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〇110 月曜日、一番乗りでオフィスへ向かう
しおりを挟む月曜日は普通は嫌な日だ。
社会人なら仕事、学生なら学校が理由で、月曜日が嫌な人は多い。
けれど、私にとって月曜日はそれほど嫌な日ではない。
オフィスにいたら、男性がやってきた。
その人に向かって私は挨拶。
「おはようごさいます!」
会社に出勤した私は、一番乗り。
だから二番目の人に元気に言える。
すると、二番にやってきた人は必然的に私にだけ挨拶してくれる。
「おはよう。姫崎さんは朝早いな」
それが一番乗りの特権。
私にとっては何ものにも代えがたい贅沢だ。
一番最初に出社するから他の人は真面目な人だって思ってるけど、ただ恋愛の事かんがえてるだけなのよね。
私はあらためて二番目の人へ視線を向ける。
挨拶を返してきた二番乗りの人、その人は私の上司だ。
なんでもできるかっこいい男性。
部下が何かに悩んでいたら、親身になって相談してくれるし、問題が起きた時はさっそうとかけつけてくれる。
だから出会った事から憧れを抱いていて、今では恋心なども抱いちゃってりしている。
この人には恋人の気配はないから、ひそかに今狙っている人なのだ。
私はるんるん気分で仕事の準備を始める。
この人の部下になるまでは、無味乾燥な毎日を送っていた。
事務的に仕事をこなすだけの日々に色どりはなくて、目標はなく、向上心など存在していなかった。
けれど、この人が上司になってから、自分がどうなりたいか、どういうスキルを磨きたいかよく考えるようになった。
だから、そんな色々をもたらしてくれたこの人を好くのは自然な事だったのかもしれない。
そんな人が話しかけてくる。
「山田が誕生日会を企画してるって、聞いたか?」
「はい、皆を集めていつものお店でやるんですよね」
「出席表が作られたみたいだからあとで確認しとけよ」
「わかりました」
他愛のない話をしながら、デスクの周りを整えていると、その人が近くまでやってきた。
そしてまじまじと顔を覗き込んでくる。
「ここのところ働きづめだぞ、ちゃんと休暇とったか?」
「だっ、大丈夫ですよっ」
一人の部下の健康を気遣ってくれる。
その優しさに胸がきゅんきゅんしてしまう。
いつかこの人に告白したいけれど、それはまだまだ先。
心配かけるようじゃ、未熟者だものね。
「私、頑張りますから、これからもよろしくお願いしますね」
「なんだなんだいきなり。そんなのこっちだって、同じだろ?」
微笑む上司の顔にくらっとしながらも、私はその日が来ることを待ち望む。
それは過去の自分にはなかったもので、とても大切なきらめきだった。
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