最強推し活!!推しの為に転生して(生まれて)きました!!

藤雪たすく

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23話目 あなたに本気です

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賑やかな昼食が終わり、さあ片付けだと袖を捲った俺だったが、また引き摺られて今度は一階のロビーに連れてこられた。座らされたソファーの向かいにはまたまたリオル様が座っている……が、視線は伏せ気味で片手で頭を抱えているので直視せずにすんで先ほどよりは幾分落ち着きを保てているが、この広いロビーに2人きりである。上の食堂からはみんなが片付けをしてくれている音が聞こえてくるけど……ロビーにはソファーに向かい合って2人きり。

伏せられているが、目元や鼻筋はリナに似てきただろうか?口や顎のラインはマサカズ似かな?
子供の頃はマサカズ寄りだったが、成長してリナに似た部分も増えてきた気がする。

「まずはルディ、試験合格おめでとう。銀月の迷い猫の新メンバーとして歓迎する」

「はい!!ありがとうございます!!」

社交辞令でも歓迎の言葉にに歓喜です。

「試験終了と加入予定の報告は冒険者協会に提出して来たんだが、本契約には本人の同意が必要になるから明日一緒に冒険者協会に同行してもらう事になるが大丈夫かな?」

「はい!!予定なんて何もないのでついて来いと言われれば、冒険者協会でもクジャダガのダンジョンでもキルキス大陸でもどこでもお供いたします!!」

基本は自宅待機だろうと思うが、リオル様の要請ならば何処へなりとも駆けていく所存。ワガママを言えるなら単身の依頼よりもリオル様の側で身の回りのお世話をさせていただきたい。

「キルキス大陸は世界的に立ち入り禁止区域だ……まったく……君が言うと冗談に聞こえないからやめてくれ」

冗談のつもりは全くないが?
キルキス大陸は魔王城があった大陸で魔物の土地。マサカズが魔王を討伐する時にぶっ放した魔法のせいで大陸の大部分が『禁忌の深淵』と呼ばれる大穴になっている。用がなければ行く意味のない場所だが、ご用命とあれば?

「メンバーとして迎えさせてもらうにあたり、君の冒険者協会に残る経歴も調べさせてもらったが、犯罪歴、冒険者法の違反もない。我がギルドとしては君との契約に何も問題はない……が、君は本当にいいのか?Cランク冒険社となっているが君の力は見せてもらったがAランク……以上だ。うちのギルドじゃなくてももっと大手の、強いギルドにだって……いや、むしろ向こうから勧誘が来るんじゃないか?なぜ君はCランクに留まっているんだ?」

「銀月の迷い猫の試験参加資格がCランクからだったからです。ランクの高さではなく試験内容のみで合否が決定するとの事だったのでランクアップの試験は受けなくてもいいかなと思いました」

Cランクから上のランクに上がるには実績だけでなく、冒険者協会実施している試験を受けなければならない。集団での野営の実技や教官との模擬戦だったりで面倒だ。

「個々の力は巨大なギルドに引けは取らない。だが、リーダーの俺が言うのもなんだが……直接の依頼は少ないし配信の視聴者数もだ。君がお金を稼ぎたいとか配信冒険者として名を売りたいと思っているなら、うちはおすすめしない」

俺としてはメンバーを駒としか思っておらず、捨て駒の様に扱う大手ギルドよりは銀月の迷い猫の方が人に勧めたいと思うんだがな。

「リオル様のお側で働けるなら金も名誉も興味ないですね」

俺の言葉でリオル様は左手で頭を抱えてますます俯いてしまった。

「それなんだが……君に憧れられる要素は俺にないと思うんだが……もし、もし君が俺の父と母に憧れを持っていて俺に期待をしているならそれは間違いだぞ」

「勇者様と聖女様にですか?」

マサカズとリナには感謝の気持ちは持っている。
過去の俺からは考えられない生活を与えてくれたのは2人だ。俺の命そのものとも言える至宝の存在を与えてくれたのも2人。だから感謝はしているが、憧れるかと尋ねられると……マサカズは戦闘以外でバカだしリナは普段は穏やかだが興奮すると俺に理解できない言葉を早口で紡ぐ姿はちょっと怖い。そんな2人が好きだが憧れではない。

しかしなぜ2人のことを?もしかしてもうすでに『俺』だと疑われてる?答えを間違えたら加入して1日で追放か!?なんと答えるのが正解か……二人は仮にもこの世界を救った英雄だ。その二人に無関心な人間などまず存在しない。

「俺には父と母の様な力はない」

あの二人は異世界から転生した時に特殊な力を授かったらしいから……この世界で産まれ、この世界の理の中で生を受けたリオル様が、その特殊な力を受け継いでいなくてもそれはなんら不思議でもない。
それはマサカズもリナも言っていた。
リオル様が強いのは環境によるものだ、幼い頃からマサカズやリナを手本に生きて、物心つく前から剣に触れ、魔法に触れて……努力をしてきたから……。

『ルーウェン……無理だよ。僕が父さまみたいに出来るわけない』

『お父上の様になる必要はありません。ぼっちゃんはぼっちゃんの剣を振るえば良いのです』

『僕は剣なんか……強くなんてならなくてもいい!!ずっとルーウェンが守ってくれるんでしょ?』

『お守りしますよ。私はぼっちゃんの事が何よりも大切ですから。ぼっちゃんは?守りたいものはありませんか?私は、ぼっちゃんが守りたいと思う大切な物が出来た時に……ぼっちゃんの手で守れる様に強くなってもらいたいのです』

『う~……ある。守りたいもの……』

『では鍛錬あるのみです。私が教えられるすべてをぼっちゃんにお教えします。それで……その大切なものをルーウェンめにも教えていただくわけには……』

『ルーウェンには内緒!!いくよ、ルーウェン!!』

戦いなんてしたくないと泣いていたぼっちゃんだったが、それからは『僕が守るんだ』と剣も魔法も一生懸命に励んでくれた……。

尊いっ!!尊すぎますっ!!

勇者と聖女の子として良からぬ奴らが寄ってくる、それらからご自身の身を守れる様になって欲しいとエゴを押し付けていた俺に健気についてきてくれたぼっちゃん。

マサカズやリナの様になれなど一度も思った事はない。

「私は……リオル様がリオル様だから……あなたの役に立ちたいと思ったのです」

死んでもすぐに生まれ変わり、しつこくもあなたの側に居ようと足掻くぐらいに……。

「わからないな……物好きな奴……」

リオル様はご自身の魅力に気付いてないんだな。そんなところも可愛らしい。

「まあいい、まず君の取り分の話になるんだが……銀月の迷い猫では、個人で引き受けた依頼以外の依頼の報酬はギルドの蓄えを抜いた分をメンバーで等分している。これは直接依頼に参加していなくても……だ」

「雑用の俺でもですか!?それは……不満が出ませんか?」

さすがに直接命のやり取りをしている人間と拠点でぬくぬくご飯を作ってる人間が同じ分け前なのは不満の声が上がるだろう?

「賛同出来ないなら抜けてもらって構わない……百歩譲って君が雑用係に収まってくれたとして、戦闘部隊が戦地に立って戦えるのは……毎日の生活を支えてくれている奴がいるからだろう」

氷なんかじゃない、勇者と聖女の様になれないことに負い目を感じる必要はない……綺麗事だろうが、立派にマサカズとリナの思想を受け継いでいる。
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