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俺の話
理想の王子様
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「都居くん、洗濯機を貸し……て……」
お風呂から上がってリビングを覗くと……いけないものを見てしまったかもしれない。
都居くんがタヌキの置き物に……キスしている。
「洗濯?置いといてくれたら後で一緒に洗っちゃうから良いよ?」
置き物を戻して何もなかったかの様に、にこやかに笑う。
「いや……それは……」
「一緒に洗っちゃった方が経済的でしょ?」
都居くんにはまだ一度も勝ててない。
「えっと……お願いします」
イケメンなのに置き物にキスするとは……都居くんそんなにタヌキが好きだったのか。
今度お礼にタヌキの何かを買ってこよう。
昨日の分と今日の分を洗濯機に入れてリビングに戻ると、今度は長い足を寛がせて都居くんがソファーに横になってクッションを抱いている。
抱きしめた時に匂いにドキドキしてしまったクッションだ。匂いは気のせいじゃなかったんだな。
ソファーで寛いでいるだけで絵になるって何処までイケメンだ。
「もう山川の家でもあるんだから、何でも好きな様に使って?遠慮なんて要らないし」
俺に気づくとニコッと微笑む……眩しいから不用意に微笑まないで欲しい。
「ありがと……あ!!お金おろして来たんだった!!」
鞄から封筒を取り出すと7枚数えてテーブルに並べた。
「何で7万円?」
「食事……作って貰ったし、下着とパジャマとか、諸々……ごめん。全然足りないよね……」
今日おろしてきた封筒の中身を見る……あと3枚。これが無くなると心細いなぁ……。
「大変な時期でしょ?余裕が出来たときに頂戴。今は素直に好意に甘えておいた方が可愛いよ?」
可愛さなんて別に要らないけど……封筒に1枚返されて……余裕が無いのは事実なのでありがたくお言葉に甘えておこう。
体を起こした都居くんがソファーに座れと言うように空いてる場所を叩く。
促されるように腰をおろすと膝の上に都居くんの頭が!?これは……膝枕と言うやつじゃないか!?
「とっ……都居くん!?何!?」
動揺に声が震えてしまう。
「どうしても甘えるだけが気になるなら……甘えさせて?」
見上げてくる目が甘い!!
手が伸びてきて……髪を撫でていく。
何!?この甘い空気!!
甘えさせてって……何をどう甘やかしたら良いの!?
都居くんと同じ様に髪を撫でたら良いのだろうかと伸ばしかけた手は直前で止まる。
「もっと……俺に心を開いて?山川、俺に苦手意識持ってるでしょ?それを取っ払ってくれたら嬉しいなぁ」
ちょっと自嘲気味な笑顔がグサリと胸に突き刺さる。
「苦手意識だなんて……ここまでして貰って、もう無いよ!?」
「ふふ……やっぱり苦手だと思ってたんだ……」
しまった……墓穴を掘った。
「……ごめん」
都居くんはここまで俺の為にいろいろ気遣ってくれてるのに、人となりも知らずに遠くから見てただけの印象と噂話で分かり合えない人だと思い込んでいた。
「知ってた。だからどう声を掛けるか迷ってたんだもん」
「え……?」
起き上がった都居くんの手が頬に触れて顔が近づいてくる……都居くんが自然に人との距離感が近い人だと分かっても……これは近過ぎないか?
触れ合うような距離に思わずギュッと目を瞑った俺の耳元にクスクス笑う都居くんの声。
「お風呂行ってくる。先に寝てても良いよ」
か……からかわれた!?
良い人、良い人だけど心に良くない人!!
都居くんがお風呂に消えた後、急いで部屋に籠って鞄から1冊の本を取り出した。
心を落ち着けるにはこれだ。
帰る家が出来た事で心に余裕が出来てしまい、バイトあがりに買った『料理の国の王子様』の絵本。
少しずつ1巻から揃えていこうと思って購入したのは『オムレツ』。
王子様が不思議な国に迷いこみ島を失った男の子にオムレツで島を作って上げようと奮闘する話。
最後に出来上がったオムレツが朝、都居くんが作ってくれたオムレツみたいで……つい。
柔らかなタッチの絵にいつもなら心が和むこと請け合い……なのに。
王子様がもう都居くんにしか見えなくなってしまって、逆に落ち着けなくなってしまった。
こんなんで同居を続けられるのかなぁ?
溜め息と共に本を閉じた。
お風呂から上がってリビングを覗くと……いけないものを見てしまったかもしれない。
都居くんがタヌキの置き物に……キスしている。
「洗濯?置いといてくれたら後で一緒に洗っちゃうから良いよ?」
置き物を戻して何もなかったかの様に、にこやかに笑う。
「いや……それは……」
「一緒に洗っちゃった方が経済的でしょ?」
都居くんにはまだ一度も勝ててない。
「えっと……お願いします」
イケメンなのに置き物にキスするとは……都居くんそんなにタヌキが好きだったのか。
今度お礼にタヌキの何かを買ってこよう。
昨日の分と今日の分を洗濯機に入れてリビングに戻ると、今度は長い足を寛がせて都居くんがソファーに横になってクッションを抱いている。
抱きしめた時に匂いにドキドキしてしまったクッションだ。匂いは気のせいじゃなかったんだな。
ソファーで寛いでいるだけで絵になるって何処までイケメンだ。
「もう山川の家でもあるんだから、何でも好きな様に使って?遠慮なんて要らないし」
俺に気づくとニコッと微笑む……眩しいから不用意に微笑まないで欲しい。
「ありがと……あ!!お金おろして来たんだった!!」
鞄から封筒を取り出すと7枚数えてテーブルに並べた。
「何で7万円?」
「食事……作って貰ったし、下着とパジャマとか、諸々……ごめん。全然足りないよね……」
今日おろしてきた封筒の中身を見る……あと3枚。これが無くなると心細いなぁ……。
「大変な時期でしょ?余裕が出来たときに頂戴。今は素直に好意に甘えておいた方が可愛いよ?」
可愛さなんて別に要らないけど……封筒に1枚返されて……余裕が無いのは事実なのでありがたくお言葉に甘えておこう。
体を起こした都居くんがソファーに座れと言うように空いてる場所を叩く。
促されるように腰をおろすと膝の上に都居くんの頭が!?これは……膝枕と言うやつじゃないか!?
「とっ……都居くん!?何!?」
動揺に声が震えてしまう。
「どうしても甘えるだけが気になるなら……甘えさせて?」
見上げてくる目が甘い!!
手が伸びてきて……髪を撫でていく。
何!?この甘い空気!!
甘えさせてって……何をどう甘やかしたら良いの!?
都居くんと同じ様に髪を撫でたら良いのだろうかと伸ばしかけた手は直前で止まる。
「もっと……俺に心を開いて?山川、俺に苦手意識持ってるでしょ?それを取っ払ってくれたら嬉しいなぁ」
ちょっと自嘲気味な笑顔がグサリと胸に突き刺さる。
「苦手意識だなんて……ここまでして貰って、もう無いよ!?」
「ふふ……やっぱり苦手だと思ってたんだ……」
しまった……墓穴を掘った。
「……ごめん」
都居くんはここまで俺の為にいろいろ気遣ってくれてるのに、人となりも知らずに遠くから見てただけの印象と噂話で分かり合えない人だと思い込んでいた。
「知ってた。だからどう声を掛けるか迷ってたんだもん」
「え……?」
起き上がった都居くんの手が頬に触れて顔が近づいてくる……都居くんが自然に人との距離感が近い人だと分かっても……これは近過ぎないか?
触れ合うような距離に思わずギュッと目を瞑った俺の耳元にクスクス笑う都居くんの声。
「お風呂行ってくる。先に寝てても良いよ」
か……からかわれた!?
良い人、良い人だけど心に良くない人!!
都居くんがお風呂に消えた後、急いで部屋に籠って鞄から1冊の本を取り出した。
心を落ち着けるにはこれだ。
帰る家が出来た事で心に余裕が出来てしまい、バイトあがりに買った『料理の国の王子様』の絵本。
少しずつ1巻から揃えていこうと思って購入したのは『オムレツ』。
王子様が不思議な国に迷いこみ島を失った男の子にオムレツで島を作って上げようと奮闘する話。
最後に出来上がったオムレツが朝、都居くんが作ってくれたオムレツみたいで……つい。
柔らかなタッチの絵にいつもなら心が和むこと請け合い……なのに。
王子様がもう都居くんにしか見えなくなってしまって、逆に落ち着けなくなってしまった。
こんなんで同居を続けられるのかなぁ?
溜め息と共に本を閉じた。
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