28 / 139
22.
しおりを挟む
勉強会の内容は小学校の1・2年生がするような足し算引き算が主で、最後の難問が掛け算か割り算のどちらかが必ず出るからどちらもしっかり理解しておく必要があると講師が言っていた。
あとは文字の問題だ。文字が読めないと何を取引しているのかわからないからだ。
商人ギルドで働いている親がいるヨモの家庭環境では、高い金を払って子供に学校に通わせることが出来るが当然みんながみんな学校に行けるとは限らない。学校に行っていない平民達は一攫千金を夢見て冒険者になるか安い賃金で重労働をするしかないのだ。親が職人であれば後を継いで職人になったりもするが、違う職種に飛び込むのはなかなか難しいようだ。
一応、アリアナは貴族であるからこのくらいの勉強はしていた、とは言えない。家や学園の勉強といえば貴族たるや、こんな言い回しや所作、階級、王族に纏わる家族構成などの事が主だった。今になって思えば無駄だった。算数の勉強は中等部に入ってやっと少し勉強し出したのではなかったか。
アリアナことリアのヴァイには商人の印が印字された。これで魔の森で手に入れた素材を売る事が出来る。リアはやっと商人ギルドの一番活気が溢れている場所に足を踏み入れる権利を得た。
リアは合格した次の日に早速、素材を持って商人ギルドにやって来た。
「こんにちは、今日はどのようなご用件ですか?」
「素材を売りたいのですが」
リアはヴァイを受付の女性に見せた。
「確認しました。では5番の窓口にお並び下さい」
5番の窓口に行くとすでに30人は並んでいた。番号の紙を貰って順番が来るまで自由に過ごしていいというシステムはまだ無いようで只管、列に並んで待たなければならないようだ。1時間ほど待っていたらようやく順番が回ってきた。
「売る物は?」
と、素っ気なく聞かれた。リアは慌ててボロボロの麻袋から素材を取り出した。素材を取り出している最中、受付の男はいやな顔をしている。汚い麻袋から何が出てくるかわからないのだから当然ではある。
素材をカウンターに乗せて行く。素材は1匹分のローウルフの毛皮と牙だ。受付の男はびっくりしつつ、素材を確認している。
ローウルフの毛皮は寒い冬に備えたコートやローブになる。ローウルフの毛皮は寒さに強いうえに魔法の態勢も付いているので騎士や兵士の定番の冬の必需品になっていた。
牙は削れば体力回復のポーションの材料になるし、剣やナイフに装飾すれば魔法の抵抗も得られる万能素材なのだ。
「失礼ですが、あなたは最近商人になったばかりですか?」
ヴァイを確認しつつ、リアに質問をする。
「ええ、昨日試験を受けたばかりで初めて取引します」
「失礼だが、これはあなたが倒したわけではないですよね?」
「もちろんです。それは家の者が…その者はあまり人前に出てきたくないとかで私が売りに来たのです。でも売る所が商人ギルドか冒険者ギルドしかないって事でしたから、商人試験を受けました。これからも持ってきたいのですが…」
「ああ、もちろん。大歓迎ですよ。なるほど、お主人が腕のいい冒険者なのですね?あ、冒険者はない?」
「冒険者ではないです。冒険者はルールが厳しいようで断念しました」
「なるほど、確かに近年の冒険者は厳しくなっているんですよ。自由が売りの冒険者だったのですがね。それでも人気の職業ですから今は成り立ってますがこれから先はどうかなと…ああ、こちらの素材はもちろん買い取らせて貰いますよ。こちらでいいですか?」
受付の男は木箱に移る数字を提示した。
「この数字が取引金額ですか?」
何度見ても不思議でしょうがない。
「あはは、そうですよ。この魔術具すごいでしょう?この金額で良ければヴァイを通して貰って交渉成立です。ヴァイにこの金額が入っていますよ。ほら、ヴァイの裏に金額が表示されます」
ヴァイの裏を見てみると通帳のように先日交換した金額と今取引した金額とその合計が乗っていた。
「うわ、すごいですね」
「現れた裏の数字はすぐに消えて見えなくなります。まだ見たいときは指で触るとまた見られるようになりますから」
リアは指で裏を触ってみた。
「本当だ。また表示されました」
「便利ですよね。悪い人に見つからないようにあまり見せない方がいいですがね」
「あ、そうですね。ありがとうございます。また売りに来ます」
「お待ちしております。はい、次の方」
ローウルフの素材は全部で57,000ルーにもなった。冒険者ギルドで依頼を達成すればこの倍の金額になるようだが週2回も依頼を達成しなければならないのは結構しんどい。
ローウルフやシルバーウルフの素材は常に依頼されてはいるらしいので達成すれば儲かるのだが急かされるのは好きではない。リアは架空人物の代理人として商人ギルドで取引をする事にした。
あとは文字の問題だ。文字が読めないと何を取引しているのかわからないからだ。
商人ギルドで働いている親がいるヨモの家庭環境では、高い金を払って子供に学校に通わせることが出来るが当然みんながみんな学校に行けるとは限らない。学校に行っていない平民達は一攫千金を夢見て冒険者になるか安い賃金で重労働をするしかないのだ。親が職人であれば後を継いで職人になったりもするが、違う職種に飛び込むのはなかなか難しいようだ。
一応、アリアナは貴族であるからこのくらいの勉強はしていた、とは言えない。家や学園の勉強といえば貴族たるや、こんな言い回しや所作、階級、王族に纏わる家族構成などの事が主だった。今になって思えば無駄だった。算数の勉強は中等部に入ってやっと少し勉強し出したのではなかったか。
アリアナことリアのヴァイには商人の印が印字された。これで魔の森で手に入れた素材を売る事が出来る。リアはやっと商人ギルドの一番活気が溢れている場所に足を踏み入れる権利を得た。
リアは合格した次の日に早速、素材を持って商人ギルドにやって来た。
「こんにちは、今日はどのようなご用件ですか?」
「素材を売りたいのですが」
リアはヴァイを受付の女性に見せた。
「確認しました。では5番の窓口にお並び下さい」
5番の窓口に行くとすでに30人は並んでいた。番号の紙を貰って順番が来るまで自由に過ごしていいというシステムはまだ無いようで只管、列に並んで待たなければならないようだ。1時間ほど待っていたらようやく順番が回ってきた。
「売る物は?」
と、素っ気なく聞かれた。リアは慌ててボロボロの麻袋から素材を取り出した。素材を取り出している最中、受付の男はいやな顔をしている。汚い麻袋から何が出てくるかわからないのだから当然ではある。
素材をカウンターに乗せて行く。素材は1匹分のローウルフの毛皮と牙だ。受付の男はびっくりしつつ、素材を確認している。
ローウルフの毛皮は寒い冬に備えたコートやローブになる。ローウルフの毛皮は寒さに強いうえに魔法の態勢も付いているので騎士や兵士の定番の冬の必需品になっていた。
牙は削れば体力回復のポーションの材料になるし、剣やナイフに装飾すれば魔法の抵抗も得られる万能素材なのだ。
「失礼ですが、あなたは最近商人になったばかりですか?」
ヴァイを確認しつつ、リアに質問をする。
「ええ、昨日試験を受けたばかりで初めて取引します」
「失礼だが、これはあなたが倒したわけではないですよね?」
「もちろんです。それは家の者が…その者はあまり人前に出てきたくないとかで私が売りに来たのです。でも売る所が商人ギルドか冒険者ギルドしかないって事でしたから、商人試験を受けました。これからも持ってきたいのですが…」
「ああ、もちろん。大歓迎ですよ。なるほど、お主人が腕のいい冒険者なのですね?あ、冒険者はない?」
「冒険者ではないです。冒険者はルールが厳しいようで断念しました」
「なるほど、確かに近年の冒険者は厳しくなっているんですよ。自由が売りの冒険者だったのですがね。それでも人気の職業ですから今は成り立ってますがこれから先はどうかなと…ああ、こちらの素材はもちろん買い取らせて貰いますよ。こちらでいいですか?」
受付の男は木箱に移る数字を提示した。
「この数字が取引金額ですか?」
何度見ても不思議でしょうがない。
「あはは、そうですよ。この魔術具すごいでしょう?この金額で良ければヴァイを通して貰って交渉成立です。ヴァイにこの金額が入っていますよ。ほら、ヴァイの裏に金額が表示されます」
ヴァイの裏を見てみると通帳のように先日交換した金額と今取引した金額とその合計が乗っていた。
「うわ、すごいですね」
「現れた裏の数字はすぐに消えて見えなくなります。まだ見たいときは指で触るとまた見られるようになりますから」
リアは指で裏を触ってみた。
「本当だ。また表示されました」
「便利ですよね。悪い人に見つからないようにあまり見せない方がいいですがね」
「あ、そうですね。ありがとうございます。また売りに来ます」
「お待ちしております。はい、次の方」
ローウルフの素材は全部で57,000ルーにもなった。冒険者ギルドで依頼を達成すればこの倍の金額になるようだが週2回も依頼を達成しなければならないのは結構しんどい。
ローウルフやシルバーウルフの素材は常に依頼されてはいるらしいので達成すれば儲かるのだが急かされるのは好きではない。リアは架空人物の代理人として商人ギルドで取引をする事にした。
67
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
お言葉ですが今さらです
MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。
次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。
しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。
アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。
失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。
そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。
お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。
内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。
他社サイト様投稿済み。
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
【完結】婚約破棄はいいですよ?ただ…貴方達に言いたいことがある方々がおられるみたいなので、それをしっかり聞いて下さいね?
水江 蓮
ファンタジー
「ここまでの悪事を働いたアリア・ウィンター公爵令嬢との婚約を破棄し、国外追放とする!!」
ここは裁判所。
今日は沢山の傍聴人が来てくださってます。
さて、罪状について私は全く関係しておりませんが折角なのでしっかり話し合いしましょう?
私はここに裁かれる為に来た訳ではないのです。
本当に裁かれるべき人達?
試してお待ちください…。
生きるために逃げだした。幸せになりたい。
白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。
2020/9/19 第一章終了
続きが書け次第また連載再開します。
2021/2/14 第二章開幕
2021/2/28 完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる