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第3章
出る杭
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「キキはどう思う?」
男女離れて白いブラウスで入浴をしている。
「急に振らないで…状況が全然つかめていないのに。…でもこの泉の事はバル様にお任せしてリリスは勉強に集中した方がいいわ。簡単に高級1級の錬金術師にはなれないのよ」
「そうよね…みんながそう言うならバルお願いね」
板の向こうにいるバルに話掛ける。
「やっぱり俺か…前回の世界樹の件だって了解を得るのは大変だったのだ。とりあえず会わせろと言われていたしな」
「王様が私に会いたがってたの?」
イケメン王ちょっと興味あるな。あっもうおじさんか…
「謁見な」
「それはめんどくさい」
「だろうな…今回はここに連れていけと言われそうだな。そうなったら逃げられないぞ。俺はこの場所まで陛下をお連れできない」
「王様の魔力を借りれば?」
以前、リリスの魔力を借りて城に戻ったことがあるのだ。
「いや、不敬だし。しかも今回はムリだ。この場所は遠すぎる。陛下の魔力をお願いしても俺が迷子になる」
ふ~ん、よくわからない。
「馴染みの場所だったら相手の魔力を借りて、誘導し一緒に転移は出来るけど、馴染みの場所でもここは遠すぎるのよ。どこかに転移場所を数点儲けて魔石の力を借りないとたどり着けないわ。と言っても遠すぎるから何日も掛ると思うけど」
リエがよくわかっていないであろうリリスに説明をする。
リリスはどうも自分の魔力が多いことを忘れてしまう。母も同じくらいの魔力なのでやはり普通に思えてしまうのだ。
「えー、そうなったらお母さんも一緒に行ってくれる?ひとりで王様と謁見なんてやだよ」
リリスはこういう時、すばやく子供に戻る。
「もちろん、一緒に行くわ。王様が許すなら私一人で案内するわ。バル様も連れて」
「そんな2人も同時になんて倒れちゃうよ」
「ありがとうリリス、心配してくれて。でも大丈夫よ。私もリリスと同じ魔力は樽3杯なんでしょ?ふふっ」
リエとリリスは泉の中で戯れる。
キキは温泉に入り泉の水をじっと見ている。
「リリスはどうしてこの泉に身体ごと入ろうとしたの?知っていたの?」
「どういう事?」
「昔の記述には、この泉かわからないけど身体ごと入って痛みを取るとあったわ。でも身体ごと入るのは薬草湯とかに限るのよ。まさか暖かい泉があるなんてびっくりだけど、そもそも身体ごと入るなんて信じられないわ」
「そう?」
温泉は大好きだけど
集落の浴場もお湯に入ることはしていなかったな。お湯をかけてブラウスの上から身体を洗っていた。まぁはずかいしいからいいんだけど誰もいなかったら全裸で入りたい。そんな事を言ったら変態と思われちゃうかな。
キキは不思議な行動をするリリスを訝しげに見た。しかし、リリスは多くを語らないが母親は物心ついた頃からおらず、親からも逃げているとも言っていた。成人しているのかと思っていたらまだ13歳だった。そして義理だった父親は女を騙して逃げていたような人だった。
リリスは私なんか想像も出来ないような幼少時代を送ってきたのよね。そんなリリスに普通の常識を求めるなんて私はずいぶんとひどい事を言っているのね。
キキは都合よくいい感じに同情してくれているが、ちょっとズレてもいる。リリスの常識の無さは前世の記憶が鮮明だからなのだが、そんな事情はわかるはずもない。
「では陛下にはこの泉の件と薬草の件を報告するよ」
レイジュの泉から転移し、邸の庭で涼んでいる。
「バルは王様と2人きりで話せる機会があるの?」
「ほとんど2人きりだよ。最近はディルイがいるがあいつは部屋の前で待機か近くで話を聞いているだけだし、俺の話を聞いて陛下が判断して他の貴族に話をしている」
「王様を独占していると他の貴族がやきもちを焼くわよ。気を付けてね」
「どういう意味だ?」
「バルの話しか聞かない王様を洗脳させたとか魅了を掛けているとか言われかねないってこと。いい具合に他の貴族にも華を持たせたりバランス保たないと出る杭は打たれるのよ」
「出る杭…?」
「バル様、確かにリリスいう事は合っているかもしれません。騎士の世界でも無能な奴がなぜか上司に可愛がられ大事なお役目を任せられたりすると、なぜあいつばかりとなりますね。あっバル様が無能ってことではないですよ」
キースが慌てて言い直す。
「あっいや、しかしそういうものか…」
バルは真っ直ぐないい男に間違いはないが、政治に向いているとは思えない。
「しかし、どうやって華を持たせるのだ?」
それは自分で考えろよ
「私が分かるわけないでしょ!そういう時に賢いディルイを使いなさいよ。トールの長男もいるでしょ!部下を遊ばせてないでバンバンこき使いなさいよ!」
「な、なるほど…」
こういう奴は全部自分でなんとかしようと思って壊れるタイプだ。バンバン部下に投げて自分は左うちわでいいんだよ。公爵なんて。たぶんね、知らないけど。
キースとリエとキキは、バルとリリスの会話を聞いているとどちらが年上か分からなくなる。もう2人は結婚したらいいのにと思うのであった。
男女離れて白いブラウスで入浴をしている。
「急に振らないで…状況が全然つかめていないのに。…でもこの泉の事はバル様にお任せしてリリスは勉強に集中した方がいいわ。簡単に高級1級の錬金術師にはなれないのよ」
「そうよね…みんながそう言うならバルお願いね」
板の向こうにいるバルに話掛ける。
「やっぱり俺か…前回の世界樹の件だって了解を得るのは大変だったのだ。とりあえず会わせろと言われていたしな」
「王様が私に会いたがってたの?」
イケメン王ちょっと興味あるな。あっもうおじさんか…
「謁見な」
「それはめんどくさい」
「だろうな…今回はここに連れていけと言われそうだな。そうなったら逃げられないぞ。俺はこの場所まで陛下をお連れできない」
「王様の魔力を借りれば?」
以前、リリスの魔力を借りて城に戻ったことがあるのだ。
「いや、不敬だし。しかも今回はムリだ。この場所は遠すぎる。陛下の魔力をお願いしても俺が迷子になる」
ふ~ん、よくわからない。
「馴染みの場所だったら相手の魔力を借りて、誘導し一緒に転移は出来るけど、馴染みの場所でもここは遠すぎるのよ。どこかに転移場所を数点儲けて魔石の力を借りないとたどり着けないわ。と言っても遠すぎるから何日も掛ると思うけど」
リエがよくわかっていないであろうリリスに説明をする。
リリスはどうも自分の魔力が多いことを忘れてしまう。母も同じくらいの魔力なのでやはり普通に思えてしまうのだ。
「えー、そうなったらお母さんも一緒に行ってくれる?ひとりで王様と謁見なんてやだよ」
リリスはこういう時、すばやく子供に戻る。
「もちろん、一緒に行くわ。王様が許すなら私一人で案内するわ。バル様も連れて」
「そんな2人も同時になんて倒れちゃうよ」
「ありがとうリリス、心配してくれて。でも大丈夫よ。私もリリスと同じ魔力は樽3杯なんでしょ?ふふっ」
リエとリリスは泉の中で戯れる。
キキは温泉に入り泉の水をじっと見ている。
「リリスはどうしてこの泉に身体ごと入ろうとしたの?知っていたの?」
「どういう事?」
「昔の記述には、この泉かわからないけど身体ごと入って痛みを取るとあったわ。でも身体ごと入るのは薬草湯とかに限るのよ。まさか暖かい泉があるなんてびっくりだけど、そもそも身体ごと入るなんて信じられないわ」
「そう?」
温泉は大好きだけど
集落の浴場もお湯に入ることはしていなかったな。お湯をかけてブラウスの上から身体を洗っていた。まぁはずかいしいからいいんだけど誰もいなかったら全裸で入りたい。そんな事を言ったら変態と思われちゃうかな。
キキは不思議な行動をするリリスを訝しげに見た。しかし、リリスは多くを語らないが母親は物心ついた頃からおらず、親からも逃げているとも言っていた。成人しているのかと思っていたらまだ13歳だった。そして義理だった父親は女を騙して逃げていたような人だった。
リリスは私なんか想像も出来ないような幼少時代を送ってきたのよね。そんなリリスに普通の常識を求めるなんて私はずいぶんとひどい事を言っているのね。
キキは都合よくいい感じに同情してくれているが、ちょっとズレてもいる。リリスの常識の無さは前世の記憶が鮮明だからなのだが、そんな事情はわかるはずもない。
「では陛下にはこの泉の件と薬草の件を報告するよ」
レイジュの泉から転移し、邸の庭で涼んでいる。
「バルは王様と2人きりで話せる機会があるの?」
「ほとんど2人きりだよ。最近はディルイがいるがあいつは部屋の前で待機か近くで話を聞いているだけだし、俺の話を聞いて陛下が判断して他の貴族に話をしている」
「王様を独占していると他の貴族がやきもちを焼くわよ。気を付けてね」
「どういう意味だ?」
「バルの話しか聞かない王様を洗脳させたとか魅了を掛けているとか言われかねないってこと。いい具合に他の貴族にも華を持たせたりバランス保たないと出る杭は打たれるのよ」
「出る杭…?」
「バル様、確かにリリスいう事は合っているかもしれません。騎士の世界でも無能な奴がなぜか上司に可愛がられ大事なお役目を任せられたりすると、なぜあいつばかりとなりますね。あっバル様が無能ってことではないですよ」
キースが慌てて言い直す。
「あっいや、しかしそういうものか…」
バルは真っ直ぐないい男に間違いはないが、政治に向いているとは思えない。
「しかし、どうやって華を持たせるのだ?」
それは自分で考えろよ
「私が分かるわけないでしょ!そういう時に賢いディルイを使いなさいよ。トールの長男もいるでしょ!部下を遊ばせてないでバンバンこき使いなさいよ!」
「な、なるほど…」
こういう奴は全部自分でなんとかしようと思って壊れるタイプだ。バンバン部下に投げて自分は左うちわでいいんだよ。公爵なんて。たぶんね、知らないけど。
キースとリエとキキは、バルとリリスの会話を聞いているとどちらが年上か分からなくなる。もう2人は結婚したらいいのにと思うのであった。
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