顔は、初めて出会った時の勝利君の笑顔にちょっと似ていた。
「逃げられなかったな……姿を目視した瞬間に接触判定引っかかるとか厳しすぎ……街に入らなきゃ平気と思ったのにまさかあんな場所で待ち構えてるなんて思わなかった……」
うんざりした顔で勝利君はぼやいている。
似てるよなんて言ったら勝利君はどんな顔をするんだろう。
「……ミャオちゃん何笑ってんの?」
「別に?何でもないよ」
立ち止まった勝利君を追い越して進む俺に勝利君は怪しんだ目を向けてきた。
強くて、イケメンで、優しくて……ちょっとエッチで意地悪だけど全力で俺を愛してくれる勝利君を知る前の俺なら……ジークフリートのイベントを進めていたら惚れてしまっていたかもしれないな。
「早く行こう?ジークフリートがまた来ちゃうかもよ?」
後ろを振り返り、何か言いたげにこちらを睨んでいる勝利君へ向けて手を差し出した。
ーーーーーー
『断頭の隧道』と『ファンドラの街』の分かれ道を『断頭の隧道』へ向かって進んだ。
「覚えてる限りでイベント起きる場所はすっ飛ばしてきたし、トンネルを抜けた先は魔王の住む場所で、あの世への入り口って恐れられてて『断頭の隧道』に人は近づかないから二人っきりの生活を送れるよ!!」
「魔王!?」
そんなラスボス手前の場所に向かっていたのか!!
「勝利君……人には会わないかもだけど……魔王って強いんじゃ?危険だよ!?危ないよ!!引き返そう!!」
前に勝利君、ほぼ無敵って自分で言ってたよな?
「魔王はこのゲームが今の形になる前に作ってて、その時は魔王から犯される陵辱メス落ちエンドもあったけど、今のストーリーになってからは出番なし」
勝利君……同じ歳だよね?
陵辱メス落ちは不純異性交友……いや不純同性交友か?どちらにせよ犯罪臭がするよ。
「ずっと放置してただけだから、魔王のイベントはないし、ここに来るまでに魔王が暴れている形跡もないからエンカウントする事さえ気を付けていれば大丈夫だと思うんだ」
この世界は勝利君の作った世界とわずかに違う箇所もあるみたいだから、魔王が暴れださないなんて保証はないと思う。
「もっと別な場所にしない?スクスプリト山の山頂とか」
あそこは人は来ないし魔物の数は少ないし住みやすいんじゃないかと思う。
「あそこは食料ドロップする魔物がいないから住みづらいよ。食料切れて狩りの度にあの崖を登り降りするのミャオちゃんは厳しいんじゃないかな?」
俺がいないと戦えないから『いってらっしゃい』と勝利君一人で送り出すというわけにはいかないもんな。
あの断崖絶壁を毎回飛び降りるのか……無理。
「ラスボス手前でも魔王以外の魔物はそこまで強くないから大丈夫だよ。これも手に入れてるしね」
そう言って取り出したのは怪しい御札。
確かあの不気味な黒牛が落としたやつだ。
「どんな呪いのアイテム?」
「呪いじゃ無いって……『やり直し券』だよ。全滅しても1度だけこの券に登録された場所からやり直せる。この券は……殺戮の森からだね」
十分呪われてるじゃないか……。
「そんな嫌そうな顔しないで!!今度は意地悪しないでちゃんと守るからさぁ!!ね?魔王の森に行こう!?人のこない安全な森で二人で幸せな家庭を築いていこうよぉ~!!」
「幸せな家庭ねえ……二人きりで?」
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「俺はミャオちゃんさえいてくれたらそれで幸せだから」
本当にブレない人だ。
でも大好きな人に、ここまで愛して貰えるなら、こんな世界でも少しは好きになれそうな気がする。
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勝利君の手を強く握り締めて、気持ちを固めた。
「魔王がいたら即退散だからね?」
「もちろん!!」
スキップしそうな勢いの勝利君の後ろを、従魔達に背中を押されながら必死に追いかけた。
勝利君……俺も君がいてくれたらそれだけで……。
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