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〇05 とぎれとぎれの音声
しおりを挟む「おーい、もしもし、聞こえてるか」
「――だ。で――」
距離が離れすぎたらしい。
今まできちんと聞こえていた音声がとぎれとぎれになった。
俺達がいるのは宇宙観光船の中。
そして俺達はその船をなおす修理者だ。
今、カメラを見て修理箇所の状態を確認している。
破損個所からケーブルが伸びているのがモニタで分かった。
現在、その破損した宇宙船の修理をするために、小型の宇宙船を出したのだが。
どうやら離れすぎてしまったらしい。
船から離れた船体の部品をとりにいってしまったのだろう。
規則だからこまめに連絡をとらなければいけないのに。まいったな。
近距離用の連絡機以外にもあるっちゃあるが。
できるだけ使いたくないんだよな。
「俺、長距離用の連絡機を使うと頭が痛くなるんだわ」
「えっ機械の種類によって、頭痛が起きるんですか?」
「そうそう。新しいのと古いので製造会社が変わっただろ? 内部に組み込まれている部品の関係でな」
「はぁ、そんな事あるんですね」
カール星クラゲの部品を使った旧製品は大丈夫だったが、宇宙フラワーの部品を組み込んだ新製品はそれはもうひどいものだ。
宇宙旅行がはやるこの時代になっても、人間の体はまったく思うままにならないっていうのは何なのかね。
機械のパーツの代わりはきくもの、人間のそれの代わりはないってか?
「そういうわけだから俺の代わりにあっちの船に連絡してくれや」
「そういう事なら、はい、分かりました」
俺は育成中の後輩が連絡機を手に取るのを見ながらこめかみを抑える。
通話してもいないのに、考えていたら頭が痛くなってきた。
科学の進歩で宇宙に出る前に、その技術力で人間の色々な悪いところ治してくれって思うのはおかしな事かね。
技術をそそぎこむ場面ってーのは、一体誰がどうやって優先順位をつけてるんだろうな。
俺はひそかにため息をついた。
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