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もふって新人生!
◆もふって監視!
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夜に舞が飛ばした無機追尾監視魔法は、数時間の飛行の末に遂にイースガルズ動物公園に辿り着くことができた。
イースガルズ動物公園の柵には沢山の魔法具が付いていて、何かが触れた途端アラームが鳴り響く様になっている。
しかし、舞の無機追尾監視魔法はその魔法具の壁をすり抜けるように公園内に侵入した。
広大な丘の上をゆっくりと飛行していく。途中地面には所々に動物が点在していた。
一つ目の丘では羊達が夜にも関わらず戯れあって、ころころと転がっていて楽しんでいるように見えた。
二つ目の丘では山羊達が長く生え揃った種々を次から次へと貪っていた。
三つ目の丘では牛達が鳴き声を上げながら空を見上げていた。
その後もいくつかの丘を越えてから、ようやくイースガルズ動物公園の本舎に着いた。
本舎はとても立派で簡単な大豪邸と言ったような大きさと見た目だった。
動物達が夜、自由に行動できるように小さい穴が本舎に用意されていたので、そこから舎の中に入る。
やはり中も広い本舎の中を飛んでいると、いきなり壁の方へ向かいはじめた。
そこには、一人の男性が立っていた。手で扉に触れ、呪文を唱え始める。
『《Malfermita fare pordon》』
突如壁が動き出し、地下への階段が現れる。所謂隠し扉だ。
男性はゆっくりと動き始めて、階段を一段一段降りていく。
強い灯りが近づいてくるとともに獣の鳴き声も大きくなっていく。
『Gurrrrrrrrrrrrr………』
部屋に入った瞬間、目の前には沢山の檻があった。
その檻の中には、黒い毛並みをした禍々しいオーラを纏う獣が居た。魔獣だ。
『くくくっ………こいつは明日出荷だな……』
いきなり笑い出した男性は紙に何かを書き記して、地下を後にする。
先程降りてきた階段を一段一段登っていく最中、黒く長い影が男性の背後を捉え一息に飛びかかった。
『ぐおっ……何だコイツ!?クソッ!!邪魔だ、退けっ!!!……くっ、ぐおっ……』
少しの間だけ抵抗することが出来ていた男性もやがて影に飲み込まれ始める。
『っ……くっそぉ……!!まだ、まだ死ぬ訳には………ごぶぅぉっっ!?…がふぅっ………っ…………』
黒い影から伸びた何かに腹を貫かれた男性は、体を引きずりながらも逃げようとするが、大きな影に頭を捕まれ階段の角に強打し、動かなくなった。
辺りには物凄い量の血飛沫が飛んでいて、まるで階段に赤絨毯を掛けたような風景となっていた。
男性を殺した黒い影は階段を駆け登っていく。
やがて辿り着いたのは、石の扉だった。黒い陰が目の前に現れた途端に扉は開き始める。
丘の向こうへと走っていった黒い陰が見えなくなる頃に、開いた扉は静かに閉じていった。
■
「……酷いな。自業自得で、因果応報な事だけど、酷すぎる」
「…どうする?犯人は死んでしまったようだぞ?」
「まだ断定するには早いさ。共犯者がいるかもしれない」
「そうだったな、すまん」
無機追尾監視魔法で撮影した動画を観ていたのは、舞と見知らぬ中年の男だった。
中年の男はダイル・ペルストと言う男で、もと探偵だったらしい。らしいと言うのは今ではしがない小社のサラリーマンだからだ。
今日の昼に、国立魔法図書館で犯罪について調査をしていた舞のもとにダイルがやってきた。
ダイルはナンパのつもりだったようだが、難しい顔をして六法全書を読む舞の姿を見てなにか事情があると察し、頼んでもいないのにいきなり口を出し始めた。
しかし、流石はもと探偵。法律についての知識は群を抜いており、その推理力も並ではない。すこし抜けているが。
「……そうだ、今日の新聞はある?」
「ん?あぁ、ここに」
「ありがとう」
受け取った新聞を開くと、とても大きく《イースガルズ動物公園館長、ダリス・イーリーが謎の死を遂げる!》と見出しが書いてあった。
「…これを見る限りでは、あの映像の男性は、館長ダリスだね」
「あぁ、もうほぼ確定したようなものだしな」
「とりあえず、映像を持って帰って解析だね。もう一つ無機追尾監視魔法を飛ばしておくよ」
「あぁ、頼んだ。もし、この事件に共犯者がいて…」
「…?どうしたの?」
突然喋らなくなってしまったダイルを心配して声をかける舞。耳を澄ませると、ダイルは震えた小声で何か言っている。
「…んだ…」
「ん?なに?」
「なんで気付かなかったんだ!!」
「へぁっ!?」
突然大声を出したダイルに吃驚する。それをお構いなしに話をすすめようとする。
「なんで気付かなかったんだ!!絶対にいるぞ!共犯者が!!寧ろなんで見逃してたんだ!!」
「え?え?なんで??」
未だに状況が飲み込めない舞が挙動不審になりつつ聞く。
「いや、映像では死体は階段の中だ!!しかも、黒い陰が通ったら壁はしまった!でも、死体は外にあった、なんでだ!?」
「……なるほど、共犯者がいたから、か。なら余計に今日は無機追尾監視魔法を飛ばさなくちゃいけないなぁ」
「あぁ、これは大きな発見だ」
しかし、舞がある事に気付く。
「でも、断定は出来なくない?もしかしたら、軍が扉を開けたとか……」
「それはありえない。死体が転がってなかったのになぜ軍が動くのか……それに、軍が動いたら一番下の地下室まで詳しく調べ尽くされて今頃悪事は明るみの中だ」
「なるほど。だから、共犯者がいる、と」
「あぁ。あのあと黒い影は何処かへ行ったから、人為的に外に放り出された可能性が高いな」
共犯者がいるということを確信した二人はすぐさま自分の家に戻ろうとする。
「では、また明日ここで」
「あぁ、わかった」
ダイルはこの件を解決した時に国に提出するための準備を、舞は今夜また飛ばす無機追尾監視魔法の準備を始めた。
「……明日、すべてがはっきりするんだね……いくら魔獣でも、鎖や首輪を着けてたら奴隷と一緒だよ…」
そんなつぶやきを残して、無機追尾監視魔法は空の彼方へと飛んでいった。
イースガルズ動物公園の柵には沢山の魔法具が付いていて、何かが触れた途端アラームが鳴り響く様になっている。
しかし、舞の無機追尾監視魔法はその魔法具の壁をすり抜けるように公園内に侵入した。
広大な丘の上をゆっくりと飛行していく。途中地面には所々に動物が点在していた。
一つ目の丘では羊達が夜にも関わらず戯れあって、ころころと転がっていて楽しんでいるように見えた。
二つ目の丘では山羊達が長く生え揃った種々を次から次へと貪っていた。
三つ目の丘では牛達が鳴き声を上げながら空を見上げていた。
その後もいくつかの丘を越えてから、ようやくイースガルズ動物公園の本舎に着いた。
本舎はとても立派で簡単な大豪邸と言ったような大きさと見た目だった。
動物達が夜、自由に行動できるように小さい穴が本舎に用意されていたので、そこから舎の中に入る。
やはり中も広い本舎の中を飛んでいると、いきなり壁の方へ向かいはじめた。
そこには、一人の男性が立っていた。手で扉に触れ、呪文を唱え始める。
『《Malfermita fare pordon》』
突如壁が動き出し、地下への階段が現れる。所謂隠し扉だ。
男性はゆっくりと動き始めて、階段を一段一段降りていく。
強い灯りが近づいてくるとともに獣の鳴き声も大きくなっていく。
『Gurrrrrrrrrrrrr………』
部屋に入った瞬間、目の前には沢山の檻があった。
その檻の中には、黒い毛並みをした禍々しいオーラを纏う獣が居た。魔獣だ。
『くくくっ………こいつは明日出荷だな……』
いきなり笑い出した男性は紙に何かを書き記して、地下を後にする。
先程降りてきた階段を一段一段登っていく最中、黒く長い影が男性の背後を捉え一息に飛びかかった。
『ぐおっ……何だコイツ!?クソッ!!邪魔だ、退けっ!!!……くっ、ぐおっ……』
少しの間だけ抵抗することが出来ていた男性もやがて影に飲み込まれ始める。
『っ……くっそぉ……!!まだ、まだ死ぬ訳には………ごぶぅぉっっ!?…がふぅっ………っ…………』
黒い影から伸びた何かに腹を貫かれた男性は、体を引きずりながらも逃げようとするが、大きな影に頭を捕まれ階段の角に強打し、動かなくなった。
辺りには物凄い量の血飛沫が飛んでいて、まるで階段に赤絨毯を掛けたような風景となっていた。
男性を殺した黒い影は階段を駆け登っていく。
やがて辿り着いたのは、石の扉だった。黒い陰が目の前に現れた途端に扉は開き始める。
丘の向こうへと走っていった黒い陰が見えなくなる頃に、開いた扉は静かに閉じていった。
■
「……酷いな。自業自得で、因果応報な事だけど、酷すぎる」
「…どうする?犯人は死んでしまったようだぞ?」
「まだ断定するには早いさ。共犯者がいるかもしれない」
「そうだったな、すまん」
無機追尾監視魔法で撮影した動画を観ていたのは、舞と見知らぬ中年の男だった。
中年の男はダイル・ペルストと言う男で、もと探偵だったらしい。らしいと言うのは今ではしがない小社のサラリーマンだからだ。
今日の昼に、国立魔法図書館で犯罪について調査をしていた舞のもとにダイルがやってきた。
ダイルはナンパのつもりだったようだが、難しい顔をして六法全書を読む舞の姿を見てなにか事情があると察し、頼んでもいないのにいきなり口を出し始めた。
しかし、流石はもと探偵。法律についての知識は群を抜いており、その推理力も並ではない。すこし抜けているが。
「……そうだ、今日の新聞はある?」
「ん?あぁ、ここに」
「ありがとう」
受け取った新聞を開くと、とても大きく《イースガルズ動物公園館長、ダリス・イーリーが謎の死を遂げる!》と見出しが書いてあった。
「…これを見る限りでは、あの映像の男性は、館長ダリスだね」
「あぁ、もうほぼ確定したようなものだしな」
「とりあえず、映像を持って帰って解析だね。もう一つ無機追尾監視魔法を飛ばしておくよ」
「あぁ、頼んだ。もし、この事件に共犯者がいて…」
「…?どうしたの?」
突然喋らなくなってしまったダイルを心配して声をかける舞。耳を澄ませると、ダイルは震えた小声で何か言っている。
「…んだ…」
「ん?なに?」
「なんで気付かなかったんだ!!」
「へぁっ!?」
突然大声を出したダイルに吃驚する。それをお構いなしに話をすすめようとする。
「なんで気付かなかったんだ!!絶対にいるぞ!共犯者が!!寧ろなんで見逃してたんだ!!」
「え?え?なんで??」
未だに状況が飲み込めない舞が挙動不審になりつつ聞く。
「いや、映像では死体は階段の中だ!!しかも、黒い陰が通ったら壁はしまった!でも、死体は外にあった、なんでだ!?」
「……なるほど、共犯者がいたから、か。なら余計に今日は無機追尾監視魔法を飛ばさなくちゃいけないなぁ」
「あぁ、これは大きな発見だ」
しかし、舞がある事に気付く。
「でも、断定は出来なくない?もしかしたら、軍が扉を開けたとか……」
「それはありえない。死体が転がってなかったのになぜ軍が動くのか……それに、軍が動いたら一番下の地下室まで詳しく調べ尽くされて今頃悪事は明るみの中だ」
「なるほど。だから、共犯者がいる、と」
「あぁ。あのあと黒い影は何処かへ行ったから、人為的に外に放り出された可能性が高いな」
共犯者がいるということを確信した二人はすぐさま自分の家に戻ろうとする。
「では、また明日ここで」
「あぁ、わかった」
ダイルはこの件を解決した時に国に提出するための準備を、舞は今夜また飛ばす無機追尾監視魔法の準備を始めた。
「……明日、すべてがはっきりするんだね……いくら魔獣でも、鎖や首輪を着けてたら奴隷と一緒だよ…」
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