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深夜の死闘
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「火事だと!?
俺とレイナは外套を羽織ると、そのまま屋敷の外に飛び出す。
「むっ!?
確かに街に火の手が上がっていた。場所は裁縫工房の近くだ。
俺は駆け足で現場に向かう。現場は消火活動に従事するもの、逃げ惑うものでごった返していた。
「セイオウ様、火の手が強く、このままでは裁縫工房が!」
親衛隊を指揮し、消火活動に従事していたカノン親衛隊長が、俺の姿を見つけて叫ぶ。確かに、このままでは裁縫工房が類焼してしまう。
(また、裁縫工房か!)
俺は魔力を右手に込めて、魔法を発動する。
──風俗魔法・ホット・ウォーター──
放出される大量のお湯。だが火の手を防ぐには、まるで足らない。ならば、ありったけの不燃物を喰らわせてやる。
──風俗魔法・アンリミティッド・ローション──
今度は粘り気のあるローションをありったけ召喚し、煮えたぎる炎の中に放り込む。セイオウである俺は、水よりもローションの召喚の方が得意だった。
「おお!」
人々が歓声をあげる。今度は効果抜群だった。まるで消火液をぶちまけたように、見る見るうちに炎が消えていく。焼けたローションの、海藻が焦げたような匂いが一面に広がる。
「すごいです、セイオウ様。あちらもおねがいします」
俺はカノン親衛隊長の言う通りに、あちこちにローションを召喚して火を消す。まるで裁縫工房を狙うかのように、火元は全て、工房周囲の民家だった。
最後の火事を消すと、明かりを失ったためか、急にあたりが暗くなる。
(むっ!?)
俺は直感的に嫌なものを感じ、〝玄人の目〟であたりを見回す。この能力は暗闇でも視力を失わないのだ。
そして目の前にいた駐屯兵と思しき男達が、赤く染まっている事に気づく。それも殺意と敵愾心を表す黒っぽい赤だ。
(身を守る盾は? くっ、これしかないのか!)
──風俗魔法マット──
とっさにソープランドで使うマットを召喚し、盾とする。ドスドスドスと、マットに何か突き刺さる音がする。目を凝らして見ると、それは矢だった。幸い矢の羽の部分が引っかかり、事なきを得る。
「お返しだ!」
俺は風俗魔法で召喚したローションを、矢が飛んできた方向に放出する。
その量は昨日の比ではなかった。滝のようにおびただしい量のローションが兵士たちを襲い、その圧力で強引に壁に叩きつける。床を滑らせることしかできなかった昨日とは違う。あれからレイナ達のおかげで、俺のレベルは大いに上がったのだ。
「──旦那様、危ない!」
レイナの悲鳴に近い声と、後ろから走り寄る影。ローションでの迎撃は間に合わない。
──風俗魔法・緊縛──
俺はとっさに緊縛魔法を発動する。最も近くにいる対象を捕縛する風俗魔法。この魔法は向きは関係はないのだ。
「くっつ!?」
背後を取ったはずなのに予想外の魔法の直撃を受け、敵がその場に倒れこむ。縛りはもちろん亀甲縛り。股間を圧迫し乳房を強調する、江戸時代の昔より我が国に伝わる伝統ある縛り方だ。
「ひるむな! 全員で行け!!」
亀甲縛りで倒れたままの男が叫ぶ。この声は忘れない。昼間襲ってきた駐屯兵のロドリの声か。
四方から突っ込んでくる人影。握っている剣が、月明かりを反射して怪しく光る。
(くっ!)
緊縛魔法の対象は一人だけだ、同時攻撃は防げない。
(この魔法を使うしかないか)
使いたくない魔法だったが、躊躇している暇はなかった。俺は床で転がっているロドリと自身の身体めがけて、魔法を発動する。
──風俗魔法・交換(チェンジ)──
元の世界の風俗において、選ばれし勇者のみが発することができる言葉。セイオウが発するその言葉は、任意の対象を入れ替えることができる空間転移魔法に昇華されていた。
気が付くと、俺はロドリがいた石畳に転がっていた。同時に、目の前には俺と入れ替わりに男達の突撃を受けるロドリの姿。
──ザクドスドスザク──
刃物が肉に突き刺さっていく音がする。時代劇で聞くような、嫌な音だった。
「お前ら・・・なんで?」
「・・・ロドリ隊長? どうして??」
刺されたロドリと、刺した兵士たちが同時に疑問の声をあげる。咄嗟に剣を抜く兵士達。だがもう手遅れた。剣を抜いたロドリの身体のあちこちから、滝の様な血が流れ落ちる。もう助からないだろう。
(・・・あぶなかった。もう少し遅れていたら、刺されていたのは俺だ)
俺はゾッとしつつも、その場に立つ。戦いである以上、地面に伏せっているわけにはいかないのだ。
「こ、こっちに移動しているぞ?」
「瞬間移動魔法だと!?」
状況を理解した敵兵たちが、次々と驚きの声をあげる。
「つ、強すぎる!?」
「これが、来訪者の魔法なのか!?」
敵のざわめきは、次第に悲鳴に近いものに代わっていく。実のところ、矢も攻撃もかわせたのは間一髪の危ういものだったが、敵にはそれがわからない。俺が魔法で難なく防いだように思えただろう。
「セイオウ様、何事ですか!?
さらに騒ぎを聞きつけてきたカノン隊長が親衛隊数名を引き連れて、駆け寄ってくる。
「に、逃げろ」
「撤退だ。ずらかれ!」
その姿に、残った兵士たちは雲の子を散らすように逃げて行った。
(・・・危なかった)
俺は自分の手のひらを見ながら、切に思った。手のひらからは血が出ている。さすがに風俗用のマット1枚では、矢を完全に防ぐことはできず、少しかすってしまったのだ。あのまま戦闘が続いていたら、俺も無事では済まなかっただろう。
「旦那様、大丈夫?」
「まあな、問題ない」
駆け寄ってきたレイナを心配させるのも嫌だったので、手のひらを隠して虚勢を張る。
「さすがセイオウ様」
「風俗魔法ってすごい!」
俺の勝利を見た女達が次々と、歓声をあげる。薄氷を踏むような勝利だったが、周りには俺が魔法で圧倒したように見えたのだろう。周囲の信頼は必要だ。しばらくはやせ我慢をすることにする。
「敵数名を捕らえました。王城へ連行します。セイオウ様達は、姫の元へいらしてください」
カノン隊長の言葉に従い、俺達はエリス姫の元へ向かった。
俺とレイナは外套を羽織ると、そのまま屋敷の外に飛び出す。
「むっ!?
確かに街に火の手が上がっていた。場所は裁縫工房の近くだ。
俺は駆け足で現場に向かう。現場は消火活動に従事するもの、逃げ惑うものでごった返していた。
「セイオウ様、火の手が強く、このままでは裁縫工房が!」
親衛隊を指揮し、消火活動に従事していたカノン親衛隊長が、俺の姿を見つけて叫ぶ。確かに、このままでは裁縫工房が類焼してしまう。
(また、裁縫工房か!)
俺は魔力を右手に込めて、魔法を発動する。
──風俗魔法・ホット・ウォーター──
放出される大量のお湯。だが火の手を防ぐには、まるで足らない。ならば、ありったけの不燃物を喰らわせてやる。
──風俗魔法・アンリミティッド・ローション──
今度は粘り気のあるローションをありったけ召喚し、煮えたぎる炎の中に放り込む。セイオウである俺は、水よりもローションの召喚の方が得意だった。
「おお!」
人々が歓声をあげる。今度は効果抜群だった。まるで消火液をぶちまけたように、見る見るうちに炎が消えていく。焼けたローションの、海藻が焦げたような匂いが一面に広がる。
「すごいです、セイオウ様。あちらもおねがいします」
俺はカノン親衛隊長の言う通りに、あちこちにローションを召喚して火を消す。まるで裁縫工房を狙うかのように、火元は全て、工房周囲の民家だった。
最後の火事を消すと、明かりを失ったためか、急にあたりが暗くなる。
(むっ!?)
俺は直感的に嫌なものを感じ、〝玄人の目〟であたりを見回す。この能力は暗闇でも視力を失わないのだ。
そして目の前にいた駐屯兵と思しき男達が、赤く染まっている事に気づく。それも殺意と敵愾心を表す黒っぽい赤だ。
(身を守る盾は? くっ、これしかないのか!)
──風俗魔法マット──
とっさにソープランドで使うマットを召喚し、盾とする。ドスドスドスと、マットに何か突き刺さる音がする。目を凝らして見ると、それは矢だった。幸い矢の羽の部分が引っかかり、事なきを得る。
「お返しだ!」
俺は風俗魔法で召喚したローションを、矢が飛んできた方向に放出する。
その量は昨日の比ではなかった。滝のようにおびただしい量のローションが兵士たちを襲い、その圧力で強引に壁に叩きつける。床を滑らせることしかできなかった昨日とは違う。あれからレイナ達のおかげで、俺のレベルは大いに上がったのだ。
「──旦那様、危ない!」
レイナの悲鳴に近い声と、後ろから走り寄る影。ローションでの迎撃は間に合わない。
──風俗魔法・緊縛──
俺はとっさに緊縛魔法を発動する。最も近くにいる対象を捕縛する風俗魔法。この魔法は向きは関係はないのだ。
「くっつ!?」
背後を取ったはずなのに予想外の魔法の直撃を受け、敵がその場に倒れこむ。縛りはもちろん亀甲縛り。股間を圧迫し乳房を強調する、江戸時代の昔より我が国に伝わる伝統ある縛り方だ。
「ひるむな! 全員で行け!!」
亀甲縛りで倒れたままの男が叫ぶ。この声は忘れない。昼間襲ってきた駐屯兵のロドリの声か。
四方から突っ込んでくる人影。握っている剣が、月明かりを反射して怪しく光る。
(くっ!)
緊縛魔法の対象は一人だけだ、同時攻撃は防げない。
(この魔法を使うしかないか)
使いたくない魔法だったが、躊躇している暇はなかった。俺は床で転がっているロドリと自身の身体めがけて、魔法を発動する。
──風俗魔法・交換(チェンジ)──
元の世界の風俗において、選ばれし勇者のみが発することができる言葉。セイオウが発するその言葉は、任意の対象を入れ替えることができる空間転移魔法に昇華されていた。
気が付くと、俺はロドリがいた石畳に転がっていた。同時に、目の前には俺と入れ替わりに男達の突撃を受けるロドリの姿。
──ザクドスドスザク──
刃物が肉に突き刺さっていく音がする。時代劇で聞くような、嫌な音だった。
「お前ら・・・なんで?」
「・・・ロドリ隊長? どうして??」
刺されたロドリと、刺した兵士たちが同時に疑問の声をあげる。咄嗟に剣を抜く兵士達。だがもう手遅れた。剣を抜いたロドリの身体のあちこちから、滝の様な血が流れ落ちる。もう助からないだろう。
(・・・あぶなかった。もう少し遅れていたら、刺されていたのは俺だ)
俺はゾッとしつつも、その場に立つ。戦いである以上、地面に伏せっているわけにはいかないのだ。
「こ、こっちに移動しているぞ?」
「瞬間移動魔法だと!?」
状況を理解した敵兵たちが、次々と驚きの声をあげる。
「つ、強すぎる!?」
「これが、来訪者の魔法なのか!?」
敵のざわめきは、次第に悲鳴に近いものに代わっていく。実のところ、矢も攻撃もかわせたのは間一髪の危ういものだったが、敵にはそれがわからない。俺が魔法で難なく防いだように思えただろう。
「セイオウ様、何事ですか!?
さらに騒ぎを聞きつけてきたカノン隊長が親衛隊数名を引き連れて、駆け寄ってくる。
「に、逃げろ」
「撤退だ。ずらかれ!」
その姿に、残った兵士たちは雲の子を散らすように逃げて行った。
(・・・危なかった)
俺は自分の手のひらを見ながら、切に思った。手のひらからは血が出ている。さすがに風俗用のマット1枚では、矢を完全に防ぐことはできず、少しかすってしまったのだ。あのまま戦闘が続いていたら、俺も無事では済まなかっただろう。
「旦那様、大丈夫?」
「まあな、問題ない」
駆け寄ってきたレイナを心配させるのも嫌だったので、手のひらを隠して虚勢を張る。
「さすがセイオウ様」
「風俗魔法ってすごい!」
俺の勝利を見た女達が次々と、歓声をあげる。薄氷を踏むような勝利だったが、周りには俺が魔法で圧倒したように見えたのだろう。周囲の信頼は必要だ。しばらくはやせ我慢をすることにする。
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