最凶のダンジョンで宿屋経営

藤雪たすく

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王子様がやって来た話

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「すごい!!本物の王子様だよ?気品のある格好だ、すごいね!!」

興奮する俺にヒュウガは、冷めた目を送ってきた。

「俺も一応、本物の皇子なんだけど……」

あ……そうでした……。
ヒュウガはワイルド過ぎるので忘れてました。
でも、目の前にいるのはいかにもな王子様。
まるで絵本の中から飛び出して来たようだ……。

金髪碧眼、緩くウェーブのかかった柔らかそうな髪。
アーモンド型の綺麗な瞳に柔和そうな口許。
完璧な王子様だよ!!リアル王子ハンパない!!

「その節は大変……お世話になりました」

肩膝をついて恭しく挨拶をするのは一人旅をしていたダンディな冒険者のブライアン。
冒険者と思っていたけど、実は王国の騎士様だった。

「我が主君、カラハナ王国の第1王子のアレクサンダー様です」

「アレクとお呼びください。カラスマ様」

王子は俺の前に肩膝をつくと、手の甲にキスをしてきた。

手は早そうだけど、初対面でいきなり俺の上に乗っかり腰を振ってきた何処かの皇子とはえらい違いだね。嫌味を込めてヒュウガを見るとそ知らぬ顔して目線を外された。

「カラスマ様を見込んで、お願いがあって参りました!!是非我が国の危機をお救いください!!」

何かでっかい話がきた………。

ーーーーーー

立ち話も何なので食堂へ移動した。

「これは……初めて頂きましたが美味しいお茶ですね」

にっこりと微笑まれて、つられてにっこりと微笑み返す。

全然、危機感を感じないんだけど……。

「カラハナ王国では直系の者が王となり、血を繋げてきたのですが……王位継承第1位は第1王子であるアレクサンダー様には少し問題がありまして……このままですと第2王子のタイラー様が王位を継承することになりそうなのです。タイラー様は騎士の出で……少々好戦的な所があり、野心家でもあらせられるので実権を握れば恐らく戦争……魔物領への進出もあり得ます。そうなると多くの国民の血が流されることとなる……それをなんとか食い止めたいのです」

アスが良い例、魔物は底が知れないのに……現場を知らないから……とブライアンさんは溜め息をついた。

「えっと……ブライアンさんはアレク様に王位を継がせたいってことですよね……それで何で俺?」

俺に何とかできそうな要素は無かったけど……。

「……実は……王子の問題と言うのがお世継ぎの問題で……」

ブライアンさんは言いづらそうに王子様の顔をチラチラ見ている。

「気にしなくて良いよ、ブライアン……ここには城の狸達はいない。カラスマ様、私は勃たないんです。不能なんですよ」

にっこり微笑まれたが流石に微笑み返せなかった。

ーーーーーー


「カラスマがそんなに俗っぽいなんて知らなかった」

厨房で王子様達の夕飯を作っているとムスッとしたヒュウガが後ろから抱き付いてきた。

「何が俗っぽいんだよ?」

「あぁ言う。女達が好んで騒いでそうなのが好みだとは思わなかったってこと」

王子の事か……。

「好みって言うか、本物の王子様なんて見たこと無かったからテンションは上がるよね」

絵にかいた様な王子様だった。外見は。

「じゃあ……カラスマの好みのタイプって……どんなの?」

?ヒュウガがすごい見てくる。

「俺の好み?……好みかぁ、アスだね……あれ?どうしたの?ヒュウガ?」

ヒュウガが床に倒れた。

「知ってたさ……知ってたけどさ……少し位悩めよ、期待させてくれよ」

「だって、アスは強いし格好いいし優しいし……」

指を折ってアスの良いところをあげていく。

「もういい……はぁ」

溜め息を付いて立ち去ろうとする背中にくっついて頬をよせた。

「ヒュウガはね、心を暖かくしてくれるトコが好き」

ムッとして振り返ったヒュウガの顔は真っ赤で可愛らしい。

「そういう所ばっか成長して、そんなに振り回すなよ」

「ふふふ、ヒュウガ大好き」

困ったようにブツブツぼやくヒュウガの胸に飛び込んだ。

あ……早くご飯作んないと王子様達がお風呂から上がって来ちゃうな。

俺を抱き締めようとした手をすり抜けて調理に戻る。

「くそ……小悪魔め……」

後ろから向けられるヒュウガの拗ねた視線が背中に突き刺さって痛かった。
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