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第2章【勝負への葛藤】
第15話【モンスターの置き土産】
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ようやく、外出の自粛化が終わると世間は一気に慌ただしくなった。
世界その物が一斉に仕事を再開し、生産ラインのが一挙に仕事を引き受け、パンクし掛けているのが、今の現状だ。
それでも流行り病の足跡が残っており、本格的な生産ラインの復旧にはまだ時間が掛かるだろうーーとニュースでやっていた。
さて、そんな中、鈴木さんの新しい試合が決まる。
流行り病のおさまったすぐ後なので恐らく、注目の一戦になるだろうと坂田さんも言っていた。
ジムが再開すると俺は早速、鈴木さんの様子を見に行く。
鈴木さんはいつも通り、スパーリングをやっていた。パンチにもキレがある。
ーーだと云うのに坂田さんも会長さんも難しい顔をしていた。
なんで、そんな顔をしているのか、俺には解らない。
鈴木さんは以前より動きも俊敏になった気もするし、打たれ強くなった気がするのだが・・・。
そんな事を考えながら、坂田さんに挨拶する。
「お早う御座います、坂田さん」
「ん?ああ。正樹君か。お早う」
「鈴木さん、調子良さそうですよね?
なのにどうして、会長さんも坂田さんも難しい顔をしているんですか?」
「モンスターの置き土産に困っていてね?」
そう言うと坂田さんは再び、スパーリングをする鈴木さんに視線を戻す。
モンスターの置き土産?何を言っているのだろう?
鈴木さんは絶好調に見えるのだが・・・。
「素人目には宗成君は調子が良さそうに見えるだろうけれど、彼の足捌きが以前と違う。
あれは足を踏まれる事を恐れている足捌きさ」
「え?」
そう言われて鈴木さんの足に注目していると相手の足にかなり警戒している。
そうか。鈴木さんは俊敏になったのではなく、相手の動きを警戒し過ぎているのか。
「意識は克服しているが、本能が恐れている。今の彼はそんな感じだね。
だから、あれだけパンチを打っているのに相手に効果がない」
坂田さんはそう説明すると鈴木さんとスパーリングをしていた相手と代わる。
「坂田さん?」
「少し気になる事があるからね?
宗成君の相手は俺がさせて貰うよ?」
坂田さんがそう言うと鈴木さんは会長さんを見る。
「構いませんか、会長?」
「二階級も違うんだ。本来ならダメだろう。
だが、糀君が気付く些細な事と言うのも気になる」
会長さんはしばらく考えた後に坂田さんに尋ねた。
「糀君。気になる事と言うのは口では説明出来ないのかね?」
「こればかりは彼の身体に直接聞くしかありませんからね?」
そう告げると坂田さんは佐藤さんに「30秒になったらゴングを鳴らしてくれ」と伝えた。
鈴木さんも坂田さんの行動に眉をひそめつつ、ゴングと同時に前に出る。
その際に坂田さんが放ったのは普段の坂田さんのパンチとは違い、大振りなスイングの一発だった。
あれなら余裕で避けられるだろう。
そう思っていたが、鈴木さんはそれをもろに喰らって倒れ込む。
一撃?しかもあんな大振りで?
そう言えば、この光景、どこかで見た事がある。
そうだ!モンスター東山野の時の闘いだ!
モンスターの置き土産とはこれの事だったのか!
鈴木さんはピクピクと痙攣している。
ヘッドギアはしているが、坂田さんの一撃はテンプルを捉えていた。
恐らく、意識を失っているのだろう。
「・・・これが君の確認したかった事かね、糀君?」
「ええ。宗成君はモンスターの爪痕で大振りのパンチが来ると目を瞑って堪えようとするクセがついてしまいましたね」
「足捌きにパンチへの抵抗か・・・課題は多いね?」
「ちょっーーそんな事よりも鈴木さんを!」
冷静に分析しあう会長さんと坂田さんに俺は叫ぶとバケツを手に慌てて水を汲みに行く。
戻ってきた頃には鈴木さんは上体を起こして頭を振っていた。
鈴木さんが痙攣した時は焦ったが、坂田さんが本気で殴る訳もないか。
俺は安堵すると水の入ったバケツを手にリングに近付く。
その上では坂田さんが鈴木さんに事の経緯と鈴木さんの課題を教えていた。
鈴木さんも意識してなかったらしく、かなり驚いた表情をしている。
「君自身、自覚はなかったろう。それだけ些細な事だ。だが、それがリングでは致命的になる。
君のすべき事は意識せず、本能的に慣れる事だ」
意識せず、本能的に慣れろとはまた難しい事を言うと思いつつ、当の鈴木さんを見ると真剣な表情で頷く。
どうやって克服するのか解らないけど、鈴木さんのモチベーションは下がってはいないようだ。少し安心する。
その後、坂田さんと鈴木さんの足捌きとパンチの克服で結局、バケツの水が必要になるのだが、それは別の話しである。
世界その物が一斉に仕事を再開し、生産ラインのが一挙に仕事を引き受け、パンクし掛けているのが、今の現状だ。
それでも流行り病の足跡が残っており、本格的な生産ラインの復旧にはまだ時間が掛かるだろうーーとニュースでやっていた。
さて、そんな中、鈴木さんの新しい試合が決まる。
流行り病のおさまったすぐ後なので恐らく、注目の一戦になるだろうと坂田さんも言っていた。
ジムが再開すると俺は早速、鈴木さんの様子を見に行く。
鈴木さんはいつも通り、スパーリングをやっていた。パンチにもキレがある。
ーーだと云うのに坂田さんも会長さんも難しい顔をしていた。
なんで、そんな顔をしているのか、俺には解らない。
鈴木さんは以前より動きも俊敏になった気もするし、打たれ強くなった気がするのだが・・・。
そんな事を考えながら、坂田さんに挨拶する。
「お早う御座います、坂田さん」
「ん?ああ。正樹君か。お早う」
「鈴木さん、調子良さそうですよね?
なのにどうして、会長さんも坂田さんも難しい顔をしているんですか?」
「モンスターの置き土産に困っていてね?」
そう言うと坂田さんは再び、スパーリングをする鈴木さんに視線を戻す。
モンスターの置き土産?何を言っているのだろう?
鈴木さんは絶好調に見えるのだが・・・。
「素人目には宗成君は調子が良さそうに見えるだろうけれど、彼の足捌きが以前と違う。
あれは足を踏まれる事を恐れている足捌きさ」
「え?」
そう言われて鈴木さんの足に注目していると相手の足にかなり警戒している。
そうか。鈴木さんは俊敏になったのではなく、相手の動きを警戒し過ぎているのか。
「意識は克服しているが、本能が恐れている。今の彼はそんな感じだね。
だから、あれだけパンチを打っているのに相手に効果がない」
坂田さんはそう説明すると鈴木さんとスパーリングをしていた相手と代わる。
「坂田さん?」
「少し気になる事があるからね?
宗成君の相手は俺がさせて貰うよ?」
坂田さんがそう言うと鈴木さんは会長さんを見る。
「構いませんか、会長?」
「二階級も違うんだ。本来ならダメだろう。
だが、糀君が気付く些細な事と言うのも気になる」
会長さんはしばらく考えた後に坂田さんに尋ねた。
「糀君。気になる事と言うのは口では説明出来ないのかね?」
「こればかりは彼の身体に直接聞くしかありませんからね?」
そう告げると坂田さんは佐藤さんに「30秒になったらゴングを鳴らしてくれ」と伝えた。
鈴木さんも坂田さんの行動に眉をひそめつつ、ゴングと同時に前に出る。
その際に坂田さんが放ったのは普段の坂田さんのパンチとは違い、大振りなスイングの一発だった。
あれなら余裕で避けられるだろう。
そう思っていたが、鈴木さんはそれをもろに喰らって倒れ込む。
一撃?しかもあんな大振りで?
そう言えば、この光景、どこかで見た事がある。
そうだ!モンスター東山野の時の闘いだ!
モンスターの置き土産とはこれの事だったのか!
鈴木さんはピクピクと痙攣している。
ヘッドギアはしているが、坂田さんの一撃はテンプルを捉えていた。
恐らく、意識を失っているのだろう。
「・・・これが君の確認したかった事かね、糀君?」
「ええ。宗成君はモンスターの爪痕で大振りのパンチが来ると目を瞑って堪えようとするクセがついてしまいましたね」
「足捌きにパンチへの抵抗か・・・課題は多いね?」
「ちょっーーそんな事よりも鈴木さんを!」
冷静に分析しあう会長さんと坂田さんに俺は叫ぶとバケツを手に慌てて水を汲みに行く。
戻ってきた頃には鈴木さんは上体を起こして頭を振っていた。
鈴木さんが痙攣した時は焦ったが、坂田さんが本気で殴る訳もないか。
俺は安堵すると水の入ったバケツを手にリングに近付く。
その上では坂田さんが鈴木さんに事の経緯と鈴木さんの課題を教えていた。
鈴木さんも意識してなかったらしく、かなり驚いた表情をしている。
「君自身、自覚はなかったろう。それだけ些細な事だ。だが、それがリングでは致命的になる。
君のすべき事は意識せず、本能的に慣れる事だ」
意識せず、本能的に慣れろとはまた難しい事を言うと思いつつ、当の鈴木さんを見ると真剣な表情で頷く。
どうやって克服するのか解らないけど、鈴木さんのモチベーションは下がってはいないようだ。少し安心する。
その後、坂田さんと鈴木さんの足捌きとパンチの克服で結局、バケツの水が必要になるのだが、それは別の話しである。
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