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魔力が足りない
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「……シーナ?これは……」
部屋に入ろうとした所で急にルノさんが立ち止まったのでその背中にぶつかった。
「この短時間でここまで綺麗にしてくれたのか!?」
そうだった。
調子に乗って雑巾は落としてしまったけど、俺すごいんだよ!! 物が多いのは変わらないけど真っすぐ並べ替えただけで整頓されている様に見えるし、全ての汚れが落とされた床や壁や家具は部屋を明るく見せてくれた。
「はい!!頑張りました!!」
自信満々に胸を張るとギュ~と抱きしめられて顔をすり寄せられた。
「凄い!!凄いよ、シーナ!!」
「あはは……喜んでもらえて嬉しいです……」
喜んでもらえて、褒めてもらえるのは嬉しいけどルノさんって結構ボディタッチが多いよね。鑑定では14歳だし子どもだと思ってるからなんだろうけど、ルノさんの俺への扱いは幼稚園生ぐらいに対するようなものに感じる。
「ここに配属されて始めのうちは俺なりに掃除していたけど、あいつらすぐ汚すし物は壊すし……諦めてたんだ。こんなに綺麗な部屋で食事をするのは何日ぶりかな?シーナには何かお礼を買ってきてあげないとね。何がいいかな」
苦労してたんだな……うっすら涙すら浮かべているルノさんが不憫に思えた。こんなに喜んでもらえると俺も掃除した甲斐があるし、お礼も貰えるみたいだ。
「ご褒美もらえるなら働き先を「うん、却下」
みなまで言わせてもらえずに笑顔で却下されてしまった。
頑なだなぁ……それ以外で高価な物でなければと言われても、俺はこの世界に何が売られているのか知らないからねだりようが無い。
……あ、そうだ!!
朝、残した料理を机に並べるルノさんを見て欲しい物を思い出した。
「俺もルノさんみたいな『収納箱』が欲しいです!!」
「『収納箱』か……う~ん……」
ルノさんは頭は首を捻った。
『鑑定』スキルの様に手に魔術式を描いて貰えば良いだけだろうと軽い気持ちでお願いしたんだけど違うのかな?
「まだ子どもだからという理由なら、俺はルノさんを信頼してます」
一度も二度も同じだろ? 失敗して傷痕が残ったところで俺からお願いしてるのだから恨む気もないし。
「信頼してくれるのは嬉しいし、失敗するほど難しい式では無いけど……シーナは魔力がなぁ」
鑑定と違い収納箱は開け閉めするのに魔力が必要らしく、魔術式の書き込みに成功しても俺には使うことができないと説明をされて、ショックでふて寝したくなった。
異世界へ行った主人公は何の苦労もなく時間経過無しで容量も無制限な奴を使っているというのに、俺は……俺は主人公では無いからか、収納箱を手に入れても使えないというジレンマ!!
悶々としながら不味くは無いけれど美味しくはない何かの揚げ物を放心状態で食べあげた。
「この後、俺は外に出てくるから部屋に結界を張って行ってもいいかな?」
「結界ですか?でもルノさんがいなくても他の隊員さんはいるんじゃないんですか?」
いくら治安が悪くてもいきなり警備隊の詰所を襲撃するって事はなかなかないのでは?
「外部ではなく、あいつらから守る為だよ……隊長に傷口を開かされたのは忘れてないよね?」
ああ……なるほどね、納得だわ。
「わかりました。大人しく待っていますのでお仕事頑張ってきてください」
ここで駄々をこねて、俺が心配で仕事ができないとか言われても困るし笑顔で見送った。
ーーーーーー
留守番中、鑑定サーフィンをして暇を潰している。
ルノさんの錆びていた武器の鑑定から始まって、次から次へ詳細を広げていくうちにこの世界の知識は割と広がった。
一通り詳細を読み込んで自分のステータスに戻った時、スキルが変化しているのに気がついた。
『鑑定』がLv.2に上がっていた。鑑定すればするほどレベルが上がっるてこと? レベルが上がったからといっても特に鑑定内容の違いは見つけられなかった。
そして『お手製』もLv.2になっていた。
雑巾の効果が上がったりするのか試したかったけど、いま手元に雑巾はない。
お手製にしていた毛布を鑑定してみたが変化はなかった……スキルのレベルの意味って何だよとガッカリしたが、上がって悪い事はないだろうし暇なんだし、今出来る鑑定のレベルを上げをしてしまおうと、部屋にある物をもう一度鑑定し直してみる事にした。
「あれ?」
枕を鑑定してみると枕の横に《お手製可》の文字がある。お昼を食べる前に見た時はなかったはず……お手製のスキルが上がったから? スキルが上がるとお手製できる物が増えていく仕組みだ!!
揚々と枕をお手製に変えるとチート雑巾で汚れは綺麗になっていたがヘタっていた枕がフワフワのボリュームある物に変わった。
『お手製の枕……ポルポルボルの綿毛部分のみを使用。慢性的な肩こりも解消、イビキも軽減』
雑巾ほどのミラクルはないが地味に嬉しい効果。
ルノさんの仕事内容は知らないけれどきっと肉体的にもきつい仕事だろう。ゆっくり休んでもらえるといいなぁ。昨日は俺がベッドを占領して座ったまま寝させてしまったから、お詫びになると良い。
枕と毛布が新品ならベッドも綺麗にしたいとベッドを鑑定したが、ベッドはまだまだレベルが足りないらしく《お手製可》の文字はでない。
ベッドは無理でもマットが《お手製可》になっていたのでぺったんこに平べったく寝潰されていたマットをお手製するとしっかりと厚みのある物に変化した。手で押してみると、硬すぎず軟らかすぎず手の形にゆっくりと沈む。
『お手製のマット……ジェヴォンの尻尾の毛をふんだんに使った贅沢な一品。腰痛を軽減。寝汗からおねしょまで無かったことにしてくれる』
おねしょはともかく寝汗を消してくれるのはいつでもサラサラで快適に寝られるということか。
マットに枕に毛布……最高級な新品の寝具の寝心地を試してみたいという誘惑に勝てず、持ち主のルノさんを差し置いてゆっくりとベッドに横になってみた。
こ……この寝心地は今まで体験したことないかも……まるで雲の上にいるみたいだ。
明るくなった窓から差し込んでくる日差しもポカポカと温かい……これはいけないヤツだ。人をダメにするヤツだ。起きなきゃ……起きな……きゃ……起き…………。
快適すぎる寝具は魔法でもかかっているのではないかと言うスピードで、俺を深い眠りへと誘って行った。
部屋に入ろうとした所で急にルノさんが立ち止まったのでその背中にぶつかった。
「この短時間でここまで綺麗にしてくれたのか!?」
そうだった。
調子に乗って雑巾は落としてしまったけど、俺すごいんだよ!! 物が多いのは変わらないけど真っすぐ並べ替えただけで整頓されている様に見えるし、全ての汚れが落とされた床や壁や家具は部屋を明るく見せてくれた。
「はい!!頑張りました!!」
自信満々に胸を張るとギュ~と抱きしめられて顔をすり寄せられた。
「凄い!!凄いよ、シーナ!!」
「あはは……喜んでもらえて嬉しいです……」
喜んでもらえて、褒めてもらえるのは嬉しいけどルノさんって結構ボディタッチが多いよね。鑑定では14歳だし子どもだと思ってるからなんだろうけど、ルノさんの俺への扱いは幼稚園生ぐらいに対するようなものに感じる。
「ここに配属されて始めのうちは俺なりに掃除していたけど、あいつらすぐ汚すし物は壊すし……諦めてたんだ。こんなに綺麗な部屋で食事をするのは何日ぶりかな?シーナには何かお礼を買ってきてあげないとね。何がいいかな」
苦労してたんだな……うっすら涙すら浮かべているルノさんが不憫に思えた。こんなに喜んでもらえると俺も掃除した甲斐があるし、お礼も貰えるみたいだ。
「ご褒美もらえるなら働き先を「うん、却下」
みなまで言わせてもらえずに笑顔で却下されてしまった。
頑なだなぁ……それ以外で高価な物でなければと言われても、俺はこの世界に何が売られているのか知らないからねだりようが無い。
……あ、そうだ!!
朝、残した料理を机に並べるルノさんを見て欲しい物を思い出した。
「俺もルノさんみたいな『収納箱』が欲しいです!!」
「『収納箱』か……う~ん……」
ルノさんは頭は首を捻った。
『鑑定』スキルの様に手に魔術式を描いて貰えば良いだけだろうと軽い気持ちでお願いしたんだけど違うのかな?
「まだ子どもだからという理由なら、俺はルノさんを信頼してます」
一度も二度も同じだろ? 失敗して傷痕が残ったところで俺からお願いしてるのだから恨む気もないし。
「信頼してくれるのは嬉しいし、失敗するほど難しい式では無いけど……シーナは魔力がなぁ」
鑑定と違い収納箱は開け閉めするのに魔力が必要らしく、魔術式の書き込みに成功しても俺には使うことができないと説明をされて、ショックでふて寝したくなった。
異世界へ行った主人公は何の苦労もなく時間経過無しで容量も無制限な奴を使っているというのに、俺は……俺は主人公では無いからか、収納箱を手に入れても使えないというジレンマ!!
悶々としながら不味くは無いけれど美味しくはない何かの揚げ物を放心状態で食べあげた。
「この後、俺は外に出てくるから部屋に結界を張って行ってもいいかな?」
「結界ですか?でもルノさんがいなくても他の隊員さんはいるんじゃないんですか?」
いくら治安が悪くてもいきなり警備隊の詰所を襲撃するって事はなかなかないのでは?
「外部ではなく、あいつらから守る為だよ……隊長に傷口を開かされたのは忘れてないよね?」
ああ……なるほどね、納得だわ。
「わかりました。大人しく待っていますのでお仕事頑張ってきてください」
ここで駄々をこねて、俺が心配で仕事ができないとか言われても困るし笑顔で見送った。
ーーーーーー
留守番中、鑑定サーフィンをして暇を潰している。
ルノさんの錆びていた武器の鑑定から始まって、次から次へ詳細を広げていくうちにこの世界の知識は割と広がった。
一通り詳細を読み込んで自分のステータスに戻った時、スキルが変化しているのに気がついた。
『鑑定』がLv.2に上がっていた。鑑定すればするほどレベルが上がっるてこと? レベルが上がったからといっても特に鑑定内容の違いは見つけられなかった。
そして『お手製』もLv.2になっていた。
雑巾の効果が上がったりするのか試したかったけど、いま手元に雑巾はない。
お手製にしていた毛布を鑑定してみたが変化はなかった……スキルのレベルの意味って何だよとガッカリしたが、上がって悪い事はないだろうし暇なんだし、今出来る鑑定のレベルを上げをしてしまおうと、部屋にある物をもう一度鑑定し直してみる事にした。
「あれ?」
枕を鑑定してみると枕の横に《お手製可》の文字がある。お昼を食べる前に見た時はなかったはず……お手製のスキルが上がったから? スキルが上がるとお手製できる物が増えていく仕組みだ!!
揚々と枕をお手製に変えるとチート雑巾で汚れは綺麗になっていたがヘタっていた枕がフワフワのボリュームある物に変わった。
『お手製の枕……ポルポルボルの綿毛部分のみを使用。慢性的な肩こりも解消、イビキも軽減』
雑巾ほどのミラクルはないが地味に嬉しい効果。
ルノさんの仕事内容は知らないけれどきっと肉体的にもきつい仕事だろう。ゆっくり休んでもらえるといいなぁ。昨日は俺がベッドを占領して座ったまま寝させてしまったから、お詫びになると良い。
枕と毛布が新品ならベッドも綺麗にしたいとベッドを鑑定したが、ベッドはまだまだレベルが足りないらしく《お手製可》の文字はでない。
ベッドは無理でもマットが《お手製可》になっていたのでぺったんこに平べったく寝潰されていたマットをお手製するとしっかりと厚みのある物に変化した。手で押してみると、硬すぎず軟らかすぎず手の形にゆっくりと沈む。
『お手製のマット……ジェヴォンの尻尾の毛をふんだんに使った贅沢な一品。腰痛を軽減。寝汗からおねしょまで無かったことにしてくれる』
おねしょはともかく寝汗を消してくれるのはいつでもサラサラで快適に寝られるということか。
マットに枕に毛布……最高級な新品の寝具の寝心地を試してみたいという誘惑に勝てず、持ち主のルノさんを差し置いてゆっくりとベッドに横になってみた。
こ……この寝心地は今まで体験したことないかも……まるで雲の上にいるみたいだ。
明るくなった窓から差し込んでくる日差しもポカポカと温かい……これはいけないヤツだ。人をダメにするヤツだ。起きなきゃ……起きな……きゃ……起き…………。
快適すぎる寝具は魔法でもかかっているのではないかと言うスピードで、俺を深い眠りへと誘って行った。
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