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田中ライコフ

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達成感

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 叶真の声が届かないほどキョウスケに余裕はないのだろう。限界に近いキョウスケに合わせるように、叶真は透明な蜜を流していた自身の性器に手を伸ばす。キョウスケの律動とタイミングを合わせながら竿を扱くと、途端に射精への欲が高まり始めた。
「あ、あっ……」
 背筋を快感が走り抜けた。奥を抉られるたびに絶頂へ一歩ずつ近づいているのが分かる。敏感になっている先端を少し刺激してやれば、すぐに精を吐き出すことが可能だろう。あとはキョウスケが弾けるのを待つだけだ。
「は、あ……我慢せず、早く……イけよっ」
 焦れたように叶真は叫ぶ。互いに相手を先にイかそうと必死だった。キョウスケもとっくに限界を超えているだろう。長引く快感に表情はどこか苦痛そうだ。
 軍配は叶真に上がった。それは当たり前かもしれない。叶真は後ろだけではまだイけず、性器に触れなければ達せられないのだ。
 キョウスケは叶真の腰を掴むと律動を早め、激しく腰をぶつけた。
「く、あっ……ああっ」
 肉のぶつかり合う乾いた音と叶真の喘ぎが部屋に響く。やがて叶真の最奥でキョウスケは欲情を吐き出した。精を放出する快感に身を震わせたキョウスケを見て、叶真も己の性器を刺激し、白濁した液をキョウスケの胸や腹に飛び散らせる。
「くそ……」
 先に達したことに腹が立っているのか、キョウスケは息を整えながらそう漏らす。それを聞いて叶真は、この男をイかせたんだと感情が昂るのを感じた。この感情の昂りは、女や男を抱いた後のそれとまったく同じだった。男に抱かれるという立場であったとしても、叶真は確かにキョウスケを抱き、この男を征服したのだ。
 誰も抱けなくなったとすっかり意気消沈していた叶真にとって、それは自信を回復させるものだった。自分自身はやはり攻める側が向いているのだと思う。唯我独尊なキョウスケすら支配できたのだ。この調子でいけば勃起障害が治る日も近いかもしれない。
 キョウスケの上から身体をどけると、叶真はそのままベッドにごろりと横になる。キョウスケをイかせた高揚感はあったが劣情を受け入れたことによる疲労もあった。しばらく動きたくない気分だ。
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