最強推し活!!推しの為に転生して(生まれて)きました!!

藤雪たすく

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28話目 覗きは許されませんでした

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朝食は軽めにおにぎりと味噌汁と卵焼き。
おにぎりの中身は焼いたミスリルサーモンだ。ミスリルと言われているけど皮の色が似ているだけでミスリルとは何も関係はない。焼くとふっくら柔らかくて脂の乗った身が美味しい普通の魚。

この世界の食生活はリナの手により大きく進化した。
俺などリナたちと出会う前は生肉を食べていたりしたから、初めてリナに食事を与えられた時には世界が変わって見えたものだ。

お肉がない事に一部から苦情が漏れたので、残しておいたロックアイスバードの串焼きを渡すと結局皆に振る舞うことになった。食事ができたと呼びに行ったわけでもないが、「いい匂い」と自然に集まって来てくれた事が嬉しかった。ヨハルとノーマンがいなかったが、二人はいつも朝が遅いから放っておいていいとのことだった。


今日は何して過ごそうかと自室で粘土をこねながら考えていると階段を登りながら俺を呼ぶナディルの声が聞こえたのでドアを開けて顔を出した。

「何かご用ですかナディルさん」

廊下でナディルが間の抜けた顔で固まっている。

「ダメですよナディルさん。有名人なんですからそんな顔してると盗撮されちゃいますよ?」

「あ、あ、あ、あ、あの、ルディさん?この部屋って……」

「好きにしていいとおっしゃってくれたのでちょっと改築しちゃいました」

他の階と同じ間取りに壁を立ててドアを作った。俺の部屋は奥から2番目。下の階のノーマンには悪いが、もしもの時には床をぶち抜けばリオル様の部屋への最短距離。

「どこがちょっとだよぉぉぉぉっ!!」

ーーーーーー

ロビー。
向かいのソファーではリオル様を挟んで実家から戻ってきたギュンダーとフィラノーラが腕を組んで座っている。

ナディルさんが大きな声を出すから何かあったのかと集まってきた皆になぜかロビーに運ばれてしまった。

「え~まず私から…ルディさん?あの部屋は一体どういうことでしょうか?」

「好きに使っていいとのことだったので、使いやすいように改築させてもらいました。手前部分は倉庫になっていますが、あと二部屋は空き部屋になってるので新メンバーが増えても余裕です!!……もしかして駄目でしたか?」

眉間にわずかに皺を寄せたリオル様に慌てて視線を向ける。

「いや、駄目じゃない。好きに使っていいと言ったのは俺だからな。ただ……お前にあの部屋を渡したのは昨日の午後だよな?そして今はまだ午前といえる時間だ」

「?そうですね」

駄目じゃないなら何に不機嫌なのだろうか。
下っ端の俺の部屋だけサージトレントの頑丈な木材なこと?それともギルドメンバー兼用ボックスに一番高価なイビルワイバーンの魔石を入れなかった事?昨晩帰宅のついでに窓からリオル様の寝顔を盗み見たことかもしれない。さらにその寝顔を念写して自室の棚に飾ったことかもしれないっ!!

「すみませんっ!!つい出来心だったんですっ!!どうかクビだけは……クビだけは勘弁してください!!もう勝手にやったりしないんで……ここを追い出されたら俺は……俺は……」

問われる前に謝罪!!テーブルに頭をぶつける勢いで頭を下げた。ここを追い出されたら生きている意味がなくなってしまう。生きる目的も……何も……何も……なくなる……。

「いや、クビまでは考えてないから……落ち着いて……ぅぐっ」

フィラノーラは口を押さえて言葉を詰まらせた。

「落ち着けルディ……これからは自重してくれたらそれでいいんだ」

「はい!!自重します!!ありがとうございますリオル様!!」

リオル様の言葉はやはりすごいな。全ての言葉に言霊が宿っているかの様に俺の心を動かしてくる……名を呼ばれるたびに幸せになれる。自重して念写は1ヶ月に一枚にして盗み撮りもやめよう。

「その……何か行動する時は一言俺に声をかけてくれるだろうか」

「良いんですか!?」

下っ端の俺がそんな頻繁にギルドマスターへ声をかけても良いだなんて……朝食の準備が整ったと朝起こしに行くのがどれだけ幸せだったか、朝起きたらおはようございますと寝る前にはおやすみなさいませを……あの素晴らしい幸せをもう一度!?

「話ついでに儂からもいいか……」

小さく挙手したのはギュンダー……まだ話をしてないのでどういう人なのか好物もわからないがヤスさんと同じぐらいの年齢なので柔らかめの脂少なめの食事が良いかもしれないな。

「はい、なんでしょうか」

「朝方、ここへ来る途中で街の噂話を聞いてな……昨夜トトル平原に魔神が現れたと……平原で野営をしていた冒険者が黒い影が目から光線を放ち星を撃ち落としたと、その後巨大な魔物の血肉を喰らい去っていったそうだ」

「魔神……ですか?」

魔神族は魔王討伐と共にもう滅んでいるはずだが……昨夜は俺もトトル平原にいたが魔神の気配なんて感じなかった。

「魔神は勇者様に討伐されたんですよね?見間違いではないでしょうか」

同意を求めてみんなの顔を見回したが、みんなの目は真剣そのもので魔神の出現の噂に警戒をしているようだ。これに関しては安心してもらいたい、魔神はいなかった。

「トトル平原へは昨夜、私も行っていましたが魔神の気配なんて全くありませんでした、大丈夫ですよ。光線なんて見てないし、星が落ちてくるなんてこともなかったですよ」

「……ルディは何をしにトトル平原へ?」

頭を押さえたナディルにため息交じりで問われる。

「木材加工……ですかね。改築するのに木材が必要だったので」

「途中で魔物と戦ったりしましたか?」

「イビルワイバーンに会ったので倉庫ボックスに入れておきました」

尋問かな?俺が疑われてる?
でも光線なんて出してないし、星なんて撃ち落とせるわけないし、平原で食事はしてないし、今は人間だ。何も俺に当てはまらないじゃないか……。

身を乗り出してきたリオル様に両肩を掴まれた。

「ルディ……出かける時も声をかけてくれると嬉しいな」

顔……近い……。

「喜んでいただけるならなんでも報告いたしますぅ…………」
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