秘密の話をしようか~現実恋愛&純文学短編集~

しましまにゃんこ

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3. 悪女と呼ばれた5年後の私

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 ◇◇◇  

 男なんてみんな馬鹿ばっかり。いやんなっちゃう。

「運転が苦手なの」って言ったら「大きな車なら運転も怖くないよ。多少ぶつかっても怪我しないしね」と言ってベンツを買ってくれようとするおじさん。

 分かってないのね。私が本当に欲しいのは、無駄にデカいおっさん臭い車なんかじゃないわ。私に運転させないように、言われなくてもいつでもどこでも迎えに来て待っててくれる素敵な運転手よ。

 車の名義がどうとか、駐車場代も保険料も払うとか。そんな話がしたいわけじゃないの。

 そんなに私のこと殺したいの?私、下手くそなのに運転してたら、いつかきっと死んじゃうよ?それでも良いの?そんなの人類の損失だって早く気付いて。

 お坊ちゃん。中古マンションなんていらないわ。何でそんなものくれようとするの?赤の他人でしょ。贈与税払うの面倒くさいわ。不動産取得税に毎年の固定資産税もあるし。

 そもそもそのマンション、資産価値そんなにないし。いらないなら売って現金化したほうがいいんじゃないの?仮に貰ったとして、明日から住むとこどうするの?一緒に暮らさないよ?パパから貰った大事なものなら、あげるなんて言わないで。

 欲しいものなんてないの。何にもいらない。物で私を釣れると思ってるなら諦めて。私欲張りなの。欲しいのは、全部。全てを捧げて愛を乞う人が好き。

 薄っぺらい見せ掛けの愛の言葉なんかじゃちっとも響かないわ。愛してくれたら愛してあげるわ。あなたの愛に見合う深さで。

 5年後、平凡なサラリーマンの夫と結婚した私は、愛する我が子を腕に抱いている。

 百回ぐらい「本当に俺でいいの?」って聞いてた夫は、誠実で優しい人。この人なら一生私だけを愛してくれると思ったから、結婚を決めた。キラキラした目で私だけを見つめる我が子は、もっぱら私に夢中。今この世界中で一番、私を必要としてくれる存在。

 本当に欲しかったものを全て手に入れた私は、今、とても満ち足りて幸せだ。

 最初から、こういう幸せが欲しかっただけなのよ。


おわり
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