最凶のダンジョンで宿屋経営

藤雪たすく

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ヒュウガの野生の話

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リンフィに貰った種に水やりでもするかと畑に向かうと小さな小屋が出来ていた。

中を見ると農機具類がしまわれており、男を誘い込む女郎蜘蛛の巣の様なこの旅館に、今日は客もいないし、スキルの導くまま暇つぶしに畑を耕してみようかと思う。

「ヒュウガ、畑を耕した事ある?」

「ん?俺たちは狩猟がメインだし、俺いちおう皇子なんで」

そうですよね~。
期待はしてなかったよ。
俺も農作業なんて初体験だ。

何となくでクワを振って土を耕してみる。

ザクザクザクザクザク……

とりあえず耕してみたけど土を盛るとかわからないので本当に掘り返しただけ。
ヒュウガを振り返ると狼の姿になって嬉しそうに夢中で穴を掘っていた。
ヒュウガの中の野生が目覚めた様だ。
そっとしておいてやろう。

さて……ここである重大な事に気付く。

種無いわ……。
このままではただ穴を掘っただけの無駄な刑罰で終わってしまう。

ポトリと小さい袋が落ちてきた。

中を開けると何やらわからぬの種。
相変わらず俺のスキルは秘密主義で何の種かは書いていない。
セバスチャンに聞いたところでどうせ教えてくれないのでなんとなく土の上に撒いておいた。

水をあげて、さぁ帰ろうとヒュウガに声を掛けたが、夢中になっているのか、聞こえてないみたいなので1人で戻り、温泉へ直行する。

あんなに穴を掘るのが楽しいなら、今度冷蔵庫に残っている豚骨を埋めておいてやろうか。

のんびり温泉に浸かりながら思わず極楽、極楽と口からもれた。

「今日はのんびりしてていいな……」

毎日こうなら良いのに。
貧相な体だよな……。
湯の中で自分の腕を見てふと思う。

胸を見ても魅惑の膨らみもない、何もない。

何で俺なんだろう?
アスは何で俺を喚んだんだ?

男だし、子供も産めないし、家事出来ないし、嫁としては良いとこなくない?

う~ん……。
考えてもわからない事は考えるだけ無駄か……。

俺が悩んでどう抵抗したところでスキルの力には敵わないし、全てがアスの為に繋がっているというなら受け入れよう。

リーダーにしろ勇者にしろ、スキルの選んでくる奴は、幸いな事に皆イケメンだしな。

これがオークやらゴブリンやら……この世界の事は知らないが俺の認識で不細工代表な魔物相手ばっかだったらさすがに発狂してたと思うけどな。

そんな詮なき事をつらつら考えているうちに少し逆上せてきた。
脱衣室に上がるとコーヒー牛乳のサービスがあった。

セックス事情以外では至れり尽くせりだし成るように成る……長いものには巻かれておこうと、コーヒー牛乳を飲み干した。
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