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〇49 愛され過ぎて一歩も動けません
しおりを挟む昔から異性に注目される体質だったけれど、そういった日ほど迷惑に思う事はない。
お姫様として蝶よ花よと育てられたとうぬぼれるほどの容姿と教養を兼ね備えた私は、異性にとってかなり魅力的に見えるらしい。
けれど、だからこその弊害がある。
過保護に育てられた私は、外出する必要がある時に、一人で外出できないのだ。
「クリスティーゼ姫。外にでるなんてとんでもない。貴方の白く柔らかい肌に傷が付いたらと思うと」
「クリス! 外に行くなら俺もつれてけよ。一緒にいた方が楽しいぜ」
「お姫様、私をお供にしてはくれないのか。私は貴方にふさわしくないのだろうか」
今日はお忍びで町の中にこっそり出かけようと思ったのに、どこから聞きつけたのか、イケメンの三馬鹿が集まってきた。
私は内心「うわ~、面倒くさいのがきた」と引きつつも、お姫様なのでにっこり笑顔で対応する。
「ご心配ありがとうございます。でも結構ですわ。大勢で行ったら目立ちますもの」
しかし、私がそう言えば。一人目の馬鹿が、「クリスティーゼ姫、今日は部屋の中で私と過ごしましょう」と言って来る。
すると二人目の馬鹿も「クリス! だから俺を連れてけって行ってるだろ!」と発言。
そしたら三人目の馬鹿が追尾式で「お姫様、私を連れて行けば大抵の事で役に立つとおもうのだが」とおっしゃる。
私はこめかみに青筋が浮かばないように、意思の力を総結集させた。
「お・こ・と・わ・り・し・ま・す!」
うまくできたかどうか分からないが、三馬鹿は怯んだらしい。
気まずそうに視線を外した彼等の隙をついて、その場から逃亡。
背後から「クリスティーゼ姫!」「クリス!」「お姫様!」と聞こえてきたが無視した。
彼等が復活する前にに、その場からさっさと離れる事にした。
けれど、そんな事が何回あると彼等は学習して対策をするようになった。
「あっ、姫様。今日は部屋から出すなと言われてるので」
まず、メイドが買収された。
「何か最近よく鳩が部屋をのぞきにくるわね、どうしてかしら」
「クルッポー(ばさばさ)」
そして、監視がつけられた。
「ひっ、姫様が来たぞ! 仲良くしてる所をみられたら、大変な目にっ!」
しまいには、外出先の人に怯えられるしまつ。
原因はたぶんあの、三馬鹿だ。
お姫様と接することができるくらいだから、身分は良い。
私付きの女性メイドを陥落させられるくらいなので、容姿も良い。
動物を調教できるくらいの知識とか知恵もある。
なのに、その独占欲が彼等を馬鹿にしていた。
全てを台無しにしていた。
「クリスディーゼ姫、今日は私と一緒に話をしましょう」
「クリス! 俺と一緒にいようぜ」
「お姫様、私の話を聞いてほしいのだが」
最期には右、左、前、と彼らが陣取るものだからとうとう一歩も動けなくなった。
ならば後ろがあるではないかと思うが。
「すみません姫様、頼まれてしまったので」
頬を染めた女性メイドが背後を囲み込んでいた。
クリスティーゼ王女。
イケメンから愛され過ぎて、詰みました。
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