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第3章
冬のシーズン
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「ねぇリエ、あの2人はなんなの?」
キキは仲がいいようにしか見えない公爵様と元冒険者の取り合わせに納得がいかない。
「…分からないわ。ずっと前からの知り合いのようだし。私の姉がバル様に捜させてその時に知り合ったそうなの。私たち夫婦とリリスを引き合わせてくれたのもバル様だった。でもリリスは自分を捜しているとわかっていたけれど何年かは隠していたそうよ。その時は怪しい金持ちだと思っていたみたい」
「リリスらしいわね。イージュレンに居た時のあの子はなぜかずっと一人だったし仲良くしている人もいたみたいだけど、なんか距離を取っていたわ。とにかく子供っぽくなかったわね。みんな成人してるって思っていたし」
「そう…ねぇキキこれからの毎週末はうちの邸で夕食を一緒にしない?忙しくない時でいいから。リリスの話が聞きたいわ。リリスは大まかな話はしてくれるけど、やっぱり自分の事となるとあまり話さないのよね。どんなことでもいいわ。リリスの話を聞かせて!」
「ああ、キキ殿!ぜひ!」
「ありがとう。嬉しいわ、私も一人だしお邪魔でないなら伺わせもらうわ」
それから毎週末にはキキが夕食に来るようになった。リリスはキキを姉のように慕っていたので嬉しかった。
「なんで姉なのよ。リエより10以上も年上よ!」
「だから歳は関係ないってば」
もうキキも一緒に住めばいいのにと思うリリスであった。
冬のシーズンにもなり、下級貴族とは言え元王族の娘ということもありパーティや夜会などのお誘いが増えた。もちろん窓口はドリフェスなのでリリスの耳には入らない。2級の試験にはまだ余裕があったのでリリスは、約束通り3人を邸に招待をした。そして、マナやハズの家にご招待を受けたりしていた。
マナの家は商人の家系で家族で商売をしている。それなりのお金持ちのようだ。実家は王都の田舎の方にあるようで、今はおばの家からアカデミーに通っているらしい。ハズの父は王都の商人ギルドに勤めている。イメージはなんとなくお役人さんだ。
「リリス」も冬用にメニューチェンジする。リリスが色々なグルメのアイデアを口にすることはない。リリスがしなくても「リリス」の腕のいい料理人が美味しいメニュー考案してくれる。たまにリクエストをしているぐらいだ。
リリスは「リリス」に入り浸るもセリアも一緒なので下級貴族どころか中級・上級貴族からも話掛けられない。そういう時はとても助かる。錬金術アカデミーの講堂もざっくりと一般人と貴族で分けられていたが、それは最初だけであとは好きな教授の講義に参加している。
そして構内では、いつも一緒にいるリリスたちは、カップリングが成立しているとも思われていた。リリスとセリア、マナとハズだ。セリア以外の家に行き来しているので尚更だろう。面倒くさいので否定も肯定もしない。
たまに他の女子から「王子様なんて夢物語よ。素敵ね~」などと言われるが、なにが素敵なのか分からないが王族の割にはいい奴ではある。
「リリス、マナ、ハズ、今度2級の試験が終わったら夕食に招待をしたいんだが」
リリス、マナ、ハズは動きを止める。
「それってお城…?」
「ああ、ぜひ父と兄が会って話がしたいと言っているんだ」
「それって謁見っていうの?」
「いやいや、違うよ。ただの夕食会。みんなも普通に俺を招待してくれただろう。嬉しかったし、楽しかったんだよ。それを聞いて父も兄もぜひにって」
セリアは特にリリスを見ながら言う。
マナ、ハズも「あ~」と思ってちょっとニヤニヤとしているが、リリスは違うことを考えていた。
王様が見たいのは私の容姿だろうな。たぶん、どんな姿形か見たいだけだろう。ジュリエッタと似ていると言えば伝わりそうだけど、それじゃやっぱりいやなのかな…
元々、王様にはいい印象がない。私的には会いたくもない。母リエの姉ジュリエッタの件では手紙を何度も送っていたにもかかわらず、無視を貫いた人だ。国としてはいい王様なんだろうが、個人的には母を無視した非情な王様だ。でもいち個人を優先する事をしないのが国の重鎮なのだろう。
それでも、自分に惚れた女を無視して罪人に育ててしまったことは反省してほしい。部下を使ってなんとか動けただろうと思う。今の両親を見ているとジュリエッタを今更ながらに恨んでしまう。この人たちに愛され育てられたらと…
「どうだろう?」
「わ、わたしは辞めておくわ。やっぱり恐れ多いもの」とマナが遠慮する
「そう、だな俺も…」とハズが同意する
「そうね、私も」とリリスは賛同する
「ちょちょっと、みんなして断らないでくれよ~」
セリアが泣きそうな顔で言う。
「リリスだけでも受ければ?」
「なんで私だけなのよ?」
「えっだって…」
チラリとセリアを見る。本当の所はリリスを王様に紹介して将来はって事なのだとマナは思っている。
「いや、本当に同級生を親に紹介したいだけだよ。みんなが招待してくれたように。マナ、勘違いをしないでくれ。付き合ってもいないリリスを王様に紹介したいとかじゃないんだ」
「そうなの?でもやっぱり緊張しちゃうわ…」
「普通に接してもらえれば父も兄も喜ぶよ」
「じゃあみんな2級が受かっていればご招待に預かりましょう。ね。」
リリスが面倒なやり取りを一括する。
王様も一目見ればすぐに興味をなくすだろう。あまり、逃げ隠れすると王様がストーカーになりそうだ。
みんなもそれで納得をした。
キキは仲がいいようにしか見えない公爵様と元冒険者の取り合わせに納得がいかない。
「…分からないわ。ずっと前からの知り合いのようだし。私の姉がバル様に捜させてその時に知り合ったそうなの。私たち夫婦とリリスを引き合わせてくれたのもバル様だった。でもリリスは自分を捜しているとわかっていたけれど何年かは隠していたそうよ。その時は怪しい金持ちだと思っていたみたい」
「リリスらしいわね。イージュレンに居た時のあの子はなぜかずっと一人だったし仲良くしている人もいたみたいだけど、なんか距離を取っていたわ。とにかく子供っぽくなかったわね。みんな成人してるって思っていたし」
「そう…ねぇキキこれからの毎週末はうちの邸で夕食を一緒にしない?忙しくない時でいいから。リリスの話が聞きたいわ。リリスは大まかな話はしてくれるけど、やっぱり自分の事となるとあまり話さないのよね。どんなことでもいいわ。リリスの話を聞かせて!」
「ああ、キキ殿!ぜひ!」
「ありがとう。嬉しいわ、私も一人だしお邪魔でないなら伺わせもらうわ」
それから毎週末にはキキが夕食に来るようになった。リリスはキキを姉のように慕っていたので嬉しかった。
「なんで姉なのよ。リエより10以上も年上よ!」
「だから歳は関係ないってば」
もうキキも一緒に住めばいいのにと思うリリスであった。
冬のシーズンにもなり、下級貴族とは言え元王族の娘ということもありパーティや夜会などのお誘いが増えた。もちろん窓口はドリフェスなのでリリスの耳には入らない。2級の試験にはまだ余裕があったのでリリスは、約束通り3人を邸に招待をした。そして、マナやハズの家にご招待を受けたりしていた。
マナの家は商人の家系で家族で商売をしている。それなりのお金持ちのようだ。実家は王都の田舎の方にあるようで、今はおばの家からアカデミーに通っているらしい。ハズの父は王都の商人ギルドに勤めている。イメージはなんとなくお役人さんだ。
「リリス」も冬用にメニューチェンジする。リリスが色々なグルメのアイデアを口にすることはない。リリスがしなくても「リリス」の腕のいい料理人が美味しいメニュー考案してくれる。たまにリクエストをしているぐらいだ。
リリスは「リリス」に入り浸るもセリアも一緒なので下級貴族どころか中級・上級貴族からも話掛けられない。そういう時はとても助かる。錬金術アカデミーの講堂もざっくりと一般人と貴族で分けられていたが、それは最初だけであとは好きな教授の講義に参加している。
そして構内では、いつも一緒にいるリリスたちは、カップリングが成立しているとも思われていた。リリスとセリア、マナとハズだ。セリア以外の家に行き来しているので尚更だろう。面倒くさいので否定も肯定もしない。
たまに他の女子から「王子様なんて夢物語よ。素敵ね~」などと言われるが、なにが素敵なのか分からないが王族の割にはいい奴ではある。
「リリス、マナ、ハズ、今度2級の試験が終わったら夕食に招待をしたいんだが」
リリス、マナ、ハズは動きを止める。
「それってお城…?」
「ああ、ぜひ父と兄が会って話がしたいと言っているんだ」
「それって謁見っていうの?」
「いやいや、違うよ。ただの夕食会。みんなも普通に俺を招待してくれただろう。嬉しかったし、楽しかったんだよ。それを聞いて父も兄もぜひにって」
セリアは特にリリスを見ながら言う。
マナ、ハズも「あ~」と思ってちょっとニヤニヤとしているが、リリスは違うことを考えていた。
王様が見たいのは私の容姿だろうな。たぶん、どんな姿形か見たいだけだろう。ジュリエッタと似ていると言えば伝わりそうだけど、それじゃやっぱりいやなのかな…
元々、王様にはいい印象がない。私的には会いたくもない。母リエの姉ジュリエッタの件では手紙を何度も送っていたにもかかわらず、無視を貫いた人だ。国としてはいい王様なんだろうが、個人的には母を無視した非情な王様だ。でもいち個人を優先する事をしないのが国の重鎮なのだろう。
それでも、自分に惚れた女を無視して罪人に育ててしまったことは反省してほしい。部下を使ってなんとか動けただろうと思う。今の両親を見ているとジュリエッタを今更ながらに恨んでしまう。この人たちに愛され育てられたらと…
「どうだろう?」
「わ、わたしは辞めておくわ。やっぱり恐れ多いもの」とマナが遠慮する
「そう、だな俺も…」とハズが同意する
「そうね、私も」とリリスは賛同する
「ちょちょっと、みんなして断らないでくれよ~」
セリアが泣きそうな顔で言う。
「リリスだけでも受ければ?」
「なんで私だけなのよ?」
「えっだって…」
チラリとセリアを見る。本当の所はリリスを王様に紹介して将来はって事なのだとマナは思っている。
「いや、本当に同級生を親に紹介したいだけだよ。みんなが招待してくれたように。マナ、勘違いをしないでくれ。付き合ってもいないリリスを王様に紹介したいとかじゃないんだ」
「そうなの?でもやっぱり緊張しちゃうわ…」
「普通に接してもらえれば父も兄も喜ぶよ」
「じゃあみんな2級が受かっていればご招待に預かりましょう。ね。」
リリスが面倒なやり取りを一括する。
王様も一目見ればすぐに興味をなくすだろう。あまり、逃げ隠れすると王様がストーカーになりそうだ。
みんなもそれで納得をした。
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