短編小説集

組織の存続とは2

後悔と新たな決意
高僧たちが去った後、平太はしばらくその場に座り込んでいた。会議室の窓から差し込む光が、何かを思い出させるように彼を照らしていた。彼はそのまま立ち上がり、机の上に置かれた古びた金色の書を手に取った。

「あれからどれくらい経ったのか…」平太は、自分自身に問いかけるように呟いた。それは、ただの独り言ではなく、どこか深い意味を持つ言葉だった。彼は自分の過去と、これからの未来について考えていた。

その時、再び会議室の扉が開かれ、阿辺座主が戻ってきた。平太はその姿を見て、何も言わずに視線を向けた。

「御当主」阿辺座主は、再び静かな声で言った。「先ほどのことですが、これからどのようにされるおつもりですか？」

平太は少しだけ沈黙し、その後に言った。「お米教を続けることは、もはや私の意志ではなくなっているのでしょう。」


「それは、陛下の意志でもあります。」阿辺座主は冷徹に答えた。「あなたが続けることで、すべての信者が安心する。あなたが辞めることが、最も大きな不安を呼ぶのです。」

平太は少し苦笑した。「私の決断がすべての不安を解消するとは、限らないでしょう。」

その時、他の高僧たちの姿が遠くから見え、少しずつ近づいてくるのが見えた。まるで何かを達成したかのような表情を浮かべながら、彼らはゴルフクラブを振る仕草をしながら帰ってきた。

「阿辺座主、この後これでも？」一人の高僧が軽く言った。彼の言葉には、あたかも世間話をするかのような軽さがあった。

「何も変わりません。」阿辺座主は冷静に答えた。「すべては、平太殿がこのお米教の当主を続けるかどうかにかかっています。」
　ぶっー！！平太は大量の血を吐いた驚愕している一堂が平太の元にかけ寄るなか、意識が薄れていく平太は、
（もういいだろう）と今は亡き先先代の当主である祖父の声が聞こえて平太は静かに息を引き取った。　　　　　完