もふってちーと!!

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もふって新人生!

◆もふって陽動!

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「…戻ってきたか……」

 空を見上げながら無機追尾監視魔法サインレストラックモニターを目で追いかける。

 やがて、舞のもとにやってきて手元に光となって収まる。

「……なにが、映ってるんだろう………」

 開いたことの無いパンドラの箱を今から開こうとしている。何が映っているのかは誰にも分からない。

 果たして共犯者が映っているのか、それすら定かではない。ゆっくりと無機追尾監視魔法サインレストラックモニターの映像を再生する。

 そこに映っていたのは初めに飛ばした時と同じ丘を越える光景だった。

 映像の奥の方に徐々にその影が見えてくる。イースガルズ動物公園だ。

 内部に侵入し前回と同じ様に、石製の扉の前で待機する。すると、一人の男性の影が見えた。

『……ここか。………詠唱すれば、扉が開くんだな』

『《Malfermita fare pordon》』

 石の扉が重々しい音を立てて開く。

『まったく、園長も馬鹿な人だ。まさか魔力封じマナシールドの首輪を着けた魔獣に殺されるとは……まぁ、俺が利益の全てを受け継ぐ権利を得たから願ったり叶ったりだったがな……くくっ…』

 石段を下ってく男性は、中肉中背で髭が白っぽい事から、おおよそ50代と予測できる。

『くっ、匂いが酷いな……まだ血生臭い。後で掃除するかな、こんな場所を行き来するなんてたまったもんじゃない』

 匂いを気にしながらも下へと進む。やがて、ダリスが魔獣を管理していた部屋に着く。

『ここが………ははっ、すげぇや…こりゃ、全部売ったら相当な儲けになるぞ………』

 一人地下室で広角を吊り上げ笑う。

 その後は特に何もなく、ただ魔獣を眺めて終わった。

「……うぅん、まだ、動くのには早いかな……っと、もうこんな時間。はやく待ち合わせの場所に行かなきゃ!」

 昨日と同じ場所に着いた舞は時間を確認する。現在午後二時だ。予定の時間まで後三十分も余裕がある。

「……捕まえるんだったら、陽動作戦が一番かな…」

 先に席に座ってどのようにして捕まえるかの作戦を考える舞の目の前の椅子が突然引かれた。

「やぁ。遅くなってしまってすまない」

「いやいや、全然待ってなかったから大丈夫」

 二人はコーヒーを注文して、昨日の映像を見る。

 映像を見終えたダイルは唸り声をあげる。

「……うーん、まだ証拠としてはなぁ……」

「…だよね。そこで、陽動作戦、してみない?」

「陽動作戦?」

「うん」

 舞は先ほど考えていたことをダイルに話し始める。

「私が、魔獣を買いに行く。いや、フリだけど。それで釣れてくれれば捕まえられる」

「…まぁ現状一番の手だな。効率的だし、確実だな」

 とりあえずの作戦は決まったので、二人はどうやって購入まで漕ぎ着けるかの話しあいを始める。

「それなら!俺の耳にな、魔獣を秘密裏に購入した貴族が居るって話が入ってきてな。ソイツの名前を出せばどうにかなるんじゃないか?」

「…一か八か……僕、あんまりギャンブルは好きじゃないんだけどなぁ……」

「でも今はそれしか打つ手がないんだ。やって見る価値はあるだろう?それに、この問題はこれ以上見過ごしちゃいけない」

「…わかりました。やりましょう」

 結局、押し切られた舞はそのままイースガルズ動物公園へとやってきた。

 かろうじて映っていた顔から、ここの副園長が共犯者と言う事がわかったので、直接話を付けに行く。

 実際に顔を合わせた後はどうやって話を切りだそうか、そんな風に悩んでいると、どうやら着いたようだ。

「ふぅ、ここにくるのも何度目かな……そういえば、動物と戯れてたとき、なんか煩かったよなー……」

 などと、関係のない意味不明な事を口走りながら、公園の業務員を探す。

 数分後、丘を一つ越えたところに一人動物に餌をあげていたところを発見した。

「…すいません、副園長に用があるのですが、案内していただけないでしょうか」

「はい?どちら様でしょうか、本日、副園長の会合予定は無かったはずですが…」

 そう返され、一瞬言葉に詰まる。

「っ…失礼しました。南の貴族コナッツ様から遣わされて参りました、マイ・カミカワと申します。何分、急な用事でしたので…連絡が間に合わなかったのかと…」

「あぁ、そうでしたか。こちらこそ失礼致しました。ささ、こちらへどうぞ。」

 そういって業務員に案内されたのは、本舎とは違う随分と大きな事務所だ。

 業務員はそこの豪奢に設えられた扉を四回ほどノックしてから声をかける。

「…副園長、お客様です。南の貴族、コナッツ様の遣いだそうです」

 中からはとても太い、芯の通った声が聞こえてきた。

「何?今日は、会合の予定はなかったはずだ。ミスか?」

「いえ、どうも急な遣いだったようで、連絡が遅れているそうです」

「……そうか、通せ」

「はい」

 扉を開くと、目の前すぐに大きな机と柔らかそうな椅子に座った中肉中背な体型の中年男性がいた。副園長は業務員が外に出たのを確認してからこちらを睨んで言った。

「…聞いていないのだが」

「申し訳ございません。本当に急でして……」

「なんだ?魔獣の追加購入か?」

「はい」

 質疑を繰り返しながら、デスクの中を漁る副園長。どうやら、前回の取引書類をとり出そうとしているようだ。

「ん?前回は金がないって言って三体しか買ってないじゃないか。こんなすぐに金が用意出来たのか?」

「えぇ、コナッツ様が一山当てまして……申し訳ございませんが、次から交渉は私が担当させていただきます」

「あぁ、そこは問題ない。…ところで、いつまで立っているんだ?客なんだから座ればいいだろう」

「売っていただく立場でそんな恐れ多い……」

「いいから座れ」

「………では、遠慮無く」

 無理やり座らされた椅子には魔獣の革が使われていて、ツヤツヤでふかふかだ。

「何体買うんだ?」

「十体ほど、買いたいと申しておりました」

「十体か……くくっ、やはりコナッツ卿だ、いい商売相手になってくれる」

「本当はもっと買いたいが、一度に一気に買ってしまうとバレてしまうと、申しておりました。もしかしたら追加で二、三十体購入するやもしれません」

「……そうか、だったら、この長期契約書にサインと指印を頼む」

「畏まりました」

 なんとか、スムーズに購入まで漕ぎ着けた舞はとりあえず肩の荷は降りたと一安心する。

「じゃあ、金は明日イースガルズ2番街のe:Sイース武器店横の裏路地でな」

「…はい、わかりました」

 支払い、受け取り場所まで決まって万々歳な舞はすぐ様家に帰って涼華に報告した。

「りょーか!!りょーかっ!!魔獣事件ももうすぐ解決だよ!!」

「本当!?お姉ちゃん、それ本当の話!?」

「うん!!だから、もう少し待っててね!」

「…何か手伝えることあるなら言ってね!なんでもするから!!」

「うん!!」

 魔獣を助け出せると確信し、二人はテンション高めに床に就いた。
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