異世界に召喚されたが『聖王』じゃなくて『性王』(風俗王)だったので、下品だと追放された。仕方がないのでチート風俗魔法で風俗国家を再建します

横島イクオ

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ニーソックスを布教します(下)

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「かわいいかも」

「これ、いいね!」

「あったかーい」

 着替え終わった女達は、お互いの姿を見ながら、次々と感想を述べる。概ね好評の様だ。

 ニーソックスは、もともとはオタク文化で発祥した衣装だ。ゲームの立ち絵の女性キャラは、太腿から上しか表示されない。そのため通常よりも長いソックスが採用された。そして強烈なオタクバッシングの時代であったにも関わらず、男性達の圧倒的支持によって次第に現実の女性のファッションとして取り入れられていったのだ。

(ふむ、可愛さを維持しつつも、上品になったな)

 膝丈のスカートの場合、脚は全てニーソックスで覆われることになる。女子の綺麗な脚のラインを保持しつつ、生足を直接見せないことで上品さも上がる。可愛さと上品さを、絶妙なラバンスで両立させていた。

「これだったら、お外に出ても平気かも」

 レイナが嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねている。スカートが、ひらひらと空を舞っている。彼女も気に入ってくれたようだ。

「でも、やっぱりジロジロ見られちゃうかも」

「そうだね~」

 女達の言うとおり、それでも視線はやまないだろうな。もう一言、元気づけておくか。

「見られることを嫌がるな、俺の世界には〝視線は女の勲章〟という言葉がある」

 なんかの雑誌で読んだ言葉だが、そのまま流用することにする。

「・・・??」

 だが女達は皆、キョトンとした顔をしている。

「旦那様、勲章ってな~に?」

 レイナが女達の疑問を代用して問いかけてくる。そうか、勲章の制度がないのか。

「・・・要は〝女性は見られることによって美しくなるから、嫌がるな〟という事だ」

 思い切り意訳になってしまったが、まあいいだろう。実際、視線を感じる事によって女性ホルモンが分泌され、綺麗になるという。

「あ~それはわかるかも」

「うんうん」

「セイオウ様の世界の女の子も、同じなんだね~」

 俺の言葉の意味を理解した女達が、口々に意見を述べる。ふう、異文化コミュニケーションというのはなかなか骨が折れる。 

「技術的な立場から、よろしいでしょうかセイオウ様」

「ああ」

 控えめに手をあげたジェリーさんの質問を聞くことにする。

「素晴らしい衣装です。ぜひウチの工房でも作りたいですが、技術的には難しそうです」

 ランのニーソックスを確かめながら、ジェリーさんがつぶやく。

「工房で作るのは、難しいのか?」

「足袋の技術の応用で似たものは作れますが、この、伸びる部分を作ることができないのです。これは、他の下着でも同じです」

 ジェリーさんのいいたいことはわかる。パンツと同じ問題。要はゴムがないのだ。

(ゴムは、難しいな)

 ゴムの木自体は新大陸発祥の植物で、昔から利用されていた植物だ。探せばこの世界でもあるかもしれない。とはいえ純粋な天然ゴムは熱に弱く、直ぐにボロボロになってしまう。人類がゴムを本格的に利用するようになったのは、化学技術が発展した19世紀後半以降、衣服として普及したのは20世紀からだ。この世界の技術ではとても作り出せそうにない。

「ヒモを多く使えば、似たようなものを作れますが」

「う~ん、それは可愛くないかも」

 ジェリー技師長の提案に、レイナが否定的な意見を述べる。ヒモでいたるところを固定したニーソックスか、それはそれで可愛いかもしれないが、脚が太く見えそうでもある。

「スカートで隠れるのであれば、問題ないのでは?」

「ダメだよ。見えない部分のお洒落も、大切なんだよ旦那様」

 むう、レイナの言う通りだ。以前教えたことを、見事に言い返されてしまった。

「ガーターベルト・・・腰に巻いた簡易なコルセットで引っ張り上げるのはどうだろう?」

「それはいいかもね。でも、やっぱりこの伸びる素材は欲しいな」

「南方の黒蚕が出す生糸は、とてもよく伸びると聞いたことがあります」

「ほう」

 ジェリー技師の情報は、興味深いものだった。この世界の天然素材で代用できるなら、それにこしたことはない。

「しかしよほどの大商人でないと、黒蚕の生糸を扱うことはできないとも聞いています」

(ふむ、南方の、大商人か・・・)
 
 となると、心当たりはアイツしかいない。

「わかった。アブドルに聞いてみるよ」

 どうせゴムか、それに代わる素材が必要だ。それに彼の屋敷に招待されていたのだった。

 俺の言葉に、ジェリー技師は驚いた顔をして、目を見開く。

「やはり、セイオウ様が大商人アブドル様と懇意にされているという噂は、本当なのですね」

「まあな」

 懇意というか、実質、穴兄弟みたいなものだが、まあ懇意と言ってもよいだろう。

「仕入れ値も重要です。高価では、採算が取れませんから」

「そうだな」

「アブドル様は、交渉相手としてはとても手ごわい方です」

「会ったことがあるのか?」

「仕入れの関係で、何度か」

 ジェリーさんは曇った顔で、言葉を濁す。よほど辛酸をなめさせられたに違いない。

「・・・娼館のルシア様に同行していただいた事さえありますが、全く歯が立ちませんでした」

 そして色仕掛けまで行い失敗したらしい。ジェリー技師長は気恥ずかしさと苦々しさで、唇をゆがめている。

(まあ、あいつはイリスのネトラレにしか興味を示さない変態紳士だからな。失敗したのも仕方ない。商人としては超一流だし、今回も正面突破は難しいか)

 つまり、イリスに狙いを定めるしかない。

 俺は親衛隊の女をアブドルの屋敷に使いとして出して、今から訪問してもよいか伺うことにした。
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