もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

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32.

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 雪が降り始め長い冬が到来した。リアはシシリーに来て初めての冬の生活になる。ヨモとの生活は1日目は楽しかった。一緒に食事をして雑談をしてすぐにベッドで眠る事が出来きる。楽しい毎日が続くと信じていた。
 しかしヨモの家は寒かった。カビラ家でも学園でも家の中で寒さを感じる事はなかった。暖炉はあるが火は弱く燃料がない。燃料はとても高いのだ。ヨモはその寒さに慣れているのか家の中というのに厚着をしている。燃料は節約しながら使っているという感じだ。燃料をじゃんじゃん使うとヨモに怒られてしまう。
 ヨモとの共同生活は楽しそうだと思ったが失敗したかもしれない。ツリーハウスの中は温かい気がする。だってアルディはきっと寒さ対策をしていたに違いないからだ。
 資金はたくさんあるので余計に出すと言ってもヨモは「あ、お嬢の部分が出た出た。無駄使いはダメよ。節約男爵だったんでしょう?」などと言う。
 ツリーハウスに帰りたくなった。

 買った布団は薄くペラペラだった。リアも真似して厚着をして過ごす事にしたのだが動きづらい。ヨモは他にも母や姉のようにリアの生活に口を挟むようになった。
 まず、朝起きる時間が違うのだ。ヨモはあまり魔法円など使わずに家事を行う。節約のために今まではそうしてきたらしい。なので朝が早い。まず水は水道ではないので井戸から水を大釜に入れる事から始まる。そして火を起こすのだがそれを手作業でやろうとする。それを順番性でしようと提案してきた。
 火は兎も角、水に関してはヨモが仕事に出かけている時にリアが担当すると言っても魔法円を使う気でいる事がバレている。羊皮紙もインク代もただではないのだから使うのは控えるように言われたのだ。

 釈然としない。リアは自分で稼いだお金で使うと言っているのに、なぜそれをヨモに制止されなければならないのか。

 重たい水を窯に運ぶ、洗濯を手作業で行う。リアにとって初めての事ばかりだった。水を張る魔法円やクリーン魔法円だってあるのだ。それを使用するにもヨモの許可がいる。自分で作った魔法円ならいいかと思ったが「それじゃあリアの負担が増すだけだ」と言われてしまう。家事を行う方が負担だと言っても聞き入れて貰えない。
 洗濯を手作業で行う事も最初は自分の分だけを洗濯を行おうとしたら「リアったらそういうのは同居人の分も一緒にするものよ。相変わらず世間知らずね」と、叱られた。なぜ、生活費も折半なのに家政婦のような事をしなければならないのかとリアはさすがに納得出来なかった。

「ヨモ、シェアの意味分かっている?シェアは部屋だけ共有するものよ。洗濯や食材は別にしましょう。昼間は私が家にいるからって家事をすべて私が行うは負担しかないわ。しかも魔法円も使うなってひどいわよ」
「魔法円は安いと言っても毎日使えばそれなりにするのよ。どこの家庭も今日はクリーン魔法だけとか、そうやって節約しているのよ。食材を別々にするなんて無駄でしょう?リアは今まで貴族として生活してきているから庶民の生活を知らないのは分かっているけどこれから勉強しなくっちゃ」
「この寒い時期に誰も手洗いで洗濯なんてしてないわ。洗濯は個々でする。これは譲れない!」
「休みの日は私も洗濯はするわよ」
「それに昼間私が家にいたとしても遊んでいるわけではないわ。魔法円で生活をしようとして練習もしなくっちゃいけないのに1日洗濯で終わってしまうの」
「大げさよ。その内感がつかめるわ。それに魔法円だけで食べていけないでしょ?」
 ヨモはリアに素材の資金がある事を知らない。秋の果実を少し収穫したお金があると思っているくらいなので節約に力を入れているのだろう。ヨモの親切心なのだ。

 それについてはヨモにすべての事を話せないでいるリアにが悪い。リアはこっそりと自分で作成した魔法円で家事をしているのだが、もちろんバレる。そして同じ口論になってしまうのだ。 

 ヨモは商人ギルドにいつもの仕事に行っているが次の仕事に向けて動いている。冬の間に次の仕事に繋がる伝手を探しているようだ。

 リアと言えば、冬は籠って森のツリーハウスでアルディの本を読み明かそうとしていたが街にいる方が便利かと思ってヨモとシェアをする事にしたのだが、寒くて手が震えるので魔法円が上手く出来ない。家事をするばかりで街にいる事が苦痛になってきた。やはり仲が良くても一緒に暮らすと価値観がズレると難しいと知った。

「あら、どうしたの?」
 リアはヨモの職場に顔を出した。
「あ…ごめん、ヨモ。やっぱり私、冬はツリーハウスで過ごすことにするわ。本もツリーハウスにあるし、こっちだと私のする事がないのよね」
「冬の森は危険だって言ったでしょう?シルバーウルフがよく出るのよ。本なら近くに図書館があるわ。お金は少し掛かるけど、魔法円に使えるお金があるならそっちに使ったら?」
 ヨモは少し強い口調になり嫌味も混ざっていた。
「…本はツリーハウスにあるから、また春になったら戻るわ」
 リアはヨモの言葉を無視して伝える。

「森は危険だってば、ひとりじゃ危ないわ。私もツリーハウスに住んであげようか?」
「…ごめん、それは…私の家ではないから勝手な事は出来ないよ。とにかく春になったら連絡するわ。心配はいらないから、私も大人だから」
 もごもごと言う。

「待って、私もツリーハウスに…」
 食い下がるヨモにリアは等々口にする。
「ヨモ、ごめん。やっぱり一緒に暮らすのはやめた方がよかったかも…」
「やっぱり、リアは我儘お嬢ね…平民暮らしは耐えられなかった事ね」
「…ヨモが私の心配をしてくれているのは分かっているけど、私は私の生活のリズムがあるからヨモの生活に当て嵌められるは苦痛よ。それに私は常に家にいるのに燃料を使わせて貰えないのは辛いわ。私は落ち着いて勉強したいの。勿体ないと言われても困る。色々して貰ったのにごめんね」

 ヨモはそれ以上反論はしなかった。リアが去るのを哀しそうな顔で見送った。
 
 ヨモは夫の死を受け入れる変わりにリアに依存した。リアを心配し、世話を焼く事で自分の価値を見出したようだった。しかし、リアには迷惑な話だ。リアは共同生活を望んだだけで保護者を望んだ訳ではなかったのだから。
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