異世界に召喚されたが『聖王』じゃなくて『性王』(風俗王)だったので、下品だと追放された。仕方がないのでチート風俗魔法で風俗国家を再建します

横島イクオ

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聖王と性王とセクシー下着

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「順を追って説明しましょう。すべては一年前、レイナの父、エルディア王国のジェノン国王がなくなられた日に遡ります。
 男子に恵まれなかったジェノン国王は、異世界より〝聖王〟を召喚し、娘であるレイネシア王女と結婚させて、王国を継がせるように遺言しました。そしてレイネシア王女が18歳になる前日に、聖王を召喚する儀式の準備を進めていたのです」

 レイナの父は、聖王として俺を召喚する予定だったのか。

「しかしエルディアは古くから男子相続の国です。それを不服に思った王弟ゼレスは、中継ぎの王として自ら国王に就任してしまいました」

「さらに前王の娘レイネシア姫を密かに拉致して特別奴隷商人に売り払い、その罪を護衛隊長をしていた猫人族の長ニア・フウマになすりつけたのです」

「!!」

 予想外の真相にミアが驚き、目を見開く。

「さらにエルディア朝を廃しゼレス朝を創立し、自らゼレス1世として正式な王に就任したのです。そして自身の娘カチュア姫と、召喚されるであろう異世界の〝聖王〟を結婚させ、その地位を盤石なものにしようと画策したのです。
 ただ召喚の日だけは動かせなかったため、レイネシア姫が18歳になる前日に、本来なら〝聖王〟としてイクオ様が召喚される予定でした」

 確かにあの状態で〝聖王〟として俺が召喚されていたら、立場的にカチュア姫との結婚は不可避だっただろうな。

「ですがそれでは我がフリージア王国は困るのです。フリージアは以前からエルディアの保護下に入っておりましたが、ジェノン国王は今の様な搾取は行っておりませんでした。レイネシア姫とはわたくしは個人的な関係がありましたし、〝聖王〟としてイクオ様がレイネシア姫の伴侶として即位しても、酷い事にはならないと考えていました。

 しかしゼレス王国になってから、フリージアに対する過酷な搾取が始まりました。わたくしは、何としてもイクオ様が正当なる〝聖王〟として召喚され、カチュア姫と結婚するのを阻止する必要がありました。そしてイクオ様を確保しフリージアのものにするため、一計を案じました。
 クリス、あれをだしなさい」

「はい、姫様」

 クリスはポケットから大切そうに、ハンカチの様な布を取り出す。そしてそれを広げる。

「こ、これは!?」

「はい、女性用の下着です」

「・・・ぱんつじゃないか」 

 しかもほとんどヒモで作られたセクシー下着だった。

 この真面目な話題の折に、なんでぱんつがでてくるんだ?

「わたくしが異世界で得た情報を元に、フリージア工房で極秘裏に作らせた下着の第一号です。セイオウ様が裁縫工房に作らせた試作品は、正確には第二号になります」

 レイナに履かせた(他に眺めたり触ったり返さなかったりした)のは、第二号だったのか。試作品が妙に早くできたと思っていたが、そういう事だったのか。

「これをクリスに命じ、召喚の媒体であった聖骸布と差し替えたのです」

「セクシーパンツと聖骸布を差し替えただと!?」

「はい。それによって本来〝聖王〟として召喚されるはずのイクオ様を、〝性王〟として召喚したのです」

「・・・お、俺ってセクシーパンツを媒体にこの世界に召喚されたのか・・・」

 なんという真実。知りたくなかった。

「そういうことになります。後はご存じのとおりです。『汚らわしい〝性王〟など要らない』という風に人々を誘導し、〝風俗国家〟であるフリージアがイクオ様を引き取ったのです」

 なんてことだ、すべてエリス姫の奸計だったか。

「じゃあ、俺がレイナと出会ったのも、エリス姫の計らいだったのか?」

「いいえ、〝性王〟であるイクオ様にお仕えする女性は必要だと思っていましたが、レイナを見初められたのは全くの偶然です」

 そういえば、レイナを選んだときは随分と驚いていたし、姫はレイナの説得にも自信がありげだったが、そういう理由があったのか。

「・・・おそらくですが、お二人はどんな形でも結ばれる運命だったのでしょう」

 姫から庶民に落とされても、聖王から性王に堕とされてもなお、レイナと俺は出会う運命だったという事か。

「旦那様はお姫様のあたしと出会っていても、あたしと結婚してくれた?」

 ドレス姿のレイナが、問いかけてくる。その姿は女神の様に美しく、輝いて見えた。

「ああ、した思うよ」

 それは間違いないと思う。おそらく、一目で好きになったはずだ。

「うれしい」

「レイナも〝聖王〟じゃなくて〝性王〟の俺でも、側にいてくれたからな」

「うん、どっちでも大丈夫だったと思う」

 花の様に微笑むレイナ。姫でもメイドでも、この笑顔は不変のものなのだろう。

「ひょっとしたら歴史には流れの様なものがあり、誰かが変えようとしても、元に近い流れに戻ろうとするのかもしれません」

 とエリス姫が、運命的な事を言う。

「そうか、そうだといいな」

 なら、レイナがエルディアの姫に復位するのは、必然の流れなのだろう。

 俺が召喚されたのはレイネシア姫の誕生日の前日だから、出会った時のレイナは17歳で、翌日に18歳になっていたわけだ。『今日の深夜に18歳になる』というのは嘘でも奇跡でもなかったという事か。

(しかしレイナがエルディアの正当な姫。なら、確かに希望はあるかもしれない)
 
 国力差を考えれば、ゼレス王国とフリージアの差は歴然。初戦はしのげても、いずれ息切れする。外交で解決するにしても、大幅な譲歩は必要だろう。

 だがレイナという〝玉〟を手中に収めたのであれば、一発逆転の芽はある。長引けはゼレス国王の権威が揺らぎ、エルディア時代を懐かしむ者たちが立ち上がるかもしれない。
 
 絶望的な状況から、光が見えてきた。
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