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08 特別な人 王様
しおりを挟むあなたは特別な人なのです。
俺はそう言われて育った。
俺の周りにいる人間はいつも俺を大切にしてくれた。
王様の子供だから、この国で一番そうされるべき存在であるからと。
だから俺は、その親切と善意と労力に報いたい。
王様の子として、国を良くするために勉強していきたい。
与えられた特別の恩恵だけ、それを与えてくれた者達に帰したい。
豊かな暮らし、贅沢な食事。将来王座に就く権利。
俺はそれらを無駄にしないように心に誓い、毎日のように机に向かって頑張った。
そうして俺は、国で一番の王様になった。
俺を育ててくれた人間はみな喜び、国民も喜んでくれた。
特別な生まれである俺は、特別な血筋と権利を持つ。
だから特別なものとして、国の者達を幸せにしなければならない。
俺は王様になってから、民たちの声によく耳を傾け、様々な地方に目を向け、国をよくしていった。
そうして俺は子供をつくって、時代の王にも語り掛けた。
「お前は特別な存在だ。だからよく勉強して国を導いていかなければならない」
子供は俺にそっくりだった。
けれど、心はそっくりではなかった。
「僕は特別に生まれたかったわけではありません。普通の子供が良かったです。普通に生きたいです」
俺は頭を抱える事になった。
子供にとって特別とは、豊かに暮らさなければ「ならない」、贅沢な食事を享受しなければ「ならない」、王の座に就かなければ「ならない」ものだった。
特別は励みになり、支えになるが、同時に呪縛になり、重りにもなるという事を知った。
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