もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

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第78話

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「いい薬草だな。まるでたった今採取して来たようだ」
「…ありがとうございます」
 職員は大きなガタイで髭を蓄えているような強面だった。その強面の職員がいきなり笑い出した。
「わはは、あんた、いい時空間バックを持っているんだな」
「えっ!」
「いや、気にするな。隠しているようだが、それはここの特産品なんだよ。そんなにコソコソしなくてもこの街の住民は持っている人も多い」
「そうなの?でも高級な品物でしょう?王都では王族くらいしか持ってないわ」
「あんたはどうやって手に入れたんだい?」
「これは親類に渡されたものなんだけど時空間バックなんて聞かされてなかったわ。だからこんなもの持っていると大変な事になるかもって…」
「そうか、でもここでは大丈夫。この街では当たり前だから、シシリアにはまだあまりないだろうな」
 職員はなぜか勝ち誇ったような言い方をしている。
「いつまでいるんだ?いつか王都に帰るのか?」
「ええ、まぁ…」
「そうか、楽しんで行ってくれ」
 清算が終わると早々に話を終わらせてしまった。


 やはり、外の人間には簡単に情報は漏らさないだろうと考えた。しかし時空間バックをいとも簡単に見抜いたし、しかも特産品と言っていた。隠しておきたいのではないのか。
 リアはしばらくコスモポリタンに通う事にした。薬草や素材を少しずつ増やして同じ職員に清算してもらった。顔見知りになりたかったのだ。

 その職員はモズと言った。モズは年齢からするとショーンと同じくらいだろうと思う。ブラウンの髪に緑の瞳を持ち、顔が埋もれるほどの立派な髭が蓄えられている。モズは強面でもあって、背も高く大柄で威圧感もあるが懐に入ると気さくでいい人だった。何度か清算に訪れるとモズの方から声を掛けられるようになった。

「リアか、こっちだ」
「おはよう。今日は人が多いのね」
「ああ、王都から職員が来ている」
「王都から?」
「ああ、何でも独立宣言で兵士が必要らしい。戦争になるかもとか言っているからな。若い戦力になりそうな男を収集したがっている」
「モズは大丈夫なの?」
「俺は土属性だからな。壁くらいしか作れないだろう。そんなの王都には腐るほどいる」
「そっかぁ」
 リアはショーンに聞いてたのである程度は知っている。ショーンもリアがコスモポリタンにいるので安心していた。
「リアはいつまでこっちにいるんだ?」
「んー、最初は用事で来たんだけど、今は王都が落ち着くまでこっちにいるように言われている」
「ああ、親が逃がしたのか。そうだろうな、戦争にでもなれば若い女も何されるかわかったもんじゃないからな。最近では移住者が多いそうだ。門の外に溜まっている」
「私も知り合いの森の住人宅に居候させて貰っているんだけどこっちで部屋とか借りられるのかな?」
「いや、申し訳ないが、外のモンに部屋を貸すにはそれなりの条件があるんだ。だから森にたくさんの住民がいるんだ」
「そうなんだ」
「ああ、コスモポリタンは内向的だ。外のモンに簡単に入られたくないんだよ。まずコスモポリタンの住民になるためには森の生活を少なくとも5年は過ごさないと住民にはなれない。もちろん、冒険者や商人になってこの街での貢献ありきだ。そして住民になる権利が発生するがその時に金貨100枚は掛かる」
「そんなに!」
「ああ、貴族は別の窓口があってその窓口も狭き門だな。貴族は1000枚とか言われる」
「じゃあ、ムリね」
「まぁ若い女や男は嫁や婿に入れば無料だぞ。あーはっはっは」
「相手がいないわよ」
「俺なんかどうだ?ひっひっひ」
「モズは独身なの?っていうかいくつなの?」
「俺か、俺は独身だ。まだ25だぞ?」
「え?そんなに若かったの?」
「…いくつに見えてたんだ…」
「んー30代後半」
「はあ、ひでぇな」
 思いのほか凹んでいる。
 
 リアは慌てて言った。
「そのボウボウの髭のせいだと思うわ」
「ちっ、髭は男の勲章だ!」
「何それ…」
「ぐっ」
「うふふ、そうね、よく見ると若いかも…髭が無くなったら清潔感が出てモテると思うけどな。でも勲章だもんね。仕方ないね。そのままでいいと思うよ」
「…」

 リアはこの数週間は冒険者ギルドに出入りをしていた。モズ以外にも知り合いが出き、楽しくしていた。黒のショールのおかげで地味なリアは変な男からも絡まれずに済んでいる。ただ時空間の虫の情報がない。アルディのメモにも虫しか乗ってないのだ。コスモポリタンの小さな図書館にもその手の話の本もなかった。
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