異世界に召喚されたが『聖王』じゃなくて『性王』(風俗王)だったので、下品だと追放された。仕方がないのでチート風俗魔法で風俗国家を再建します

横島イクオ

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女奴隷イリスの過去と誘惑?

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 イリスと二人きりで玄関への廊下を歩く。
 
 よく考えたら、彼女と二人になるのは初めてだった。彼女は常にアブドルと共にいるからだ。

「イリスさん、一つよろしいですか」

 俺の申し出にイリスは「はい、なんでしょうか?」と応じてくれる。

「貴女に、ずっと謝りたいと思っていました。今までの御無礼、謝罪いたします」

 俺は頭を下げる。

「まあ、何について謝罪されているのですか?」

「目的のため、貴女を・・・奴隷のように扱った事です」

 言っても仕方がない事だったが、イリスには一度誤っておきたかった。

「まあ・・・」

 イリスは驚いた顔をしていたが、「ふふっ」と口元に手を当てて小さく微笑む。

「奴隷のわたくしを、奴隷のように扱うのは当然の事です。お気になさることはありません」

「しかし、貴女は涙を流していました」

「あのような涙、かりそめの涙の様なものです。殿方は、泣いて恥じらう女が、お好みなのでしょう?」

「う、ウソの涙ということですか?」

 予想外のイリスの反応に、俺は驚く。

「本当の涙と嘘の涙は、どれほどの違いがあるのでしょう? もし本当の涙なるものがあるなら、奴隷になった時に、枯れ果ててしまいました」

「・・・・・・」

「恥じらいも涙も捨て、主人が望む恥じらいを身につけるのが、奴隷という身分なのです。一度、裸にされた女が、衣をまとうようなものです」

 俺は言葉もでなかった。想像もしていなかった覚悟と経験の上で、イリスはここにいるのだ。

「そのような顔をなさらないでください。わたくしは、貴方がフリージアの女達の為に、どれだけ苦労されているかは知っているつもりです。わたくしに対する行為も、そのために必要なのでしょう?」

「知っていたのですか?」

「もちろん。女達はどこの国でも皆、噂話が大好きなのですから」

 全てを知ったうえで、受け入れてくれたイリスに、俺は声も出ない。

「わたくしがあの方に買われた時に、あの方はわたくしの願いを聞き届けてくださいました。そのご恩に報いるため、変わらぬ忠誠と、あの方を愛することを誓いました」

 イリスをここまで決意させるとは、どんな願いを聞き届けたのだろうか。俺には想像だにできなかった。

「でも、セイオウ様が来られてから、アブドル様は変わられました。商談で一方的に譲歩されることも、泣き言を言われるのも、セイオウ様に対してだけなのですよ」

 流石はイリス、アブドルの事はよく見ていた。

「わたくしは今のアブドル様の方が、好きでございます。少し・・・恥ずかしい要求が多いですが」

 ネトラレ好きの事を言っているのだろう。あれだけ歪んだ男すら、その歪みさえ含めて愛してあげているのか。それも彼女の忠誠心がなせる技なのだろう。

「・・・アブドル殿は、貴女に負い目を感じておられるのでしょう、若くて美しい貴女に」

「まあ、奴隷のわたくしにですか?」

「はい。身分や立場の差があっても、なお負い目を感じている。だからこそ、あれだけ歪んでしまわれた」

「男性の方は、大変なのですね。わたくしは、ただ一緒にいるだけで幸せを感じられますのに」

 性欲に支配され、枯れかけてもなおそれに執着する男達の方が、愚かなのかもしれない。

「・・・今日、あの方はわたくしを〝理想の女性〟とおっしゃってくれました。その言葉だけで十分です」

 微笑むイリス。

 透き通るようなその微笑み。その姿に、自らの運命を受け入れその場所で精一杯花開くという、運命を切り開く力がなかった時代の女性が持っていた、失われて久しい女性の美しい生き方を感じた。

(さすがはイリス、頭もよくしっかりした女性だな)

 相手に合わせて美しく染まるという、しなやかな美しさを体現したようなイリス。その姿に、俺は胸の高まりを感じていた。それは下着姿の彼女に口で奉仕させていた時よりも強いものだった。

(レイナに出会う前にイリスに会っていたら、ヤバかったかもな・・・)

「もし、わたくしが奴隷市にいた時に出会っていましたら、助けてくださいましたか?」

 俺の思考を読んだかのように、イリスは驚くべき質問を、投げかけてきた。

 奴隷市で恥じらうイリス。この世界に来て最初にその姿を見つけていたら、俺は何をおいても彼女を購入し、助けようとしただろう。異世界転生系のラノベでよくあるパターンだ。

 その後は俺は風俗魔法で日銭を稼ぎ、イリスとつつましやかな生活を送る。イリスは俺に忠誠をつくし、俺のどんな要求にも従ってくれたろう。昼夜を問わず俺を受け入れ、献身的に奉仕してくれるイリス。イリスとの相性は、レイナの次ぐらいによいから、レベルもどんどんあがったかもしれない。

 そしてイリスなら俺の側でも運命を受け入れ、花開いてくれたに違いなかった。

 今の没落国家の番頭とは違う平凡な生活、それはそれで魅力的だった。いや、今からでも全てを捨てて、イリスの手を取ってどこかへ逃げてしまえば、そんな安穏とした生活が得られるのではないか?

(いかん、俺にはレイナがいる。守るべき人々と立場がある。何を考えているんだ俺は?)

「──今の俺には、守るべき人と、立場があります」

「もし立場を得る前に、わたくしと出会っていたら?」

「それは──」

 俺の言葉を予期していたかのような、イリスの言葉。ついに言葉に詰まる俺。その表情をイリスは熱っぽい瞳で見つめてくる。

「──クスクス、冗談です。本気にしてくださいましたか?」

 今度は子供っぽい表情で、笑顔を見せるイリス。その表情から、俺は彼女の真意を読み取ることができなかった。

 俺はイリスに弄ばれているのだろうか? それとも何かを試されているのだろうか? そんなことを考えながら、俺は裁縫工房へ戻った。
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