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迷子の子犬?
拾われました 1
しおりを挟むふと、目が覚めて見上げた天井は、見慣れない模様だった。
寝ぼけた頭では瞬時に自分がどこにいるかわからないかったけど、ぐるっと見回した、これまた知らない部屋に自分が今どういう状況だったのかを思い出した。
全部捨てよう、と思ったのはいいけど、何をどう捨てたらいいのかもわからなくて、とりあえずふらふらと歩いていた。
あてもなく歩いていたけど、次第に疲れて公園のベンチに座った。
ぼーっと見上げた空からは、白く綺麗なものが舞い降りてきて、それが体に降り注いだ。
いっそのこと、この白に塗れてしまえば何か変わるかなと思い、払うこともしなかった。
そのうち、体の先から冷たくなってきて、膝を抱えてうつむいた。
痛いのは嫌だけど、このまま体が冷えて動かなくなったら、全部終わる・・・。
そう思ったときに、急に体の一部が暖かくなった。
もふ、という感触に視線を向けるとすごく大きな犬が体を密着させて寄り添い、こちらを見ていた。
「・・・・ひとり?」
ふと、そんなことを聞いてみたが、そのきれいな毛並みからも、首に巻かれている首輪からも野良でないことは一目瞭然。
それにどこからか遠くで何かを呼ぶ声が聞こえている。
「呼んでるよ?君の事でしょ?」
聞こえてないはずはないのに、その犬はそちらに行こうとはせずさらに体をすり寄らせてきた。
冷たいだけの体が、一部だけ暖かい。
「あ、いたい・・・た?あれ?」
飼い犬を見つけたと同時に私のも気づいたみたい。
でも、それがなに。
この犬にさえ、居なくなったら探しに来てくれる家族がいるのに、私にはない。
「大丈夫?具合悪い?」
早くどこか行って。
放っておいて。
何か話しかけられているけど、そんなことはどうでもいい。
他人なんて、しょせんどうでもいいいんだから、と思った瞬間、ふわりと体が浮いた。
「・・・・っ???」
「とりあえず、俺の家に行こう。このままじゃ雪に埋もれちゃうよ」
いや、どちらかというとこのまま埋もれる予定だったんだけど・・、なんて言えるはずもなく。
気づけば、その人の着ていた大きなコートに包まれて公園を後にしていた。
連れてこられたのは公園からほど近いところにある高層マンション。
その人の部屋だと思うところにつくと、降ろされたのは浴室の横にある脱衣所。
「ちゃんと温まってね」
そういってその人は出て行った。
ぼんやりと扉をしばらく見つめてから、冷えて動かしづらい指をなんとか動かして服を脱ぎ、浴室へと入る。
たっぷり溜まったお湯に体を鎮めると、冷え切った手足が急に温められてじんじんと痛む。
それも収まったころ、ようやく自分のこの状況について考えることができた。
あの人はなんで私なんか連れてきたんだろう。
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