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王都にて 陛下と王子
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大きな白い馬車とそれに取り巻く者たちがなにやらけたたましく城に入ってきた。それは隣国に行っていたモグリベル国王の一団だった。白い光沢のする豪華絢爛の馬車から国王と王妃が降りて来た。
「父上、お早いお帰りですね。予定ではあと2日は外交があるとの事で隣国に滞在するのではなかったのですか?」
「ああ、ユリウス。わしが居なかった間、ご苦労だった。後で私の部屋にくるように。わしの居なかった間の報告を聞こう」
「父上、お疲れのようですし、報告はまた明日でもよろしいのでは」
「いや、すぐに聞いておきたい事もあるのでな。お前も重大な報告があるのであろう」
「わ、わかりました」
ユリウスはもうすでになにがあったのかを父に知られていると分かった。しかし男爵の娘の婚約破棄など、なんて事はないはずだ。そう思っていた。
「父上、参上致しました。母上もご機嫌麗しく…」
「ええ、ユリウスも」
ユリウスの母は大変美しくユリウスと似ていた。ユリウスが美男子なのは母譲りのようだ。
「それでは父上、この4日間陛下が隣国に行っていた間の報告をさせて頂きます」
「聞かせてもらおう」
「はい、国内ではなんの問題はありませんでした。皆きちんと働き業務も滞りなく進行しております」
にこりと報告するユリウス、いつもの笑顔だ。
「うむ…」
「それはひとえに陛下が築き上げた実績のおかげに他なりません」
おべっかも忘れない。
「…ただ私の個人的な件で報告があります。実はカビラ男爵の令嬢アリアナと婚約破棄を致しました。またシンフォニーと婚約致したいと思います。どうかシンフォニーとの結婚をお許しください」
ユリウスはにこやかに両親に説明をする。父や母が自分に甘くいつも我儘を効いてくれると分かっている。シンフォニーの件も許してくれた。今回も呆れられてしまうかもしれないが、許してくれるだろうと思っていた。実際、アリアナと結婚はすんなりと受け入れ喜んでくれた。今回も元に戻っただけなので喜んでくれるに違いないと疑わなかった。
「なぜだ?」
「え?」
「なぜだと聞いている」
「婚約破棄の理由ですか?実はアリアナは魅了を使って私にアプローチをしてきたのです」
「ほう…」
「ええ、王族に対して魅了を使うなんて犯罪行為でしょう。私は目が覚めたのです。一種の催眠状態だったのでは?という者もいます」
「誰がそんな事を?」
「シンフォニーです。彼女は何度も私の所へ通い魅了を説いてくれたのです」
「シンフォニーが?なんと言って?」
「彼女は魅了を使って私が恋に落ちたかのように錯覚をさせていたと、次期国王という地位のみに興味を持ち、私にはなんの興味もないと、正式に婚約をした翌日からほとんど会う事がありませんでしたからね。それが証拠だとシンフォニーは言いました。次期国王のあなたしか見ていないバカな女なのだと言いました。私は確かにその通りだと思ったのです。」
ユリウスはあんな女捨ててやりました、と自身満々に言った。
「ユリウス…」
母は憂えていた。
「母上、申し訳ございません」
「ユリウス、アリアナがあなたに会う事が減っていたのは色々なセレモニーの事やマナーなど身に着けさせようとしていたからです」
「え?しかし、母上…」
「シンフォニーもそれは分かっていた事でしょうね」
「しかし、大変だからといって私との約束を守らなかったりと…」
「そうさせたのは王室ですよ」
「しかし…」
「ユリウス、アリアナを追放したらしいな」
普段温厚な王と妃だったが、さすがに今の状況では厳しくせざるを得なかった。
「そのとおりです、父上。処刑されても仕方がない状況でした。しかし優しいシンフォニーは、処刑はさすがにと言うもので追放だけで許したのです。あっ家族も捉えてありますよ」
安心してくださいと言わんばかりの言い草だ。
「なぜ勝手な事をした?」
「え?」
「私がいない間はお前が最高権力者ではあるが、こんな大事な事をなぜたった数日待てなかったのだ。それにお前は魅了と言っているがなにか証拠でもあるのか?魅了などそんな能力を持っているものは過去に何人いたと思う」
「いえ、なにか魅了の魔術具を使ったのだと思いますよ。一種の催眠のような」
「そんな魔術具なんぞ聞いた事がない。それに催眠と魅了はまったく違う。そもそも魅了の仕組みも分かっていないのだぞ」
「きっとまがい物で作られた偽物だと思います」
「なに?偽物なら魅了かどうか判断出来ないではないか!そもそもお前がアリアナに勝手にのぼせ上っていたではないか。スケジュールを無理やり開けさせ謁見させたのはお前ではないか!」
「あ…そ、それは…」
「それに魅了にかかれば本人の意思はなくなる。正常には保てないと聞いている。お前がそうなった事などなかった」
「父上…」
「お前はなぜそう勝手な事をするのだ。シンフォニーの婚約破棄だってそうだ。皆が見ている前で派手に婚約破棄を言い渡し、今回はアリアナか!」
ユリウスはオロオロとした。こんなに怒るとは思わなかったのだ。
「シンフォニーには悪いことをしたと思っていた。親達だって恥をかかされたのだ。長い間、婚約者として縛り結婚前に婚約破棄されたのだからな。内密に事を運んでいたらシンフォニーも傷ものとして扱われる事はなかったであろう。そのこともありあの件でどれだけの金が動いたと思っているのだ!」
「…申し訳ございません」
「クローリー家には過ぎるほどの賠償金を払った。シンフォニーにはこの国に居てもつらいだろうからと隣国の第二王子との見合いを取り付けた。あちらも婚約者を病で亡くされて、花嫁を探していた所だった」
「…」
「息子の尻拭いは親の務めだが、お前は自分の立場を分かっているのか…アリアナを婚約破棄して追放しただと?」
「は、はい」
「いつだ…?」
「2日ほど前になります…」
「連れ戻せ…」
「え…」
「連れ戻せと言っている。2度も婚約破棄などそんな勝手な事許されるはずがないだろう!」
「しかし…」
「アリアナを連れ戻して結婚してもらう。アリアナが戻らない場合はお前もシンフォニーもただで済むと思わない事だ!」
「父上…そんな…」
ユリウスは至急アリアナの捜索を開始する。
「父上、お早いお帰りですね。予定ではあと2日は外交があるとの事で隣国に滞在するのではなかったのですか?」
「ああ、ユリウス。わしが居なかった間、ご苦労だった。後で私の部屋にくるように。わしの居なかった間の報告を聞こう」
「父上、お疲れのようですし、報告はまた明日でもよろしいのでは」
「いや、すぐに聞いておきたい事もあるのでな。お前も重大な報告があるのであろう」
「わ、わかりました」
ユリウスはもうすでになにがあったのかを父に知られていると分かった。しかし男爵の娘の婚約破棄など、なんて事はないはずだ。そう思っていた。
「父上、参上致しました。母上もご機嫌麗しく…」
「ええ、ユリウスも」
ユリウスの母は大変美しくユリウスと似ていた。ユリウスが美男子なのは母譲りのようだ。
「それでは父上、この4日間陛下が隣国に行っていた間の報告をさせて頂きます」
「聞かせてもらおう」
「はい、国内ではなんの問題はありませんでした。皆きちんと働き業務も滞りなく進行しております」
にこりと報告するユリウス、いつもの笑顔だ。
「うむ…」
「それはひとえに陛下が築き上げた実績のおかげに他なりません」
おべっかも忘れない。
「…ただ私の個人的な件で報告があります。実はカビラ男爵の令嬢アリアナと婚約破棄を致しました。またシンフォニーと婚約致したいと思います。どうかシンフォニーとの結婚をお許しください」
ユリウスはにこやかに両親に説明をする。父や母が自分に甘くいつも我儘を効いてくれると分かっている。シンフォニーの件も許してくれた。今回も呆れられてしまうかもしれないが、許してくれるだろうと思っていた。実際、アリアナと結婚はすんなりと受け入れ喜んでくれた。今回も元に戻っただけなので喜んでくれるに違いないと疑わなかった。
「なぜだ?」
「え?」
「なぜだと聞いている」
「婚約破棄の理由ですか?実はアリアナは魅了を使って私にアプローチをしてきたのです」
「ほう…」
「ええ、王族に対して魅了を使うなんて犯罪行為でしょう。私は目が覚めたのです。一種の催眠状態だったのでは?という者もいます」
「誰がそんな事を?」
「シンフォニーです。彼女は何度も私の所へ通い魅了を説いてくれたのです」
「シンフォニーが?なんと言って?」
「彼女は魅了を使って私が恋に落ちたかのように錯覚をさせていたと、次期国王という地位のみに興味を持ち、私にはなんの興味もないと、正式に婚約をした翌日からほとんど会う事がありませんでしたからね。それが証拠だとシンフォニーは言いました。次期国王のあなたしか見ていないバカな女なのだと言いました。私は確かにその通りだと思ったのです。」
ユリウスはあんな女捨ててやりました、と自身満々に言った。
「ユリウス…」
母は憂えていた。
「母上、申し訳ございません」
「ユリウス、アリアナがあなたに会う事が減っていたのは色々なセレモニーの事やマナーなど身に着けさせようとしていたからです」
「え?しかし、母上…」
「シンフォニーもそれは分かっていた事でしょうね」
「しかし、大変だからといって私との約束を守らなかったりと…」
「そうさせたのは王室ですよ」
「しかし…」
「ユリウス、アリアナを追放したらしいな」
普段温厚な王と妃だったが、さすがに今の状況では厳しくせざるを得なかった。
「そのとおりです、父上。処刑されても仕方がない状況でした。しかし優しいシンフォニーは、処刑はさすがにと言うもので追放だけで許したのです。あっ家族も捉えてありますよ」
安心してくださいと言わんばかりの言い草だ。
「なぜ勝手な事をした?」
「え?」
「私がいない間はお前が最高権力者ではあるが、こんな大事な事をなぜたった数日待てなかったのだ。それにお前は魅了と言っているがなにか証拠でもあるのか?魅了などそんな能力を持っているものは過去に何人いたと思う」
「いえ、なにか魅了の魔術具を使ったのだと思いますよ。一種の催眠のような」
「そんな魔術具なんぞ聞いた事がない。それに催眠と魅了はまったく違う。そもそも魅了の仕組みも分かっていないのだぞ」
「きっとまがい物で作られた偽物だと思います」
「なに?偽物なら魅了かどうか判断出来ないではないか!そもそもお前がアリアナに勝手にのぼせ上っていたではないか。スケジュールを無理やり開けさせ謁見させたのはお前ではないか!」
「あ…そ、それは…」
「それに魅了にかかれば本人の意思はなくなる。正常には保てないと聞いている。お前がそうなった事などなかった」
「父上…」
「お前はなぜそう勝手な事をするのだ。シンフォニーの婚約破棄だってそうだ。皆が見ている前で派手に婚約破棄を言い渡し、今回はアリアナか!」
ユリウスはオロオロとした。こんなに怒るとは思わなかったのだ。
「シンフォニーには悪いことをしたと思っていた。親達だって恥をかかされたのだ。長い間、婚約者として縛り結婚前に婚約破棄されたのだからな。内密に事を運んでいたらシンフォニーも傷ものとして扱われる事はなかったであろう。そのこともありあの件でどれだけの金が動いたと思っているのだ!」
「…申し訳ございません」
「クローリー家には過ぎるほどの賠償金を払った。シンフォニーにはこの国に居てもつらいだろうからと隣国の第二王子との見合いを取り付けた。あちらも婚約者を病で亡くされて、花嫁を探していた所だった」
「…」
「息子の尻拭いは親の務めだが、お前は自分の立場を分かっているのか…アリアナを婚約破棄して追放しただと?」
「は、はい」
「いつだ…?」
「2日ほど前になります…」
「連れ戻せ…」
「え…」
「連れ戻せと言っている。2度も婚約破棄などそんな勝手な事許されるはずがないだろう!」
「しかし…」
「アリアナを連れ戻して結婚してもらう。アリアナが戻らない場合はお前もシンフォニーもただで済むと思わない事だ!」
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ユリウスは至急アリアナの捜索を開始する。
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