パソニフィ・コンフュージョン

沼蛙 ぽッチ & デブニ

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第37話 修学旅行の始まり

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修学旅行の集合場所、学校のグラウンド。
空港まで走るバスに、乗り込むまでの時間。
クラスごとに並んで、生徒たちはガヤガヤとはしゃいでいた。

人気者のミトもいつも通り、クラスメートに取り囲こまれていて談笑していた。
「ミトちゃん、その服どしたの?凄く似合ってるし!」
「本当だ、ロックテイスト好きだったの知らなかった!」
「うん。最近好きになったばっかり!」
そう言った後、ミトはチラチラとグラウンドの何処かに視線を向けていた。

そんな中、私はあるクラスメートに声をかけていた。
「望月さん、あのーその……一緒にまわりませんか?修学旅行。」
「えっ、林さん?……私でよければいいけど……」
彼女はミトを取り囲む人たちの一人なのだが、ちょうど一人になったタイミングに声をかけてみた。
仲良くなろうと特定の子に声を掛けたことなんてなかった私は、拒絶されなかったことにホッとした。

私は最近、何故かアキヨシさんとメッセージをやり取りする事が日常化していた。
擬人化や妖精さんに関することを相談出来る人が周りにこの人しか居ないから……

「思ったんだけどー。君って擬人化の子しか友だちいないよね。友だち少ないプッフー。」
(大人げない!凄くすごーくムカつく。自分だって友だちいないくせに!)
このメッセージを見たとき、無意識に地団駄を踏んでしまっていて、周りの視線を感じて恥ずかしい思いをしたのだった。

「視野を広く持つために、通常生徒の子とも友だちになってみたら?」
そんなこと言われたって、今更友だちになりたい人なんていません!とか思いましたが……アキヨシさんのその言葉を無視出来ませんでした。
(擬人化の方たちと私ってもしかして常識が違ったりするのでしょうか……)

望月さんは、ミトを除くとクラスで唯一妖精さんに声をかけたことのある方でした。
「こっち来て一緒に話さない?いつも教室眺めてるからさ。」
「…こういう有象無象な感じの空間に居るのって落ち着くなって思って。…だけど、1人で居るのが好き…。」
と、誘いを断られてはいましたが、私にとって彼女は妖精さんと接点のある貴重な存在でした。
だからこの子と仲良くなって、アキヨシさん意外に妖精さんとの事を話せる人が出来たらいいな……なんて思わなくもなかったのです。
(友だち作りなんて、私らしくないのに……)

全生徒揃ったらしく、先生の指示のもとクラス順にバスに乗り込んでいきました。
私も、望月さんの隣のシートに座って会話をするのでした。
「林さんが私に話しかけるなんて思ってもなくってびっくりだよ!林さんって人気者だからさ。」
「人気なんてないですよ?影できっとクソ眼鏡呼ばわりされてる筈です。」
「えーなにそれ。林さんって意外と冗談言う人だったんだね!」
彼女はとても気さくで、取っつきにくい私とは真逆で新鮮でした。

飛行機乗り込んだ後でも、彼女との会話は弾んでいました。
「林さんって今まで遠い存在だったから気がつかなかったけど、もしかして意外と人見知り?分け隔てなく話してるのは見かけるけど。」
「人見知り……そうなのかもしれません。だけど望月さんと話すのは意外と悪くありません。」
「本当!?嬉しー!だけど、何でまた私に話掛けてくれたの?意外過ぎだよー。」
「いつも一人でいる小池さんに声を掛けた人、初めて見たので……」
「小池さんって?……ああ、あの子病弱なんだよね。ほぼ学校休んでるし。林さん小池さんの事、心配してるの?」
「えっと……?」
確かに休み時間は、何処かへふらふらと行ってしまう妖精さんですが、学校を休む事なんてあんまりなかったと思いますけど……

望月さんとの認識が違っていることを疑問に思っていた時、ミトが声を掛けてきた。
「なぁ、林。小池と一緒じゃないの?」
「一緒?……妖精さん!!」
何で私、妖精さんの存在を忘れてしまっていたのでしょう!!
頭では彼女の事ばかり考えていたのに、現実で側に居ないことに気がつかなかったなんて……自分自身が信じられません!

飛行機は、シートベルトを外しても良い段階まで飛び立っていた。
それと同時に、妖精さんの記憶までも遠くなってしまう様な嫌な感じがした─

ミトと共に、担任の先生の処へ向かった。
「小池さんは、何処にいますか?」
「小池さんなら、保護者の方が昨日、体調の関係で行けなくなったとご連絡頂きました。」

「私のせいだ……」
「どういう事です!?」
私は思わずミトに詰めよっていました。
彼女は、修学旅行前に妖精さんと遊んだせいで、体調崩したのかもしれないと心配していた。
担任の先生は、私たちが険悪になった雰囲気に、「体した事はないみたいですよ。」と付け加えた。
「妖精さん、其れならなぜ私たちに連絡をくれなかったのでしょう……」
(一緒の班になろうねって、約束したじゃないですか……)

兎に角、私達は彼女の保護者であるアキヨシさんに確認をとる事にしたのだった。


その頃、小池はどこか分からない部屋に来ていた。
突然、持っていた自身のカバンを逆さまにされた。
目の前をバサバサと床に落とされていく物が、まるでスローモーションになったかの様に見えた。

そんな粗暴な振る舞いをした人物は、その散らばった物の中からひとつ拾い上げた。
「これ、何?」
「オコメさんが防犯用って、くれたやつ。」
「ふーん。ちょうどいいね……」
目の前のバチバチと火花の散る、手に持たれたスタンガンに釘付けになった。

「……ハズキ、顔色悪いよ?」
「大丈夫。君とこれから一緒に居られるからむしろ絶好調だよ?」

(ミトさん、林さん。約束守れなくなって、ごめんなさい……)
皆が居ない3日間、私はハズキに監禁される事にした─
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